eHills Club 試写会日記

毎週、映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ! 傑作でもB級でも映画ってやっぱり素敵!!

グリンチ

「みんなのクリスマスを盗んでやる!」
アメリカの有名な絵本を生き生きとアニメ化
イルミネーション・スタジオによる最新作

グリンチ© 2018 UNIVERSAL STUDIOS

『ミニオン』『怪盗グルー』シリーズのイルミネーション・スタジオが、アメリカの絵本作家ドクター・スースの『How the Grinch Stole Christmas!(邦題:いじわるグリンチのクリスマス)』を映画化。声の出演は、グリンチ役を映画『ドクター・ストレンジ』のベネディクト・カンバーバッチが、ナレーションを『怪盗グルーの月泥棒 3D』『怪盗グルーのミニオン危機一発』のサウンドトラックを手がけ、「Happy」が大ヒットしたミュージシャン、ファレル・ウィリアムスが担当。監督はアニメ映画『ロラックスおじさんの秘密の種』(ドクター・スース原作)のヤーロウ・チェイニーと、『世界で一番パパが好き!』のスコット・モシャーが共同で手がける。クリスマスが大嫌いなグリンチは、ある計画を思いつき……。原作のシンプルなストーリーを、イルミネーション・スタジオの生き生きとしたキャラクターや躍動感あるカラフルなヴィジュアルで彩る、ファミリー向けのアニメーション映画である。

グリンチ

クリスマスが大好きで陽気なフーの村の住人たちは、今年は3倍のお祝いをしようとみんなで盛り上がっている。けれど村の北にある洞窟で暮らすグリンチは、孤児院で育った幼い頃の寂しさや孤独を思い出すクリスマスが大嫌い。今年は食料が底をつき、仕方なく村まで調達しに行くと、村中のどこでもみんなが笑顔でクリスマスの準備中。村の喧騒で嫌な気分を思い出したグリンチは「村からクリスマスを盗んでやる!!」と、愛犬マックスを相棒に大計画を練り始める。

グリンチは、本国アメリカではクリスマスのキャラクターとして有名で、2000年にはジム・キャリー主演の実写版で映画化も。今回の映画は、北米では2018年11月9日の公開からずっとランキング上位にあり、子どもから大人まで広く愛されているキャラクターをイルミネーション・スタジオが手がけたことで大成功となったようだ。ただアメリカの人たちほどグリンチに親しみのない日本人にとっては、映画後半であまりにもあっさりと物語が急展開するところなど絵本のストーリーならではのシンプルさに、観ているとちょっとした違和感も。それでも小さな子どもたちのためのファミリー向け映画ならちょうどいいくらいなのだろう。大人が観るならクリスマスシーズンの童心に返る雰囲気や、イルミネーション・スタジオらしい丁寧なアニメーション制作による疾走感や浮遊感、キモかわいい+素直にかわいらしいキャラクターたちの色鮮やかなヴィジュアルが楽しめる。

グリンチ

クリスマスが大嫌いなグリンチ(声:ベネディクト)は、ちょっと影のあるヒネくれぶりとユーモア、緑のふさふさとした体毛でキモかわいく。クリスマスを心待ちにしている少女シンディ・ルー(声:キャメロン・シーリー)は元気にアクティブに、働きながら娘のシンディ・ルーと双子の弟を育てるママのドナ(声:ラシダ・ジョーンズ)は、がんばり屋の健気なシングルマザーとして、クリスマスが大好きなグリンチの隣人ブリクルバウム(声:ケナン・トンプソン)は能天気に、それぞれ現代的な感覚を反映した設定で明るくタフなキャラクターとなっている。またグリンチに忠実で、毎朝コーヒーを淹れて服を選び、執事のように献身的に世話を焼く愛犬のマックスのかいがいしい活躍ぶり、映画オリジナルのキャラクターで8頭分の大きさとパワーをもちながら、のんびりとした性格で食いしん坊かつ甘えん坊の巨体トナカイ、フレッドといった動物たちもかわいい。
 日本語吹替え版では、あえての情けないようなペーソスを含む軽妙な持ち味と温かみがグリンチ役にハマる大泉洋をはじめ(そういえば『千と千尋の神隠し』では番台蛙の声を担当していたし、緑の生き物に縁があるような)、実際にいま双子を子育て中である女優の杏、ロバートの秋山竜次、そしてドラマ『義母と娘のブルース』の子役・横溝菜帆、声優の宮野真守らが参加している。
 映像としては、洞窟を快適(?)に改造したグリンチの住空間、グリンチお手製の不思議なマシンの数々などが面白い。

原作は1957年にアメリカの絵本作家ドクター・スースが発表した『How the Grinch Stole Christmas!(邦題:いじわるグリンチのクリスマス)』。ドクター・スースは『And to Think That I Saw It on Mulberry Street(邦題:マルベリーどおりのふしぎなできごと)』の出版により1930年代から絵本作家として活動をはじめ、1954年の『Horton Hears a Who!(邦題:ぞうのホートンひとだすけ)』(2008年のアニメ映画『ホートン/ふしぎな世界のダレダーレ』の原作)、1957年の『 The Cat in the Hat(邦題:キャット イン ザ ハット)』(2003年のアメリカの実写映画『ハットしてキャット』の原作)、1971年の『The Lorax』(イルミネーション・スタジオによる2012年のアニメ映画『ロラックスおじさんの秘密の種』の原作)など、映画化された数々の作品の著者として知られている。ドクター・スースはアメリカの子どもたちの識字率をあげるため、英単語を明るく楽しく覚えられるように工夫をこらした絵本シリーズを数人の絵本作家とともに手がけ、1980年に児童文学の発展に貢献した人物としてローラ・インガルス・ワイルダー賞を、1984年にピューリッツァー賞特別賞を受賞した。

グリンチ

同時上映は、ミニオンの新作短編『ミニオンのミニミニ脱走』。雪深い真冬の景色や過去の出来事で、影と冷気と湿度のある『グリンチ』の前に、期待通りのカラッとしたナンセンスな明るさと勢いで笑わせてくれる。
 最後に、2018年11月3日(現地時間)にニューヨークで行われたワールドプレミアにて、映画の観客に向けてベネディクト・カンバーバッチが語ったメッセージをお伝えする。「本作はユーモアとウィットに富んだ心温まるストーリーや、色鮮やかな映像といったイルミネーション・スタジオならではの魅力が強く形作られた素晴らしい映画に仕上がっているんだ。だから小さな子どもたちや家族のみんなを含め、大勢の人々が劇場に足を運んでくれることを祈っているよ」

2018年12月10日更新

作品データ

劇場公開 2018年12月14日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2018年 アメリカ
上映時間 1:26
配給 東宝東和
原題 The Grinch
監督 ヤーロウ・チェイニー
スコット・モシャー
原作 ドクター・スース
音楽 ダニー・エルフマン
プロデューサー クリス・メレダンドリ
声の出演 ベネディクト・カンバーバッチ
日本語吹替え 大泉洋

秋山竜次(ロバート)
横溝菜帆
宮野真守
ライター:あつた美希 CSホロス株式会社代表取締役。フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを担当。2015年よりフレグランスジャーナル社『アロマトピア』でコラム“シネマ・アロマ”を、2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。インタビュー記事の執筆も。