ニューイヤーズ・イブ

演技派から若手まで豪華キャストが多数出演
NYを舞台に8組の人々の悲喜こもごもを描く
親しい人と新年を迎えるまでの1日をめぐる群像劇

  • 2011/12/22
  • イベント
  • シネマ
ニューイヤーズ・イブ© 2011 NEW LINE PRODUCTIONS, INC.

ロバート・デ・ニーロ、ヒラリー・スワンク、ハル・ベリーら演技派のオスカー俳優をはじめ、映画やテレビで活躍する人気俳優たちが織り成す群像劇。’10年の前作『バレンタインデー』で2月14日の出来事を描いたゲイリー・マーシャル監督が、今回はニューヨークの大晦日に右往左往する8組の人々のドラマを軽妙に描く。ほかに出演はジェシカ・ビール、ジョン・ボン・ジョヴィ、アビゲイル・ブレスリン、ザック・エフロン、キャサリン・ハイグル、アシュトン・カッチャー、サラ・ジェシカ・パーカー、ミシェル・ファイファーほかカメオ出演も多数。ストレートなロマンティック・コメディあり、容易ではない状況にある人々をとらえるシーンあり。それぞれに新しい年を迎えるまでのさまを描く、わかりやすい人間ドラマである。

2011年12月31日、ニューヨーク。タイムズ・スクエアではカウントダウン・イベントの準備が進められ、楽しそうな装飾が施されている。実業家の跡継ぎのサムは親友の結婚式にゴージャスなパーティにと楽しい予定が詰まっている中、あることが胸にひっかかっている。タイムズスクエア・アライアンスの重要なポストに昇格したばかりのクレアは、毎年恒例の“ボール・ドロップ”イベントを滞りなく成功させようと気を張っている中、トラブルが起きてしまう。世界的なロックスターのジェンセンは1年前に別れた彼女、今はケータリング・ビジネスで成功した女性シェフのローラと再会するも、即座に彼女から平手打ちを食らう。病院では重病を患う孤独な老人、もとフォト・ジャーナリストのスタンを、心優しい看護婦のエイミーが傍らで励ましている。レコード会社に勤める生真面目なアシスタントのイングリットは、25年間勤めた会社を突然退社。“今年の目標リスト”を1日でクリアすべく、陽気で自信家の若いメッセンジャーボーイ、ポールにサポートを依頼する。心配症の母親キムと2人暮らしの15歳のヘイリーは、気になる彼とタイムズ・スクエアに行きたいけれど、深夜の外出をママが許してくれない。あるアパートではホリデーの祝祭ムードを毛嫌いする男ランディと、これからパーティに出かける様子の溌剌とした女性エリースが、古びたエレベーターの故障により2人きりで閉じ込められてしまう。そしてマンハッタンのニューヨーク記念病院では、臨月を迎えた2組の夫婦が新年初の出産に病院から渡されるお祝い金25,000ドルをめぐって火花を散らしていた――。

アビゲイル・ブレスリン、サラ・ジェシカ・パーカー

豪華キャストたちを贅沢に配した群像劇。予定調和のストーリーと展開により、希望や喜びがシンプルに描かれている。最後の最後には観ている方が恥ずかしくなるような盛りすぎのロマンス設定もあるものの、仕事熱心な看護婦が約束している人、仕事を終えたキャリアウーマンが街を駆け出して向かう先、と実際にあるだろう現実味も盛り込まれている。

