全世界で40年以上愛され続けている絵本を
原作ファンのスタッフが12年かけて実写映画化。
かいじゅうたちといっしょにぼうけんにでかけよう
絵本としては型破りの全世界2000万部超の売上を誇る、モーリス・センダック原作の絵本『かいじゅうたちのいるところ(原題:WHERE THE WILD THINGS ARE)』を実写映画化。監督は『マルコヴィッチの穴』の奇才スパイク・ジョーンズ、主演に本作が映画デビューとなる当時9歳のマックス・レコ−ズ。カレン・オーと子供たちが歌う「All Is Love」のやわらかなメロディが誘(いざな)う、少年とかいじゅうたちの冒険ファンタジーである。
8歳のマックスは不満がいっぱい。パパは離婚して家を出て行ったきり、思春期の姉クレアからは相手にされず、ママは仕事と生活と新しい恋人のことばかり。ある晩、ママと大ゲンカしたマックスは大暴れしてオオカミの着ぐるみを着たまま家を飛び出す。ひたすら走り続けて浜辺に出たマックスはボートで海に漕ぎ出し、見知らぬ島に到着。島の森の奥へと歩いて行くと、見たこともない大きな体のかいじゅうたちと出会う。
1963年の初版から今も愛され続けている作品を、ジョーンズ監督が渾身の映像化。製作に名を連ねるトム・ハンクスをはじめ、熱心な原作ファンが多数関わって12年がかりの一大プロジェクトとして完成したという本作。淡々としたストーリーそのものより、細部まで作りこまれたかいじゅうたちの映像とマックス少年とのやりとりで流れていく、ゆるやかな時間にほのぼのと浸る感覚だ。
原作者のセンダックは本作に製作として参加し、ジョーンズ監督を絶賛。「彼はこの映画を単なるオマージュにはしなかった。原作の本質を損なうことなく、それをふくらませ、豊かにするようなモダンで見事なすばらしい方法で、彼は自分自身の作品を作ったんだよ。この映画と絵本はまったく異なる芸術品であり、私はどちらも大好きだ」。ジョーンズ監督もまた、センダックや原作について熱く語る。「僕はこの絵本が大好きで、子どものころからずっと愛してきた。彼の作品はとにかく大切なんだ。だから、モーリスをがっかりさせたくなかった。彼は、『君にとって個人的な意味をもつ映画を作りなさい。自分自身の作品にするんだ』と言ってくれた。僕はこの本とともに生きてきた彼の40年を尊重する、彼の価値観を裏切らない映画にしたいと心から思った。そして、僕らはそれを守ったんだ」。
かいじゅうたちは当初、デザイナーや特殊効果工房に相談しても、原作どおりの比率で実際にボディを再現するのはほぼ不可能と忠告され、フルCGIの制作を勧められたとのこと。が、あきらめずに可能性を模索し続け、才能あるアーティストや名工房であるスタジオの協力を得て、原作のイメージ通りのかいじゅうたちが完成したのだそう。映画の制作過程としては、はじめに声優たちの声の演技を収録し、その時の動きや表情を参考にかなりの重量のかいじゅうコスチュームをまとった別の俳優たちがロケ現場で演技。最後にアニメーターたちがかいじゅうたちの顔の表情をCGIでより豊かにアレンジ。監督曰く、「かいじゅうたちが声優たちの演技から出来上がっていくのを見るのは興味深かった。まったく異なる3つの要素が組み合わされて、1つのキャラクターを作ったんだよ」とのこと。
本作の記者会見では、ジョーンズ監督と現在12歳のマックスくん、プロデューサーの3名が来日。会見中に可笑しかったのは、ちょっと太って成長したマックス少年にはお父さんのような落ち着いた風格があり、モジモジとシャイな様子のジョーンズ監督はまるでピュアな10代前半の少年のようで、2人の雰囲気が逆転しているかのようだったこと。3人のやりとりはとてもアットホームで、この映画がいかにして作られていったのかが自然と伝わってきた。さて、この映画は大人には見つからないように、何かとんでもない面白さが宝さがしのように隠されていたりするのだろうか。この映画を観た子供たちにぜひ聞いてみたい。どう? おもしろかった?
公開 | 2010年1月15日公開 丸の内ルーブルほか全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2009年 アメリカ |
上映時間 | 1:41 |
配給 | ワーナー・ブラザース映画 |
監督・脚本 | スパイク・ジョーンズ |
脚本 | デイブ・エッガース |
原作・製作 | モーリス・センダック |
製作 | トム・ハンクスほか |
音楽 | カレン・オー カーター・バーウェル |
出演 | マックス・レコーズ キャサリン・キーナー マーク・ラファロ ローレン・アンブローズ クリス・クーパー ジェイムズ・ガンドルフィーニ キャサリン・オハラ フォレスト・ウィテカー ポール・ダノ |
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