メン・イン・ブラック:インターナショナル

MIBに憧れて見習い女性エージェントとなったMと、
チャラいけどデキるイケメン先輩Hの活躍を描く
エイリアンから地球防衛! 定番SFアクション・コメディ

  • 2019/06/13
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メン・イン・ブラック:インターナショナル

前作から7年、シリーズ3部作が世界的にヒットしたMIB第4弾が新メンバーで完成。出演は、『マイティ・ソー バトルロイヤル』のクリス・ヘムズワースとテッサ・トンプソン、『96時間』シリーズのリーアム・ニーソン、『日の名残り』のエマ・トンプソン、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のレベッカ・ファーガソン、世界的に活躍する双子のダンサーLes Twinsほか。監督は2017年の『ワイルド・スピード ICE BREAK』のF・ゲイリー・グレイ。脚本は『アイアンマン』や『トランスフォーマー/最後の騎士王』のマット・ホロウェイ&アート・マーカムが共同執筆、製作総指揮はMIB3部作から引き続きスティーヴン・スピルバーグが手がける。MIBニューヨーク本部の新人エージェントMは、上司Oの命によりロンドン支部へ。イケメンの先輩エージェントHとともに、MIB内部に潜むスパイ摘発の調査を始めるが……。エイリアンの侵略から地球を守れ! というシンプルなテーマのもと、肩の力の抜けた有能でカッコいいエージェントたち、キモかわ系、いかつい系、わかりやすい異星人タイプのエイリアン、SF的ガジェットなどなど、ポップコーン片手にカラッと笑って楽しめる、定番のSFアクション・コメディである。

テッサ・トンプソン,リーアム・ニーソン

アメリカのニューヨークに本部を置く最高機密機関「メン・イン・ブラック(MIB)」。エージェントたちはブラック・スーツとサングラスに身を包み、今日も地球上に生息するエイリアンが犯罪や侵略行為を行わないように監視・取り締まりを行っている。PC修理の電話相談オペレーターをしているモリーは、子どもの頃に起きたある出来事をきっかけに20年間ずっとMIBに憧れ続けていた。そしてある日、任務中のエージェントを追跡してNY本部に単身乗り込み、熱意を懸命に伝え、この日のために鍛えてきた高い知力と体力を示し、エージェント見習いとして合格する。晴れて新人エージェントMとなった彼女は、上司Oの命によりロンドン支部へ。イケメンでチャラい先輩エージェントHとともに、宇宙のVIPであるジャバビア星の王族ヴァンガスの警護に同行するが……。

1997年、2002年、2012年に3作品が製作・公開された人気シリーズMIBの最新作。今回はMIBロンドン支局が主な舞台であり、ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズの出演はないものの、新メンバーの主演2人が元気よく活躍していてほほえましい。テッサ演じるモリーは、MIBにエージェントとして強引に立候補し、スカウト制と言われても食い下がり、実力を示して子どもの頃からなりたかった仕事に見事就くというガッツの持ち主。さらに仕事のデキるイケメン先輩Hを「素敵!」と思うと、知恵と機転で自身を相棒として売り込むなど、知力・体力・決断力のそろった爽やかな行動派、というキャラクターがフレッシュでかわいい。本作は俳優たちがキャラクターの雰囲気によくハマッていること、そしてエイリアンたちやガジェットといったMIBワールドの魅力を継いで、安定の面白さとなっている。

テッサ・トンプソン,クリス・ヘムズワース

MIBの新人エージェントMことモリー役は、テッサがかわいく賢くさっぱりと。MIBの仕事に賭ける一途さとともに女子っぽさもちゃんとある、というバランス感が現代的だ。度胸があり大胆、仕事がデキてやや軽薄な中堅エージェントのH役は、クリスがわかりやすいイケメンでありながら、意外と先々まで考えていたり、いざという時の覚悟があったりという男らしさをさりげなく。Hの上司でかつて宇宙一邪悪なエイリアンから地球を救った伝説的エージェントのハイT役は、リーアム・ニーソンが穏やかに、Mの上司でニューヨーク本部のエージェントO役は、エマ・トンプソンがきっぱりと。Hの元カノである武器商人リザ役はレベッカ・ファーガソンがアクの強い姐さんとして演じている。双子ダンサーLes Twinsは謎の残忍な宇宙人役として登場し、攻撃を「ゆらり」と受け流す動きなどがいちいち格好いいだけでなく、クラブのフロアでダンスを披露するシーンもあるので注目だ。そしてこれまでの人気キャラ、パグ犬タイプのエージェント・フランクやおしゃべりな情報屋ワームらの出演は1〜2シーンのみ。新たな宇宙人キャラのポーニィは、歴代の宇宙人キャラたちと比べると見た目も個性も……であり、性格は日和見のお調子者ながらも、主(あるじ)に献身する様子など、重要なシーンで予想以上に活躍するさまがなかなか頼もしい。

