ジャージー・ボーイズ

C・イーストウッドがトニー賞受賞の人気ミュージカルを映画化!
伝説的なグループ、ザ・フォー・シーズンズの名曲とともに、
彼らの栄光の軌跡と背景の逸話を映すヒューマン・ドラマ

  • 2014/09/26
  • イベント
  • シネマ
タイトル©2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC ENTERTAINMENT

クリント・イーストウッドが監督・製作を手がけ、トニー賞のミュージカル部門で最優秀作品賞、最優秀主演男優賞をはじめ4部門を受賞したブロードウェイのヒット作品を映画化。「シェリー(Sherry)」をはじめ、1960年代に数々のヒット曲を放ったアメリカの伝説的なグループ、ザ・フォー・シーズンズのメンバーの栄光の軌跡と、その舞台裏を描く。
 出演はミュージカルと同じ役で出演するジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、マイケル・ロメンダ、レネー・マリーノら、そして映画版のキャストとしてインディペンデント映画を中心に活動するビンセント・ピアッツァ、意外にもイーストウッド作品は初出演という個性派のオスカー俳優クリストファー・ウォーケンが名を連ねる。
 アメリカのニュージャージー州の貧しい地区に生まれた青年たちは、ごく当たり前にケチな犯罪をしていた。音楽の才能を地元のギャングに認められ、支援されてはいるものの、そう簡単にうまくはいかず……。実話をもとに、さまざまな出会い、成功の影にあった裏切りと挫折、家族との軋轢などのエピソードを描く。たくさんのアーティストたちにカバーされてきた名曲の数々と、メンバーたちの逸話を映すヒューマン・ドラマである。

1951年、イタリア移民の労働者階級が多く暮らすニュージャージー州のベルヴィル。理髪店の見習いとして働く16歳のフランキーは、すばらしい歌声の持ち主として近隣で知られている。地元を仕切るマフィアのボス、デカルロもフランキーの歌の才能に惚れこんではいるものの、この街にいながら音楽で成功するというのは夢のまた夢、ということは誰もがわかっていた。ある日、地元のバーで歌っていた幼なじみのトミーに誘われ舞台で歌ってから、フランキーもグループメンバーとして一緒にライブをするように。メンバーのトミーやニックが犯罪をしては刑務所を出たり入ったりするなか、15歳にしてヒット曲「ショート・ショーツ」を放った作曲家でキーボード奏者である天才肌の青年ボブ・ゴーディオが新メンバーとして加入。1960年にザ・フォー・シーズンズとして活動を開始する。

ジャージー・ボーイズ

これまでの総観客動員数は2000万人以上。2005年の初演以来、今も8年以上ロングラン公演が続いている、世界的な人気を誇るブロードウェイ・ミュージカルの映画化。
 ザ・フォー・シーズンズとは、これまでのレコード売上数は1億7500万枚、1990年に「ロックの殿堂」入りを果たした、アメリカの伝説的なグループ。ビルボードで連続1位を獲得した「シェリー(Sherry)」「恋はヤセがまん(Big Girls Don’t Cry)」「恋のハリキリ・ボーイ(Walk Like A Man)」の3曲をはじめ、今もたくさんのアーティストがカバーし続けている、フランキー・ヴァリのソロ名義による「君の瞳に恋してる(Can't Take My Eyes Off You)」など、数々の名曲で知られている。ちなみにボブ・ゴーディオが15歳の時に作ったロイヤル・ティーンズの「ショート・ショーツ(Short Shorts)」は、日本ではテレビ朝日系の深夜番組『タモリ倶楽部』のオープニング曲として、大人世代にはなじみのある曲だ。音楽と映画について、イーストウッドは語る。「この映画を観終わった人々は、きっと歌を口ずさみながら映画館から出てくる。それはうれしいことだ。だが、それだけでなく、彼らの歌がどこから生まれたかという背景を楽しみながら知ってほしいし、そのサウンドが今でも影響を与え、愛され続けている4人の若者のことをずっと覚えていてほしいね」

大ヒットミュージカルの映画化にあたり、製作のグレアム・キングがイーストウッドに監督を打診したところ、脚本を送るとすぐに「やりたい」と返事があったとのこと。イーストウッドは当時、舞台版を観ておらず、公演をラスベガス、サンフランシスコ、ブロードウェイにて連続で観たそうだ。アメリカのさわやかな人気グループの知られざる経歴やエピソードを描くこの物語について、イーストウッドは彼らの背景にあるドラマにいちばん惹かれたと語る。「ザ・フォー・シーズンズの音楽は昔からとても好きだったので、改めて聴き直すのはきっと楽しいと思っていた。だが、私が主に興味をもったのは、最高の環境で育ったとは決して言えない、半分不良みたいな若者たちがどうやって成功したのか、という点だった。彼らはギャングのそばで育ち、ケチな犯罪などにも手を染めていた。刑務所に入った者さえいた。だが、その後、音楽が彼らをそこからひっぱり出したんだ。彼らは必死に努力する目標を手に入れた」

