ANNA/アナ

凄腕の女性暗殺者を描くL・ベッソン監督の最新作
ソ連の諜報機関KGBで頭角を現すもCIAの罠に!
スピード感のあるスタイリッシュなアクション映画

  • 2020/06/02
  • イベント
  • シネマ
ANNA/アナ©2020 SUMMIT ENTERTAINMENT,LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

『ニキータ』『レオン』『LUCY/ルーシー』のリュック・ベッソンが監督・脚本・製作を手がけ、凄腕の女性暗殺者を描く最新作。出演は、ベッソン監督のSF『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』で映画デビューしたロシア出身のモデルで新進女優のサッシャ・ルス、『ホビット 竜に奪われた王国』のルーク・エヴァンス、『ダークナイト』のキリアン・マーフィ、2006年の映画『クィーン』のオスカー女優ヘレン・ミレンほか。1990年のモスクワ、大学生のアナはパリのモデル事務所にスカウトされてデビューし人気モデルに。しかし彼女には特殊な事情があった。ただひとつの望みを叶えるために、肉体と頭脳すべてを武器にして過酷な状況を生き抜いてゆく。ベッソン監督お得意の美人スパイによるスタイリッシュなアクション映画である。

サッシャ・ルス,ほか

1990年のロシア、モスクワ。ソ連の諜報機関KGB によってつくり上げられた暗殺者アナは、学生やファッションモデルやコールガールなど複数の顔をもち、国家に対する危険人物を“排除”している。アナは自身をKGBにスカウトしたアレクセイの恋人となり、冷徹な上官オルガの指令を次々と完遂していくなか、思いがけない出来事に遭遇。ある夜、“排除”に向かった現場でアメリカCIAの罠にはまったアナは、捜査官レナードから死か寝返るかの選択を突き付けられる。そして生き延びるため、KGBの暗殺者でありCIAへの情報提供者という二重スパイとして過ごすなか、レナードから“KGB長官暗殺作戦”という非常に困難なミッションの遂行を迫られ……。

凄腕の暗殺者である強靭なヒロイン・アナを美しくカッコよく映す、ベッソン監督の十八番スタイルで描く作品。アナ役のサッシャや、彼女同様ロシア生まれのファッションモデルであり、本作がスクリーンデビューとなったレラ・アボヴァなど美しくフレッシュな出演者と、実力派たちの共演で引きつけるのが特徴だ。本作で初期作品のネオノワール的スタイルやテーマに回帰したというベッソンは、観客へのメッセージを語る。「(本作のストーリーは)気分がいいと思っていた次の瞬間に嵐が起きる、人生そのものを反映しているんだ。それと同時に、観客に挑戦したいとも思っている。だから覚悟しておいてほしい」
 またサッシャは、アナというキャラクターと本作のストーリーの魅力について語る。「アナは罠にはまってしまい、ほかの人たちの暴力的なアジェンダを実行せざるを得ない立場に見えるわ。でもアナは、自分自身の計画を決して見失わないの。すごいスピードでストーリーが展開するし、サプライズもたくさんある。映画館を出てくる人たちが、少し息を切らしてくれていればうれしいわ」

キリアン・マーフィー,ルーク・エヴァンス

KGBの暗殺者アナ役はサッシャが、すさんだ過去や孤独と絶望から抜け出して自由を掴もうとするハングリーさを野性的に。スラリとした手足でスピード感のある激しいアクションを繰り出す姿が美しい。KGBの諜報員アレクセイ(アレックス)役はルークが剛腕で忠実な昔気質の男として、CIAの捜査官レナード役はキリアンがシックなゼニアのスーツやランバンのコートなどを着こなすスマートな頭脳派として、KGBのワシリコフ長官役はエリック・ゴドンが、アナの恋人モード役はレラ・アボヴァが、それぞれに演じている。
 ヘレン・ミレンが演じるKGBの冷酷な上官オルガ役は、メイクと衣装で風貌を作り込み、重く陰鬱な存在感で。どこかで見たことがあるようなイメージと思ったら、オルガの外見と立ち居振る舞いは、フランスの作家マルグリット・デュラスと、ロシア系アメリカ人の小説家、劇作家、脚本家であるアイン・ランドを参考にしたとのこと。ベッソンは敬愛するヘレンの出演について、エピソードを交えつつこのようにコメントしている。「ヘレンのことは、ずっと昔から大好きだった。オルガのルックスや足をひきずる歩き方は、2人で一緒に考えたんだ。オルガが初めて登場するシーンでは、ヘレンであることさえ気づかれないんじゃないかな。彼女がロシア人の血を引いていて、生まれた時はヘレン・ミロノフという名前だったことを初めて知ったよ。彼女はオルガ役に小さなディテールをいくつも加えてくれた。彼女と仕事ができて僕は本当に幸せ者だよ」

劇中では、銃撃戦や接近戦、カーチェイスなど派手なアクション・シーンが満載。サッシャは子どもの頃から習っていたバレエが役立ったと語り、1年かけてトレーニングや準備に集中したとのこと。アナのファイティング・スタイルは、ベッソンが’70年代のロシア映画とマーシャルアーツのビデオを観て研究しイメージを創作。レストランで皿やフォークなど使えるものすべてを武器にして死闘するシーンをはじめ、さまざまな戦闘や銃撃、クライマックスでKGB本部から脱出するシーンといったアナのアクションの数々は注目だ。またもともとモデルであるサッシャが48着の衣装をさまざまなヘアメイクで鮮やかに着こなし、ロシア娘として市場に潜入したり、モデルとしてさまざまなファッションをまとったり、コスプレかコンサートの衣装替えさながら次々と変身していくのも面白い。

ヘレン・ミレン

ベッソンお得意の美人暗殺者のサバイバル・アクションを描く本作。実は全米での評価はそれほど良いものではない。確かに設定やストーリーなど2018年の映画『レッド・スパロー』を思い出す内容で、オーソドックスな構成と先が読める展開であることは否めない。ただラストに明らかになる結びつきにはある種の味わいがあり、ベッソンはここに込めた思いがあるとも。この作品のテーマについてベッソンは語る。「今、僕らが生きている社会から失われてしまった大切なもののひとつに、“信頼”があると思う。だから、この作品の最も大きなテーマを“信頼”にしたんだ」

作品データ

公開 2020年6月5日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
制作年/制作国 2019年 フランス・アメリカ
上映時間 1:59
配給 キノフィルムズ/木下グループ
監督・脚本・製作 リュック・ベッソン
出演 サッシャ・ルス
ルーク・エヴァンス
キリアン・マーフィ
ヘレン・ミレン
レラ・アボヴァ
エリック・ゴドン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
XInstagram

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。