宮藤官九郎脚本×阿部サダヲ主演×水田伸生監督
エキセントリックで突き抜けたコメディにして
懐かしくて普遍的な、笑って泣けるホームドラマ
脚本に宮藤官九郎、監督に水田伸生、主演に阿部サダヲ。オリジナルの作品ながら興行収入20億円の大ヒットを記録した映画『舞妓Haaaan!!!』のメンバーが再集結。出演は瑛太、竹内結子、塚本高史、いしだあゆみをはじめ、コメディのイメージのない有名俳優や演技派も多数。懐かしくて普遍的な、笑って泣けるホームドラマである。
幼い頃、身勝手な父に捨てられて生き別れた兄弟、祐太と祐介。兄弟はお互いの顔も名前も知らないまま成長し、兄の祐太は究極のお人好しになりハムカツ屋「デリカの山ちゃん」で必死に働き、店を行列のできる人気店に。弟の祐介は赤の他人である金城大介と兄弟漫才コンビを組み「金城ブラザーズ」としてブレイク。ある日、ハタチで実家を出た「山ちゃん」初代店主の一人娘・徹子がフラリと帰宅。デブで不細工だった徹子が細身の超美人に変貌したことをご近所さんたちは不審がるものの、痴呆症になりかけの母・安江だけはひと目で娘の徹子と見抜き、祐太も温かく迎え入れる。
宮藤官九郎が初挑戦の“家族モノ”で大成功。エキセントリックな要素あり突き抜けたコメディありと期待通りのノリがありつつ、物語としてとっつきやすく、より幅広い層が親しみやすい仕上がりとなっている。
兄の祐太役は阿部サダヲらしさ全開で熱演。演技としては、表向きはいい人でも心の奥に複雑な感情を抱えている役は初めてで、難しかったとのこと。そして注目は新境地を披露しているキャストたち。“空気の読めないお笑い芸人”祐介役の瑛太は、陰のあるヒネたかわいそうキャラがものすごくハマッているし、スベる芸人ぶりもいい。兄役の阿部サダヲに瑛太は「似ている」と言われることもあるそうで、顔というよりは素の気質が近そうな雰囲気も。徹子役を演じた竹内結子は“デブでブサイクだったのに20キロの減量で超美人に”という設定に戸惑いはあったものの、撮影自体はとても楽しんだそう。劇中には蹴ったりどついたり、これまで見たことのないキャラが新鮮な可笑しい。祐介と漫才コンビを組む金城大介役の塚本高史は、器用でソツのない世慣れた感じがぴったりでいい味をだしている。驚きは祐太の養母役のいしだあゆみ。もともとシリアスな女優だけに、不意をつくトボけぶりが面白すぎる。「脚本どおりにやっただけ」とのことで、某番組のテーマソングをすっとんきょうに歌うところもキスシーンを地蔵のように眺めるところもぜひ注目を。演技派俳優がコメディを演じると無理している感でキビシイ場合もあるけれど、本作にはそれがまったくない。キャスト全員が楽しんでいる感覚が伝わってきて、物語と相まってアットホームな気分になってくる。キャストは全員が第一希望だったという水田監督は語る。「これがギャンブルならすごい配当だと思うぐらい、第一希望が揃いました。キャスティングは極力、新鮮な組み合わせであること。役柄にピッタリな上に皆さんがお芝居で絡んだ結果、化学反応が起こること。皆さん僕の予想を軽々と超えてくれました」。
劇中では、いわゆる泣ける3大要素「子供」「動物」「貧乏」について「ダマされるな!」とばかりに明言し、お笑いの7大要素に「不幸」があるというしょっぱいひと言も添えて。いきおいしゃべっている感覚のクドカン節はやっぱり小気味いい。そもそも『舞妓Haaaan!!!』の大ヒットメンバーで再び、という企画があがってきた時、水田監督が宮藤官九郎にこれまでさほど深くは描いてこなかった“ホームドラマ”のお題をふったところから始まったという本作。観るかどうか検討中の方は、宮藤官九郎本人のいい感じの推薦コメントをどうぞ。「懐かしいんだけどそれだけじゃない、という自分にとっても新しい作品です。作品を観たんですが、素晴らしいです。僕が書いた映画じゃないみたいです。って、そんなこと言っちゃいけないですね(笑)。すごく面白いので、皆さんもぜひ観てください」。
公開 | 2009年11月14日公開 TOHOシネマズ 有楽座ほかにて東宝洋画系ロードショー |
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制作年/制作国 | 2009年 日本 |
上映時間 | 2:14 |
配給 | 東宝 |
監督 | 水田伸生 |
脚本 | 宮藤官九郎 |
音楽 | 岩代太郎 |
原作 | オードリー・ニッフェネガー |
出演 | 阿部サダヲ 瑛太 竹内結子 塚本高史 皆川猿時 片桐はいり 鈴木砂羽 カンニング竹山 陣内孝則 藤村俊二 小倉一郎 光石研 伊原剛志 いしだあゆみ |
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