映画ではミュージカルで演じていた役者たちを同じ役で多数起用。ボーカルのフランキー・ヴァリ役はジョン・ロイド・ヤングが、シンガーとしての成功や家族との不和について丁寧に表現。作曲家でキーボーディストのボブ・ゴーディオ役はエリック・バーゲンがおだやかな気性の天才肌として、グループのメンバーで幼なじみのニック・マッシ役はマイケル・ロメンダがスマートに、フランキーの最初の妻メアリー役はレネー・マリーノが強気な女性として演じている。映画のキャストとしては、グループのメンバーで幼なじみ、兄貴肌でトラブル・メーカーでもあるトミー・デヴィート役はビンセント・ピアッツァが荒っぽく、地元のギャングのボス、デカルロ役はウォーケンが威厳をもって、ヒット・メーカーの音楽ディレクター、ボブ・クルー役はマイク・ドイルがやり手として、フランキーの恋人ロレイン役はエリカ・ピッチニーニが知的に演じている。
 バンドのメンバーである主要キャストの4人にとって、本格的な映画デビューとなった本作。イーストウッドは「4人ともすばらしかった」と俳優たちを称え、「私たちは大スターを求めなかった。それぞれの役に最適な俳優を捜し、ちゃんと獲得したと思っているよ」と語っている。

ジョン・ロイド・ヤング

映画の場合、ミュージカル・シーンは歌を撮影前に録音しておくことがほとんどであるものの、本作では撮影現場で歌い、そのまま録音しているそうだ。原作の舞台でずっと歌ってきたジョン・ロイド・ヤングは、「僕は最初、映画ではカメラの前で生で歌うことが例外的だということに気づかなかったんだ」とのこと。そして「クリントはほんとうに音楽を愛している人なので、あの伝説的な監督が、歌っている僕らの目の前で、ほかの人々と一緒にうっとり聴き入っているのを見るのはすごくいい気分だったよ。あれは最高だったな」とコメントしている。
 そしてイーストウッドはこのように語っている。「彼らのほとんどが数えきれないほど生で歌った経験がある以上、そのほうが自然な流れだった。実際に歌うのを観て、聴くと、そのすばらしさがわかるし、感情の機微がよくわかる」

ジョン・ロイド・ヤングは原作のミュージカルでの成功により、一躍スターに。本作の演技が認められ、トニー賞、ドラマデスク賞、アウター・クリティックス・サークル賞、シアター・ワールド賞の主演男優賞を受賞。ブロードウェイ・デビュー作品でこの四大演劇賞すべてを受賞した初のアメリカ人俳優となったそうだ。また劇中で使用した歌を収録したキャスト・アルバムでもリード・ボーカルを務め、このアルバムはプラチナ・アルバムとして認定され、グラミー賞を受賞。それから彼はハリウッド・ボウルで上演されたコンサート形式の公演『レ・ミゼラブル』でマリウスを演じ、‘12年には‘60年代のR&Bヒット曲の数々をカバーしたアルバム『My Turn...』でソロ・デビュー。‘13年2月にニューヨークの名門ナイトクラブ「カフェ・カーライル」に初出演して以来、ホワイトハウス、カーネギー・ホール、ニューイヤーズ・イブのタイムズ・スクエアでのイベント、リンカーン・センター、ヤンキー・スタジアム、ケネディ・センターなどの有名な会場でで公演をおこなっている。そして‘13年には、バラク・オバマ大統領の命により、大統領夫人ミシェル・オバマが名誉会長を務める「President’s Committee on the Arts and the Humanities(PCAH)」(文化問題に関してホワイトハウスに助言する顧問委員会)に加わったそうだ。ロイド・ヤングはこの作品での成功をきっかけに、まるで自らが演じるヴァリさながらの輝かしい活躍をしている。

ジャージー・ボーイズ

「地元を出る方法は3つ。“軍隊に入る“、でも殺される。“マフィアに入る“、それも殺される。あるいは“有名になる“ ……俺たちはあとの2つだった」。メンバー4人それぞれの独白のような、語りかけるかのようなナレーションが特徴である本作。映画の脚本は、ミュージカル版の台本を手がけたリック・エリスとマーシャル・ブリックマンが担当。製作として、ザ・フォー・シーズンズのフランキー・ヴァリ本人とボブ・ゴーディオ本人も参加している。
 イーストウッドは映画について、このように紹介している。「ザ・フォー・シーズンズのメンバーは、犯罪に手を染めるような貧しい地区の出身だったのだが、音楽に出会って努力をするようになった。そして彼らの歌は世界中で大ヒットしたんだ。彼らの名曲に秘められたストーリーを、日本のみんなにも映画『ジャージー・ボーイズ』を通じて、楽しんでもらえると思う」

作品データ

ジャージー・ボーイズ
公開 2014年9月27日公開
新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2014年 アメリカ
上映時間 2:14
配給 ワーナー・ブラザース映画
原題 Jersey Boys
映倫 G
監督・製作 クリント・イーストウッド
脚本・ミュージカル版脚本 マーシャル・ブリックマン
リック・エリス
製作総指揮 フランキー・ヴァリ
ボブ・ゴーディオほか
出演 ジョン・ロイド・ヤング
エリック・バーゲン
マイケル・ロメンダ
ビンセント・ピアッツァ
クリストファー・ウォーケン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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