天使と悪魔 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
天使と悪魔

ガリレオが遺した暗号を解き惨劇を止められるか!?
科学V.S.宗教の対立にラングドン教授が挑む
大幅にスケールアップした人気シリーズ第2弾



  ダン・ブラウン原作×ロン・ハワード監督×トム・ハンクス主演。’06年の『ダ・ヴィンチ・コード』に次ぐ、ロバート・ラングドン教授シリーズの最新作が全世界同時公開。カトリック教会の総本山であるヴァチカンで、17世紀に結成された秘密結社イルミナティの復讐が始まる。ダングドン教授はガリレオが遺した暗号を解明し、惨劇を防ぐことができるのか。前作よりもアクションや仕掛けが大幅にスケールアップ。ローマの歴史的建造物や芸術、街並を背景に描く、スリリングでハードボイルドなサスペンスである。


  ローマ教皇が逝去したヴァチカン市国。枢機卿たちによって新教皇を決める選挙の最中、その最有力候補である4人が秘密結社イルミナティによって拉致される。また組織は世界最大の素粒子物理学研究所セルンから驚異的な破壊力をもつ“反物資”を盗取。拉致した枢機卿を1時間ごとに一人ずつローマ市内の教会で殺害し、0時には“反物資”でヴァチカンそのものを消滅させると脅迫。ヴァチカンの要請により、ハーヴァード大学の宗教象徴学の権威ラングドン教授はローマに赴き、セルンの女性科学者ヴィットリアや、新教皇が決まるまでヴァチカンの全権を握る前教皇の侍従カメルレンゴとともに、イルミナティの謎と事件の真相に迫っていく。
ユアン・マクレガー
 17世紀のカトリックによる科学の弾圧や、世界最大規模の科学研究所であるセルンなどの事実をベースに、秘密結社イルミナティの存続やガリレオの暗号など独自の解釈によるフィクションが絡み合う、期待通りの奥深いサスペンス。本作では、17世紀に地動説を唱えたことによってヴァチカンから不当に糾弾されたガリレオ・ガリレイら科学者たちは、秘密結社イルミナティとして密かに活動。その思想を継ぐイルミナティは400年を経て現代に復活し、ヴァチカンへの復讐を目論む。後半のクライマックスからラストまで、畳みかけるかのようにこれでもかと突き詰めてゆく展開には思わず息をのむ。


 原作は全世界で4000万部のベストセラーとして知られる同名の小説。小説では’00年に『天使と悪魔』、’03年に『ダ・ヴィンチ・コード』が発表され、映画では逆の順序に。教授がキリスト教の秘密を暴いた後、キリスト教の危機に駆けつけるという流れになっている。ハワード監督はこの順序でよかったと改めてコメント。このシリーズについて監督は、「ラングドン教授の冒険は好奇心を刺激し、もっと自分で調べたいという知識欲を引き出し、さまざまな議論を呼ぶ。そこが素晴らしいんです」と語っている。
天使と悪魔
 前作に引き続き、ラングドン教授はハンクスが熱演。いつものユーモアや温かい人間味を抑えて、天才学者を硬派に演じている。前教皇に仕える侍従のカメルレンゴはユアン・マクレガーが演じ、強い信念で宗教に身を捧げる人物をくっきりと表現。教授とともに謎解きに挑む女性科学者ヴィットリアは、イスラエルを代表する女優アイェレット・ゾラーが好演している。


  劇中ではポポロ広場やナヴォーナ広場、サンタンジェロ城など、ローマの観光名所が次々と登場。撮影許可が下りなかった場所ではインディーズ映画のようにゲリラ撮影をしたとのことで、監督の狙い通り、教授たちと一緒にローマの街を冒険しているかのような臨場感が味わえる。


 個人的に一番響いたのは、ラストの教授とシュトラウス枢機卿のさもない会話。人間や宗教についてさらりと語られている。宗教でも絶対的な「聖」と言われるとかえってどこか胡散臭くて信じきれないが、“間違いがあったとしても努力して正道を目指す”という枢機卿の言葉は誠実で、不思議とホッと安堵できる。さて、原作者のブラウンはラングドン教授シリーズの第3弾『ザ・ロスト・シンボル』を書き上げたと発表。映画『天使と悪魔』へのコメントとともに、このように語っている。「ロンへの満足度は天にも昇る感覚だ。今回のような最高の仕事を、次のシリーズ3作目でも彼が撮影してくれることを望むよ」。ハワード監督×ハンクスのライフワークとなりそうなこのシリーズ。ハンクス=ラングドン教授が次はどんな謎に挑むのか、全世界が注目している。
『天使と悪魔』2009年 アメリカ映画
データ
2009年5月更新

トム・ハンクス、アイェレット・ゾラー
2009年5月15日公開
丸の内ピカデリーほかにて
全国ロードショー

■2009年 アメリカ映画
■上映時間2:18
■ソニー・ピクチャーズ
エンタテインメント配給
■監督/ロン・ハワード
■脚本/アキヴァ・ゴールズマン
■原作/ダン・ブラウン
■脚本/瀧田哲郎
出演/トム・ハンクス
ユアン・マクレガー
アイェレット・ゾラー
ステラン・スカルスガルド
ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ
ニコライ・リー・コス
アーミン・ミューラー=スタール



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
CSホロス株式会社代表取締役。フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。これまでに取材した人数は600人以上、2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』でコラム“シネマ・アロマ”を担当。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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