クリスは2019年5月29日に本作のワールド・プロモーションの一環で訪れたインドネシア・バリの記者会見にて、今回の映画についてウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズとは話していないと明かし、これまでの3部作への敬意と黄金タッグへの思いを語った。「僕らがやったことを、彼らが誇りに思ってくれることを願っているよ。彼らが演じたキャラクターはまだみんなの中で生き続けているから、もしまた次の作品を作る幸運に恵まれたら、彼らのキャラクターたちと絡めたらいいね」
 “MIB”というワードはすでに記号のようなもので、個人的には観ていてまったく気にならないけれど、女性エージェントが活躍する本作が、「ウーマン・イン・ブラック」ではなく「メン・イン・ブラック」であることについて劇中で軽くツッコミがあるのも可笑しい。女性エージェントの活躍を描くことについて、クリスは前述の会見でこのように語った。「最初にこのストーリーの説明を受けた時、今までにないことをやる、男にしろ女にしろ最高の映画を作る、ということだった。もちろん、プロデューサーや脚本家たちには、男女平等に対する認識はあったと思うよ。でもこれまでも『メン・イン・ブラック』というタイトルではあったけれど、女性のエージェントはいたよね。エマ・トンプソンは3作とも出演しているし、局長役だ。今までの3作は2人の男たちが主人公だったけど、今回はこういう形になった。僕はとにかくテッサと共演できたことに感謝している。彼女はすごく才能があるし、ユーモアのセンスも抜群だ。僕らはこの作品を誇りに思っているし、みんなにも気に入ってもらえると思うよ」

ポーニィ

おなじみのニューラライザー(ピカっと光って記憶を消すペン型記憶消去装置)をはじめ、武器、バイク、車などさまざまなSF的ガジェットも定番の見どころのひとつ。エイリアンの攻撃に応戦するのに、ホイールカバー、サイドミラー、エキゾーストパイプなどジャガーの車体から次々と武器を取り出すシーンも地味に楽しい。そして最新式MIBカーはレクサスの新型クーペモデルRC F。2019年6月14日〜30日に、東京ミッドタウン日比谷内のレクサスのブランド体験型施設「LEXUS MEETS...」にて、MIB特別仕様RC Fと、本作に登場する対エイリアンの武器などの展示も。

これまでの3部作の流れを継いだ安心感のある面白さで魅せる、F・ゲイリー・グレイ監督による本作。ウィル・スミスとトミー・リー・ジョーンズの黄金タッグから新メンバーへ、今後もMIB継続なるか。例えばクリスとテッサの共演作『マイティ・ソー バトルロイヤル』の監督で、シリーズ作であろうともエッジの効いた陽気なコメディを打ち出せる、ニュージーランドで俳優やコメディアンとしても活躍するタイカ・ワイティティが監督したら、また違うテンションで面白くなりそう、と個人的に思う。
 今回の撮影は“インターナショナル”というタイトル通り、ニューヨークのみならずロンドン、モロッコ、イタリアにて。クリス前述の記者会見にて、観客へのメッセージをこのように語った。「今回のコンセプトはこのシリーズでやってきたことを継続しつつ、さらに膨らませていくことだった。今までのニューヨークという都会の風景から飛び出して、ロンドン、モロッコ、イタリアで撮影したから、景観も作品のエネルギーやフィーリングも今までとは違っている。僕が最初に魅かれたのもその点だった。それに、すごく面白い作品だしね。MIBには'80年代の警察ドラマを彷彿とさせる要素があって、そこにエイリアンなどの要素が入っている。そういう意味ですごくユニークな作品だ。スケールが大きくて楽しくて面白いアドベンチャー映画だから、出演できて最高に嬉しかったし、みんなも映画館に行って楽しめるはずだよ」

作品データ

公開 2019年6月14日より日米同時公開、TOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2019年 アメリカ
上映時間 1:55
配給 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
原題 MEN IN BLACK INTERNATIONAL
監督 F・ゲイリー・グレイ
脚本 アート・マーカム
マット・ホロウェイ
製作総指揮 スティーヴン・スピルバーグ
出演 クリス・ヘムズワース
テッサ・トンプソン
リーアム・ニーソン
エマ・トンプソン
レベッカ・ファーガソン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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