ホビット 思いがけない冒険 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
ホビット 思いがけない冒険

© 2012 Warner Bros. Ent. TM Saul Zaentz Co.

『指輪物語』の60年前、すべてのはじまりがここに――
ピーター・ジャクソン監督と演技派俳優たちがタッグを組み、
壮大な冒険ファンタジーへと誘うホビット3部作 第1章

 “ロード・オブ・ザ・リング”3部作のオスカー監督ピーター・ジャクソンが、“中つ国”の60年前を舞台にした一大叙事詩『ホビットの冒険』を映画化。出演はイギリスの演技派俳優であるマーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、ロード〜3部作より引き続き、魔法使いのガンダルフを演じるベテランのイアン・マッケラン、ゴラム役をはじめリメイク版の『キング・コング』『猿の惑星:創世記』などパフォーマンス・キャプチャーの名演技で知られるアンディ・サーキスほか。中つ国を舞台に壮大な冒険ファンタジーへとふたたび誘(いざな)う、“ホビット”トリロジー第1章である。

 ホビット族のフロドが指輪をめぐる厳しい旅にでる60年前のこと。のちにフロドの養父となるビルボ・バギンズは、突然の来客にとまどっていた。魔法使いのガンダルフに、見ず知らずの13人のドワーフたち。邪悪なドラゴン“スマウグ”に奪われた祖国と財宝を取り戻す、というドワーフたちの旅に、ホビットの“忍びの達人”である特性が必要、とガンダルフから誘いを受ける。ビルボは好奇心から彼らの冒険に加わり、予想をはるかにこえる危険と苦難に遭い、あの忌むべき“指輪”と邂逅する。

イアン・マッケラン

 世界的な高い評価を得た映画“ロード・オブ・ザ・リング”から10年、ジャクソン監督は語る。「撮影現場になじみのキャストとスタッフが帰ってきた。セットの中は、初日からアットホームな雰囲気だったよ」。本作は3部作の第1弾であり、いままさに続編を撮影中とのこと。ジャクソン監督はホビット3部作を手がけると決めた理由について、「ほかのひとにとられたくなかったから」と茶目っ気たっぷりにコメント。「前回のトリロジー(ロード〜3部作)を撮っているときは“最初で最後の経験”になると確信していたよ。あの撮影期間は本当に特別な日々の連続だったから、撮影が終わったときは、もう二度と中つ国に足を踏み入れる機会はないと思ったんだ。だけど、今回の『ホビット』3部作も同じくらいに特別な体験になった。“最初で最後の経験”を二度もできたんだ」。名作の映像化をふたたび手がけるよろこびと誇りを、うれしそうに語っている。

 原作はイギリスを代表する作家J.R.R.トールキンの代表作のひとつであり、1937年に発表された『ホビットの冒険』。50の言語に翻訳され1億部を売り上げ、各国の人々に親しまれ続けている。この物語はそもそもトールキンが自分の子供に読んで聞かせようと創作したそうで、自然を愛し、戦争体験や逆境に立ち向かう市井の人々への思いがつづられているとも。本作で脚本と製作を手がけるフィリッパ・ボウエンが語る。「ガラドリエルの質問に答えるガンダルフの答えはトールキンのメッセージであり、この作品のテーマでもあると思います。凡人のもつ底力、小さな善行、小さな思いやりは、英雄の活躍に負けないくらいのパワーと可能性を秘めているということです」。

