マイティ・ソー バトルロイヤル

新監督でユーモアもドラマ性もレベルアップ!
ソー率いる即席チームV.S.死の女神ヘラの死闘を描く
SFアクション・エンターテインメント

  • 2017/11/06
  • イベント
  • シネマ
マイティ・ソー バトルロイヤル©Marvel Studios 2017 All rights reserved.

雷神ソーの物語が、新監督を迎えてユーモアもドラマ性も格段にパワーアップ。出演はシリーズ作より継続で『アベンジャーズ』のクリス・ヘムズワース、マーク・ラファロ、トム・ヒドルストン、イドリス・エルバ、そして大御所アンソニー・ホプキンス、新たな共演者は『ブルージャスミン』のオスカー女優ケイト・ブランシェット、『クリード チャンプを継ぐ男』のテッサ・トンプソンほか。監督は大規模な長編映画は今回が初となる、脚本家・俳優・コメディアンとしても活躍するニュージーランド出身のタイカ・ワイティティが手がける。驚異的な破壊力で故郷アスガルドを乗っ取ろうとする死の女神ヘラに対峙したソーは、辺境の星に弾き飛ばされる。が、再度ヘラに対抗すべく即席のメンバーと手を組もうとするが……。ソーとロキ兄弟の関係、ソーとハルクの友情、新たな仲間たち、守るべき人々、王子として故郷に向き合うこと。充実のドラマを軸にキレのあるコメディをたっぷりと、愛嬌と温かみのあるSFアクション・エンターテインメントである。

ケイト・ブランシェット

地球の支配を目論んだ人工知能ウルトロンとアベンジャーズの戦いから2年。故郷アスガルドに戻ったソーは、義弟ロキが追放した父オーディンを捜すためにロキとともに地球へ降り立つ。魔術師ドクター・ストレンジの協力を得て、兄弟はオーディンと再会。そこに死を司る女神ヘラが現れ、ソーとロキは戦うが2人とも宇宙の辺境へと弾き飛ばされてしまう。アスガルドを乗っ取るべく侵入したヘラは、門番のスカージを手下に従え、恐怖による支配を開始。その頃ソーは、辺境の惑星サカールに流れ着く。

これまでの路線から、キャラクターと物語のトーンが大きく変化。ノリとしては2014年の映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を思わせる、コミカルな会話やオフビートの表現で観客を引きつける感覚で、予想以上に楽しめる仕上がりとなっている。今回で3作目となるソーが主演のシリーズ作のなかでも、本作がエンターテインメントとして個人的に一番面白いなと。クリスが演じるソーのキャラクターとアメリカン・コミックの映画化というジャンルのおいしいところを、ワイティティ監督が存分に引きだしているように思える。本作でワイティティ監督を起用したことについて、製作総指揮のブラッド・ヴィンダーバウムは語る。「私たちはタイカのこれまでの作品を見て、彼ならできると感じました。彼はキャラクターをよく理解していて、コメディとシリアスなドラマのセンスがあるのです」
 本作の製作を手がけるマーベル・スタジオのプロデューサー兼プレジデントのケヴィン・ファイギは、本作への思いについて語る。「ソーの新しいアドベンチャーを作るにあたり、今までとはまったく違う作品にすることを目指しました。トーンをがらりと変えることで、観客の人々を驚かせたいと心から思っています」
 そしてワイティティ監督は映画製作についてこのように語っている。「僕はいつも、可笑しいのと同時にハートがあり、観客の琴線に触れるような、心の深いレベルでつながれるようなバランス感覚やミックスを目指しています」

