アイアンマン2 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
アイアンマン2

© 2010 MVL Film Finance LLC. Iron Man, the Character: TM &
© 2010 Marvel Entertainment, LLC & subs. All Rights Reserved.
あのアメコミ・ヒーローがド派手に再臨!
偽パワードスーツ男や謎の美女の目的とは?
ドラマとアクションで魅せる人気シリーズ第2弾



 予想を超える大ヒットを記録した前作から2年、かのアメコミ・ヒーローのシリーズ第2弾が完成。5月7日の全米公開では、週末3日間の興行収入が『アバター』『アリス・イン・ワンダーランド』を超えて1億3360万ドルとなり、オープニング興行収入が全米で歴代5位をマークしたことも話題に。監督は’08年の『アイアンマン』で高い評価を得たジョン・ファヴロー、出演は前作に引き続きロバート・ダウニーJr.、グウィネス・パルトロウ、今回から出演となる演技派のドン・チードル、アクション作品に初出演の人気女優スカーレット・ヨハンソン、’08年の映画『レスラー』のミッキー・ロークほか。生身の体で超人的なパワーを維持するための肉体の重圧や、恋愛や家族関係などプライベートのエピソード、そしてアイアンマンとして強力な敵から仕掛けられる死闘まで。個性派ヒーローがド派手に立ち回る、アクション・エンタテインメントである。


 自分が世界平和を守るヒーロー、アイアンマンであることを明かしたトニー・スターク。享楽的なプレイボーイであり、大企業スターク・インダストリーズのCEO兼天才的な発明家である彼はいまや、現代のスーパーヒーローとして世界中から熱狂的に支持されている。そんな折、ヒーローに変身するためのパワードスーツが兵器とみなされ、軍部からその受け渡しを通告される。一方トニーの前には、大ムチのような武器で金属をも切り落とす大男ウイップラッシュや、むやみに強いミステリアスな美人アシスタントのナタリーが現れる。
ロバート・ダウニー・Jr.、グウィネス・パルトロウ
 ドラマありバトルあり、前作と同様に大人にもアプローチする仕上がり。ただ、武器を排除して平和を願う思想、驕りたかぶっていた男が使命に目覚めて孤独な戦いに身を投じるなど、さまざまな要素がシンプルかつ明確に打ち出されて物語に説得力があった前作ほどの深みはなく、わかりやすいアクション作品としてカラッと楽しめる感覚だ。


 トニー役は前作の成功で主役級の俳優としての地位を確立したダウニーJr.が生き生きと好演。アクションはもちろん、奔放に生きながらも繊細な面をもつトニーの内面も表現している。秘書から社長に昇進するペッパー役はパルトロウがキリリと、トニーを敵対視するイワン役はロークが不気味なテイストで、トニーを出し抜こうとするスノッブな武器商人ハマー役をサム・ロックウェルが演じている。目を引くのはぴちぴちレザースーツを纏って激しいアクションを披露するブラック・ウィドー役のヨハンソン。彼女はレザースーツを着こなしてハードなアクションに耐える体を作るために、食生活を律して厳しいトレーニングを積んだとのこと。コミックのキャラクターさながらのセクシーなプロポーションに目を奪われる。トニーの親友である軍人ローディ役はテレンス・ハワードから、『ホテル・ルワンダ』などのヒューマンドラマで知られるチードルに交代。ハワードの降板劇は本人もメディアで降板を知って大きなショックを受けた、という一方的なことだったようで、ハマリ役だったハワード=ローディが“いい人”キャラのチードルに変わることに心配する声もあったものの、演技そのものが巧いチードルが無難にこなしている。また前作同様、多くのマーベル・コミックに登場するキャラクター、ニック・フューリー役でサミュエル・L・ジャクソンも登場。彼は今後、『アイアンマン3』をはじめ、複数のマーベル映画にニック役で出演する契約を結んだ、という報道も。
スカーレット・ヨハンソン
 この作品の製作にあたり、出演する俳優に対してマーベル側が安い出演料を提示したために、サミュエルもロークもあわや降板という危機があったことは本国でけっこうな話題に。そうこうしているうちに、’09年9月には「ウォルト・ディズニーがアメリカ最大級のコミック出版社マーベル・エンターテインメントを40億ドルで買収」という大ニュースも。ディズニーは同年12月には、マーベルと5000以上のキャラクター・ライブラリーの買収を完了。今後、マーベル映画のセクシーなシーンやダークな要素が排除されすぎてしまうことが多少心配であるものの、自社のキャラクター至上主義で俳優を軽んじるアンバランスな感覚が改善されていくことには期待したい。


 監督のジョン・ファヴローは、ニューヨークのウォール街で働いた後、スタンダップ・コメディアンとして活動を始めた異色の経歴の持ち主。’93年に俳優としてのデビューし、脚本と製作を手がけて主演した’96年の『スウィンガーズ』で評価される。そして俳優、監督、プロデュースの活動を続ける中、『アイアンマン』の成功によりその手腕が広く認知された。ファヴローは現在、次の監督作品として、スティーブン・スピルバーグがプロデュースする映画『Cowboy and Aliens』の企画を進めているとのこと。


 さて、今回のシリーズ第2弾も好調な滑り出しで、すでに第3弾の製作が確定している本作。ビジネスウーマンとのラブコメや、他界した父との関係など、トニーのパーソナルな面も描かれている2作目を経て、次回はどのような展開を迎えるのか。『アイアンマン3』も楽しみである。
『アイアンマン2』 2010年 アメリカ映画
データ
2010年5月更新

アイアンマン2

2010年6月11日公開
TOHOシネマズ スカラ座ほか
全国ロードショー

■2010年 アメリカ映画
■上映時間2:04
■パラマウント ピクチャーズ ジャパン配給
■監督・製作総指揮/
ジョン・ファヴロー
■原作/ジャック・カービー
スタン・リー
■脚本/ジャスティン・セロー
■出演/ロバート・ダウニー・Jr.
グウィネス・パルトロウ
スカーレット・ヨハンソン
ミッキー・ローク
ドン・チードル
サム・ロックウェル
サミュエル・L・ジャクソン



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
CSホロス株式会社代表取締役。フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。これまでに取材した人数は600人以上、2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』でコラム“シネマ・アロマ”を担当。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
あつた美希