 本作にはロード〜シリーズのフロドのように明確な主人公がいるというより、旅人15人の冒険という群像劇の妙をたのしむ仕上がりに。人生初の冒険にでるビルボ役はフリーマンがほのぼのとした雰囲気で。自然体の表現力を監督が絶賛している。失われたドワーフ国の王族の末裔であるリーダー、トーリン役をアーミティッジが誇り高く好演。エネルギッシュで個性的な13人のドワーフの仲間たちを、ケン・スコット、グラハム・マクタビッシュ、エイダン・ターナー、ディーン・オゴーマン、ウィリアム・キルシャー、ジェームズ・ネスビット、スティーブン・ハンター、ピーター・ハンブルトン、ジョン・カレン、マーク・ハドロウ、ジェド・ブローフィー、アダム・ブラウンが演じている。そして“ロード・オブ・ザ・リング”3部作より、今回の旅をサポートする魔法使い“灰色のガンダルフ”役をマッケランが堂々たる風格で、不死の種族エルフの王妃ガラドリエル役をケイト・ブランシェットが気品あるたたずまいで演じ、フロド役でブレイクしたイライジャ・ウッドは冒頭のシーンに登場。指輪に魅入られたかのクリーチャー、ゴラムを演じるサーキスは、本作で第2班の監督も。サーキスがもともと希望していたことを知っていたジャクソン監督が「監督業に進出するチャンスだよ」とうながし、実現したそうだ。

マーティン・フリーマン

 ホビット3部作の映像は、1 秒/48 コマという高い描画速度によるハイ・フレーム・レート(HFR)3Dで撮影。ジャクソン監督は語る。「前回(ロード〜)のトリロジーを上回る映像体験を提供したかったんだ。10年前は3D撮影も今ほどさかんじゃじゃなかった。今回は最新のHFR技術を駆使して48fpsで撮影した。長編映画としては初の試みだよ」。映画館では通常の2D、3D、IMAX、そして一部の映画館でHFR3Dにて上映される。

 撮影はロード〜3部作の舞台となり、“地上の中つ国”として世界的に知られるようになったニュージーランドの南島と北島にて。劇中の“トロルの森”は、マンガオタキ・ロックスの実景とスタジオの美術セットを組み合わせたものだそう。またフィヨルドランド国立公園やカフランギ国立公園のオーウェン山という本物の大自然での貴重な撮影も。撮影スタッフは地主、市町村議会、自然保護省、そしてマオリ族の代表団であるイウィやクラウンにもかけあい、この撮影が実現したとのこと。撮影中は物資の再利用と環境にやさしい廃棄処理を心がけたそうだ。

 “失われた故郷を取り戻す”。実社会では2012年11月29日に行われた国連会議にて、パレスチナが国家を樹立する権利が認められ、国連での資格が“オブザーバー組織”から“オブザーバー国家”へ賛成多数で格上げが採択されたことも記憶に新しい。そしてホビットの物語は、2作目『ホビット スマウグの荒らし場』(2013年12月13日公開)、3作目『ホビット ゆきて帰りし物語』(2014年7月18日公開)へ。命がけの冒険のさなか、対立やいさかいを経て信頼は友情に。ひとりひとりは決して強くはない人々が力をあわせて、強大な支配へと立ち向かう。雄大な自然にいだかれて、希望へと向かう新たな旅ははじまったばかりだ。

『ホビット 思いがけない冒険』
2012年 アメリカ映画
データ
2012年12月7日更新
ホビット 思いがけない冒険
オフィシャルサイト
『ホビット 思いがけない冒険』

2012年12月14日公開
丸の内ピカデリーほかにて
全国ロードショー

■2012年 アメリカ映画
■上映時間2:50
■ワーナー・ブラザース映画配給
■原題/『THE HOBBIT AN UNEXPECTED JOURNEY』
■監督・製作・脚本/ピーター・ジャクソン
■製作・脚本/フラン・ウォルシュ
■脚本・共同製作/フィリッパ・ボウエン
■脚本/ギレルモ・デル・トロ
■出演/マーティン・フリーマン
イアン・マッケラン
リチャード・アーミティッジ
ケン・スコット
グラハム・マクタビッシュ
ウィリアム・キルシャー
ジェームズ・ネスビット
スティーブン・ハンター
ロブ・カジンスキー
エイダン・ターナー
ピーター・ハンブルトン
ジョン・カレン
ジェド・ブローフィー
マーク・ハドロウ
アダム・ブラウン
ケイト・ブランシェット
アンディ・サーキス
イライジャ・ウッド
ジェフリー・トーマス
マイク・ミズラヒ




プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。