クリス・ヘムズワース,マーク・ラファロ

アスガルドの王子である雷神ソー役は、今回で同キャラを演じるのが5度目となるクリスがより親しみやすく魅力的に。コミカルでもやるときはやる新生ソーは、クリスのコメディ・センスが存分に生きていると監督や共演者たちのお墨付きで、「今回のソーが僕自身に一番近いと思うよ」と本人もコメントしている。マーベルヒーローズのなかでも人気の高い悪童キャラ、ソーの義弟ロキ役は4度目となるトム・ヒドルストンが相変わらずの二枚舌ながら、それだけじゃない一面も。兄弟の父でアスガルドの王オーディン役はアンソニー・ホプキンスがどっしりとした存在感で、アスガルドの架け橋の番人で千里眼のヘイムダル役はイドリス・エルバが、アスガルド三勇士のひとりホーガン役は浅野忠信が演じている。また『アベンジャーズ』シリーズのハルク/ブルース・バナー役のマーク・ラファロが参加し、ソーとハルク/ブルースの凸凹コンビを描いているのも楽しい。さらに短い出演ながら、ベネディクト・カンバーバッチ演じるドクター・ストレンジの登場という贅沢も。
 新しいキャラクターとしては、辺境の惑星サカールの賞金稼ぎで悲しい過去をもつヴァルキリー役は、テッサ・トンプソンがやんちゃでワイルドに、サカールを統治する独裁者グランドマスター役は、ジェフ・ゴールドブラムがクレイジーな格闘マニアとして、アスガルドの戦士で門番のスカージ役はカール・アーバンが、そしてサカールの囚人である岩人間コーグ役は、ワイティティ監督本人がモーション・キャプチャーで演じている。
 そして注目は、マーベル・スタジオ作品では初の女性ヴィラン(悪役)である死の女神ヘラ役のケイト・ブランシェットだ。ブラックと深いグリーンを基調にした衣装にエレガントな動きがハマり、演技派の美人が凄むとマジでコワい。ソーとロキがまとめてかかってもまったくかなわず、恐ろしい破壊力でアスガルドを手に入れようと突き進みながらも、その怒りと恨みには理由がある、ということがよく伝わってくる。

トム・ヒドルストン

前半とクライマックスのソーの戦闘シーンに流れるレッド・ツェッペリンの「Immigrant Song」が絶妙で、高揚感を盛り上げる本作。コメディの見どころは全編にありながら、あるシーンでソーがロキに「『助けてー』をやろう」というところや、賞金稼ぎのヴァルキリーが登場シーンでタラップから……というところ、岩風呂からあがったハルクを見たソーが繰り返す独り言など、古典的ギャグというか、パロディならともかく以前の本家マーベルヒーローものではあまりなかったローテクなおもしろシーンに、不意を突かれて笑ってしまう、というのが筆者は何度もあって。ワイティティ監督はキャラクターとコメディについて、このように語っている。「僕はみんなに映画を見て、キャラクターたちを愛してもらいたいと思っているんだ。映画のなかで僕が重要としているのはキャラクターであり、良いシーンなんだよ。僕は人々が引き込まれるシーンが大好きだ。観ていて楽しいよね? そして僕が本作に持ち込んだもの、それは“面白さ”なんだよ」

本作はソーやハルクやロキはもちろん、アイアンマン、キャプテン・アメリカ、スパイダーマンなどなど、マーベル作品の主人公たちが集結する『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年4月27日に日本公開予定)へつながる重要な役割を果たす、というケヴィン・ファイギのコメントも話題に。
 最後に、2017年10月9日〜11日(現地時間)にアメリカのロサンゼルスで行われたジャンケットとワールドプレミアに出席した、クリスと監督のメッセージをご紹介する。
 クリス:「日本のファンの皆さん、いつも熱心にサポートしてくれて本当にありがとう! 今回はワイルドでクレイジー、これまでとはまったく違う予測不能な映画になっていると思います。ぜひ劇場で楽しんでね!」
 ワイティティ監督:「エネルギー全開のカラフルでにぎやかな、僕らしいスタイルの映画にできたと思う。こうしてプレミアを迎えて、改めて良い映画を作り上げたという達成感を感じているよ。目指したのは、なによりも楽しい映画にすること。観客のみんなが満面の笑顔で劇場を後にするようなね」

作品データ

劇場公開 2017年11月3日よりTOHOシネマズ日劇ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2017年 アメリカ映画
上映時間 2:11
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題 THOR:RAGNAROK
監督 タイカ・ワイティティ
脚本 エリック・ピアソン
ストーリー クレイグ・カイル
&クリストファー・ヨスト
ANDエリック・ピアソン
製作 ケヴィン・ファイギ,p.g.a.
出演 クリス・ヘムズワース
トム・ヒドルストン
ケイト・ブランシェット
イドリス・エルバ
ジェフ・ゴールドブラム
テッサ・トンプソン
カール・アーバン
マーク・ラファロ
アンソニー・ホプキンス
日本語吹替版
声の出演
天海祐希
三宅健太
平川大輔
宮内敦士
沢城みゆき
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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