8組の人間模様は、人気俳優たちがリラックスした様子で好演。タイムズ・スクエアのイベントを仕切るキャリアウーマンのクレア役はスワンクが熱心に、実業家の跡継ぎのモテ男サム役はデュアメルがおっとりと、ロックスターのジェンセン役は、かのロックバンドのヴォーカルであるボン・ジョヴィがナチュラルに、気の強い女性シェフのローラ役はハイグルが明るくさっぱりと。そしてレコード会社を退社したイングリット役はファイファーが生気を取り戻すさまをイキイキと、いかにもアメリカンなメッセンジャーボーイのポール役はエフロンがカラッと明るく、過保護なシングル・マザーのキム役はジェシカ・パーカーが無難に、15歳の娘ヘイリー役はブレスリンがキュートに、死ぬ前にボール・ドロップを見たいと願う重病患者スタン役をデ・ニーロが静かな存在感で、献身的に看病するナースのエイミー役はベリーが母性的に、パーティ嫌いの偏屈なランディ役はカッチャーがいつものイメージとは違う風に、ランディと気まずい雰囲気になる女性エリース役はミシェルが快活に、臨月を迎えて出産日時を張り合う2組の夫婦役を、ビールとマイヤーズ、ティル・シュバイガーとサラ・ポールソンがコミカルに演じている。さらにヒップホップのMCクリス・“リュダクリス”・ブリッジス、マーシャル監督の全作品に出演しているベテラン俳優ヘクター・エリゾンド、ヒスパニック系の美人女優ソフィア・ベルガラなど、たくさんのオールスターキャストがスクリーンに登場する。

アシュトン・カッチャー、リー・ミシェル

劇中の映像には映画史上初という、タイムズ・スクエアのカウントダウン・イベントで100万人もの人々が祝う様子を2010年12月31日に撮影。高解像度のアレクサ・カメラを12台、クレーンと屋上にもカメラを設置し、ステージに3台、通りに1台置き、8時間にわたって録画。クローズアップ用に2012年の小道具をもつ大勢のエキストラのシーンを加えて、編集したそうだ。そのほかのロケーションにはロックフェラー・センターのラジオシティ・ミュージック・ホール、ネオ・ゴシック建築のニューヨーク・ライフ・ビル、チェルシー・マーケット、リンカーン・センター内にある改装されたばかりのアリス・タリー・ホール、そして1964年の世界万博のために美しく改装がなされたというクイーンズ美術館の内部でも。ニューヨークの名所が次々と背景に映るところも、本作の見どころのひとつだ。

ハル・ベリー

108の煩悩を除くという除夜の鐘とともに迎える日本の伝統的な大晦日に対して、きらびやかなお祭り騒ぎで盛り上がるニューヨークのニューイヤーズ・イブ。どちらが良くてどちらが悪いということではなく、趣はまったく異なる。今年は、日本では東日本大震災の被災地の復興や、福島の原子力発電所の問題に尽力している最中ということもあり、年賀状に「おめでとう」と書くこともはばかられる、という思いもある今。新たな年を迎えるということ、ニューイヤーズ・イブという日について、マーシャル監督は語る。「その一年を吟味し、過ちを反省し、どうすればもっとうまくやっていけるのかを考える日。今の人生に感謝する時だし、楽しくてエキサイティングで、期待を抱く時でもある。自分が望むことすべてがまたできそうな気がする“希望の日”なんだよ」。そして最後に脚本家のキャサリン・ファゲイトより、本作で伝えたいテーマについてメッセージを。「初恋や相手を許すこと、リスクを冒すこと、過去に区切りをつけて前進すること、昔の恋の再燃や関係の修復、赤ちゃんを授かること、仕切り直し……それらすべてにおいて、苦しみを和らげる要素が愛情なのよ」。

作品データ

ニューイヤーズ・イブ
公開 2011年12月23日
丸の内ピカデリーほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2011年 アメリカ
上映時間 1:58
配給 ワーナー・ブラザース映画
原題 NEW YEAR'S EVE
監督 ゲイリー・マーシャル
脚本 キャサリン・ファゲイト
出演 ハル・ベリー
ジェシカ・ビール
ジョン・ボン・ジョヴィ
アビゲイル・ブレスリン
クリス・“リュダクリス”・ブリッジス
ロバート・デ・ニーロ
ジョシュ・デュアメル
ザック・エフロン
ヘクター・エリゾンド
キャサリン・ハイグル
アシュトン・カッチャー
セス・マイヤーズ
リー・ミシェル
サラ・ジェシカ・パーカー
ミシェル・ファイファー
ティル・シュバイガー
ヒラリー・スワンク
ソフィア・ベルガラ
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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