バーレスク

シェール×クリスティーナ・アギレラ
シンガーを目指す少女の夢と情熱、恋や友情を
LAのナイトクラブを舞台に描くシンデレラ・ストーリー

  • 2010/12/17
  • イベント
  • シネマ
バーレスク

これまでにグラミー賞を5回受賞、全世界トータル・セールス3000万枚を誇るディーバのクリスティーナ・アギレラが、シンガーで女優の大御所シェールとの共演で映画デビュー。監督・脚本は俳優であり監督、ミュージシャンのPV製作なども手がけるスティーブン・アンティン。ロサンゼルスのバーレスク・ラウンジを舞台に、ひとりのカントリー・ガールがシンガーとして成功するまでを描く。アギレラやシェールの歌をゴージャスなサウンドと映像で楽しめる、シンプルなサクセス・ストーリーである。

アイオワの小さなバーで働くアリは、シンガーになることを夢見て単身ロサンゼルスへ。アリは大人のためのエンタテインメントクラブ「バーレスク」で、伝説的な歌手テスがダンサーを率いて歌う華やかなステージに感動。「このステージに立ちたい」と強く思ったアリはバーレスクの押しかけウエイトレスになり、売れっ子ショーガールのニッキにイビられながらも舞台への情熱を燃やしていく。一方で、バーレスクのオーナーでもあるテスは経営難から、店の買い上げを迫られていた。

シェール、クリスティーナ・アギレラ

アギレラのアカペラの歌声がダイナミックに響く「Something's Got A Hold On Me」に始まり、シェールが「Welcome To Burlesque」を堂々と歌い上げるシーンへ。低音から繰り出すパンチのきいた2人の歌声で、冒頭からアギレラとシェールの世界へ観客を引き込む。映画『シカゴ』や『ドリームガールズ』ほどのスケール感はなく、物語はごくシンプルなサクセス・ストーリーなので、ハッピーエンディングを気楽に観たい時におすすめの作品だ。

アギレラは撮影中に毎日11時間踊り続け、足がむくんでアザやマメだらけだったとのこと。ダンスの特訓をしてショーガールを目指すアリのキャラクターを、身をもって体感していたようだ。グラミー賞を受賞したシンガーでありオスカー女優でもあるシェールは、人情派のゴッドマザー、テス役を落ち着いて演じている。アリを目の敵にするショーガールのニッキ役はTVシリーズ『ヴェロニカ・マーズ』でブレイクしたクリスティン・ベルがいつもの自然体とは異なる意地悪キャラを演じ、アリと惹かれ合うミュージシャン志望のバーテンダーのジャック役はTVシリーズ『The O.C.』で人気を集めたカム・ジカンデーが演じている。そしてテスの親友の舞台監督ショーン役にスタンリー・トゥッチのほか、実力派俳優たちがそれぞれに好演している。

スタンリー・トゥッチ、シェール

見どころはやはり、アギレラとシェールがダンサーを率いて歌うシーン。劇中ではアギレラがセクシーなショーダンスをしながら、ふわふわのフェザーをミニスカート風にあしらったキュートな衣装をまとって甘い歌声で歌うなど、最近のタフなイメージとは違う表情も。サウンドトラックには劇中でアギレラが歌った8曲、シェールが歌った2曲の10曲を新レコーディングで収録。アギレラが歌う「Express」「Bound To You」「Show Me How You Burlesque」の3曲は本作のために自ら作曲したそうで、初の主演映画への意気込みが伝わってくる。シェールが歌うのは2曲と少ないものの、伝説的歌手として大きな存在感を示す「Welcome To Burlesque」、不屈の心情を切々と歌い上げる「You Haven't Seen The Last Of Me」と物語の流れに適度な重みとアクセントを与えている。また劇中では名曲「Diamonds are a Girl's Best Friend」を歌うシーンもあり、ミュージック・ムービーとして充実している。

クリスティーナ・アギレラ

そしてステージ中、マイクの音源を切られたアリがアカペラで歌い出すシーンは圧倒的。このシーンの撮影は実際に生で歌ったそうだ。アギレラは来日記者会見にて、過去の音楽活動で似たようなことがあったと告白。「以前、実際に歌っていないんじゃないかと思われて、マイクのプラグを抜かれて生で歌ったことがありました。(あのシーンでは)その経験が生きましたね」と笑顔で大らかに語っていた。小柄な体にキュートな目鼻立ち、グラマーな肢体という容貌からすると、意外なほどソウルフルな力強いヴォーカルで聴かせる、というのが彼女の持ち味。ある意味、アリのキャラクターはアギレラには物足りなく、本作では女優としての演技よりもアギレラ本人の個性が際立っている感覚も。アメリカのショービズ界というハードな世界を生来の才能と実力、鋼鉄の意志と聡明なセルフプロデュース力でサバイバルし、現在の成功を自らの手で獲得したことで知られるアギレラの輝きは、劇中でもキラキラと光っている。

本作では退廃的でエレガントな1920年代のパリからイメージしたというバーレスク・ラウンジのセットや、スワロフスキークリスタルをふんだんに使用したショーガールの衣装など、きらびやかなヴィジュアルも魅力のひとつ。世間知らずの女の子が田舎から都会に移り住み、歌って踊って恋をして成功する。今も昔も変わらない普遍的なシンデレラ・ストーリーを、確かな実力を誇る2人のディーバの共演で贈るミュージック・ムービーである。

作品データ

バーレスク
公開 2010年12月18日公開
丸の内ルーブルほか全国ロードショー
制作年/制作国 2010年 アメリカ
上映時間 1:58
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
原題 BURLESQUE
監督・脚本 スティーブン・アンティン
出演 クリスティーナ・アギレラ
シェール
クリスティン・ベル
カム・ジガンデー
スタンリー・トゥッチ
ピーター・ギャラガー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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