シャッター アイランド  試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
シャッター アイランド

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スコセッシ監督×ディカプリオ主演の4作目は
人気推理作家デニス・ルへインの小説を映画化!
孤島の病院を舞台に描くトリッキーなミステリー



 マーティン・スコセッシ監督がレオナルド・ディカプリオを主演に迎え、4度目のコンビを組んだ注目作。原作は2003年の映画『ミスティック・リバー』の原作者デニス・ルへインが’03年に発表し、単行本の最終章が袋とじになっていたことでも話題となった推理小説。“シャッター アイランド(閉ざされた島)”と呼ばれる孤島の病院でおきた失踪事件をきっかけに、連邦保安官と相棒の男たちが不可思議な状況へと追い込まれてゆく。さまざまな過去や夢、幻想が入り混じって伏線となり、終盤で一気に明かされる真実とは? 観客に謎解きを挑む、トリッキーなミステリーである。


 1954年、ボストン沖の孤島にあり、精神を患う犯罪者を収容するアッシュクリフ病院。その患者レイチェルの失踪事件を捜査するため、連邦保安官のテディは新しい相棒チャックとともに島へわたる。レイチェルは鍵のかかった病室から煙のように消え、その姿は島内を捜しても見つからず、島外へ脱出した形跡もない。手がかりは「4の法則」と記された紙きれのみ。テディは失踪事件の捜査をしながらも、個人的な怨恨のある人物探しが目的であることをチャックに告げる。そんな折、島がハリケーンに襲われて病院が停電となり、外界と遮断された状況に。混乱の中、テディは自らの目的を遂げるために独断で動き出す。
ベン・キングズレー、マーク・ラファロ、レオナルド・ディカプリオ
 外界から断絶された孤島のシチュエーション、嵐によって盛り上げられる切迫感、消えたレイチェルの謎、どこかよそよそしい病院スタッフたち……。仕掛けの多いミステリーらしく、「アレがこうで、コレがああで……」と自分なりの仮説を立て、脳の体操をしながら観る感覚だ。現実と妄想の境目があいまいな混沌とした映像には、鬼才デヴィッド・リンチの映像を少し思い出した。


 ディカプリオは連邦保安官テディ役を熱演。来日記者会見では「彼(スコセッシ監督)のベストの1本」と語り、「今回は監督がヒッチコック・スタイルを意識して作りました。サイコスリラーやサスペンスなどのジャンルを超えた、とても面白い映画です。結末がわからないミステリーというだけではなく、1人の男が真実を追い求める物語でもあります」とコメント。仕上がりへの自信をのぞかせている。テディの相棒チャック役のマーク・ラファロ、病院の医長コーリー役のオスカー俳優ベン・キングズレーをはじめ、共演者は演技派がズラリ。どのキャラクターが敵か味方か、嘘か本当か、狙いは何か、簡単にはわかりにくいところが良い。
レオナルド・ディカプリオ、ミシェル・ウィリアムズ
 原作者デニス・ルヘインは、1994年に探偵小説『スコッチに涙を託して』(原題:A Drink Before the War)』でデビューしたアメリカのミステリー作家。デビュー作の探偵小説はシリーズとなり、4作目の『愛しき者はすべて去りゆく(原題:GONE,BABY,GONE)』はベン・アフレックの初監督作品として’07年に映画化(日本未公開)、’03年にクリント・イーストウッド監督によって『ミスティック・リバー』が映画化されたことは周知の通り、そして5年ぶりに執筆された最新の長編小説『運命の日(原題:The Given Day)』は、サム・ライミ監督で映画化予定とのこと。またルヘインは’04〜’08年のTVシリーズ『The Wire』の脚本を手がけ、自らの短編『グウェンに会うまで(原題:Until Gwen)』をもとにした戯曲『Coronado』を発表するなど、多彩に活躍。本作にも製作総指揮として参加している。


 公開を半年延期したため『アバター』と時期が重ならず、本国アメリカでは公開から2週連続で興行収入全米No.1をマーク。実は作家ルヘイン自身が原作の小説について、「今回(の小説)は悪評を期待している」と語っていることは、小説を読んだ人なら誰もが知っていること。スコセッシ×レオ4度目のタッグにして初のミステリーの評価はいかに。このコンビならヒットは確実として、ミステリーファンの反応が気になるところ。日本では「字幕にとらわれずに謎解きに集中してほしい」という配給会社の意図により、通常の字幕版とともに、クオリティを徹底したという“超日本語吹替版”も同時公開(上映する映画館は要確認)。最後のほんの一瞬、ある判断に哲学的な美学を感じさせる本作。まずはあまり期待しすぎず、2時間18分にわたる長い経緯と重い結末にたえる体力がある時に、観てみてはいかがだろう。
『シャッター アイランド』 2010年 アメリカ映画
データ
2010年3月更新

レオナルド・ディカプリオ、マーク・ラファロ
2010年4月9日公開
TOHOシネマズ スカラ座ほか
全国ロードショー

■2010年 アメリカ映画
■上映時間2:18
■パラマウント ピクチャーズ ジャパン配給
■監督/マーティン・スコセッシ
■脚本/レータ・カログリディス
■原作・製作総指揮/デニス・ルヘイン
■出演/レオナルド・ディカプリオ
マーク・ラファロ
ベン・キングズレー
ミシェル・ウィリアムズ
パトリシア・クラークソン
マックス・フォン・シドー
エミリー・モーティマー
ジャッキー・アール・ヘイリー
イライアス・コティーズ



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
CSホロス株式会社代表取締役。フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。これまでに取材した人数は600人以上、2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』でコラム“シネマ・アロマ”を担当。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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