eHills Club 試写会日記

毎週、映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ! 傑作でもB級でも映画ってやっぱり素敵!!

ブラック・ウィドウ

“妹”と再会しスパイ機関に襲撃され、“父母”のもとへ
ブラック・ウィドウの秘められた生い立ちを描く
家族のドラマであり、凶悪な敵と戦うスパイ・アクション

ブラック・ウィドウ©Marvel Studios 2021

スカーレット・ヨハンソンが演じる最強のスパイ、ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフの初の単独作品。共演は、『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』のフローレンス・ピュー、『女王陛下のお気に入り』などのオスカー俳優レイチェル・ワイズ、Netflixのドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のデヴィッド・ハーバーほか。監督はマーベル・シリーズで2人目となる女性監督であり、『15歳のダイアリー』のケイト・ショートランドが手がける。孤独な暗殺者ブラック・ウィドウは、意外なきっかけにより“妹”エレーナと再会。自分たちを暗殺者に育てたスパイ組織レッドルームの秘密を知り……。この物語は、2016年の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の直後であり、2018年の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の前。キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースがアイアンマンであるトニー・スタークと対立しアベンジャーズが分裂した直後であり、強大な敵サノスの脅威にアベンジャーズが立ち向かう前のこと。これまで明かされていなかったナターシャの生い立ちと、2019年の『アベンジャーズ/エンドゲーム』でブラック・ウィドウが衝撃的な決断を下す前にあった、彼女のプライベートでの出来事を描く。意外にも家族のドラマであり、カーアクションやバトルシーンといった見せ場もいろいろのスパイ・アクションである。

レイチェル・ワイズ,スカーレット・ヨハンソン,フローレンス・ピュー

アベンジャーズが分裂し、別行動となったブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフは潜伏するべく北欧へ。そこで思いがけないきっかけにより、“妹”エレーナと再会する。自分たちを暗殺者に育てたロシアのスパイ機関レッドルームの秘密を知った姉妹は、激しい襲撃を受ける。そこで2人は、かつて組織の采配により4人で暮らした“偽りの家族”である“父”アレクセイと“母”メリーナのもとへ向かうが……。

人気キャラクターであるブラック・ウィドウの生い立ちの謎と過去を描く物語。『アベンジャーズ/エンドゲーム』での彼女につながる背景を示すかのような表現も感じられる。ネタバレになるのでタイトルは控えるが、内容としては異なるものの、雰囲気としてはピクサー製作、ディズニー配給の某アニメーションをなんとなく思い出す向きも。2009年にウォルト・ディズニー・カンパニーがマーベル・エンターテインメントを買収し、2015年からはマーベル・スタジオがウォルト・ディズニー・スタジオ所属になったこともあり、ファミリー・ムービーの要素が強まってきたのだろうか。姉妹タッグで立ち向かうといえば『アナと雪の女王』も思い出す。とはいえ、スリリングなカーチェイスや激しいバトルシーン、SFガジェットなどいわゆるマーベルっぽさもいろいろ楽しめる。またショートランド監督は本作のストーリーについて、このようにコメントしている。「ブラック・ウィドウの本当の姿が明かされる。見たことのない彼女に期待してほしい」
 またスカーレットは今回の物語とテーマについて、このように語っている。「本作では人生のとても暗い場所にいるナターシャが描かれる。彼女は自分自身と格闘していて、どうしたら良いか分からずに呆然と立ち尽くしているような状況なの。そういう時こそ、人は自分自身と向き合わなければいけないのよ」

タスクマスター

元KGBのスパイであり凄腕の暗殺者から、アベンジャーズの一員ブラック・ウィドウとなったナターシャ・ロマノフ役はスカーレットが、暗殺者だった自身が負っているものや、仲間や家族を大切にする思いの強さを表現。ナターシャに偽りであっても家族がいたことについて、スカーレットは語る。「ナターシャにはアベンジャーズではなく、家族の存在がいたの。彼らはナターシャにとってどういう人々だったのか? 私たちが“ブラック・ウィドウ”として知っている彼女に、彼らがどんな影響を与えたのかを知ることになるわ」
 ロシアのスパイ機関レッドルームの暗殺者であり、ナターシャの“妹”エレーナ役はフローレンスが、本音トークでずけずけ話す直情型のタイプとして。『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』で四姉妹の末っ子エイミーを演じ高い評価を得たフローレンスは、“生意気だけど憎めない妹”というのが本当によく似合う。2人の“母”であり、ロシアのスパイ組織レッドルームの天才科学者メリーナ役はレイチェルが、ゆったりと冷静に。演技派として『ナイロビの蜂』などで知られるレイチェルは、本作で本格アクションに挑戦も。2人の“父”であり、自称キャプテン・アメリカの宿敵であるロシアのスーパーソルジャー、レッド・ガーディアンことアレクセイ役はデヴィッドが、自信過剰でずぶといおっさんとして。食卓で無秩序にみんなが話すシーンは、家族あるあるのシニカルなやりとりがユーモラスだ。ブラック・ウィドウの“友人”であり物資の調達屋であるメイソン役はO. T. ファグベンルが演じている。そして日本語吹き替えの声の出演は、女優の米倉涼子がナターシャ役を続投するのをはじめ、声優の大塚明夫、田中敦子、田村睦心、関智一が参加している。

アクションの見どころは、まずナターシャとエレーナの激しい姉妹対決、矢継ぎ早に攻撃を仕掛けてくるレッドルームの刺客たちとの戦い、街中を車やバイクで疾走するカーチェイス、アベンジャーズたちのあらゆる技を繰り出してくる正体不明のヴィラン、タスクマスターとのバトルなど。またクライマックスでの空中戦はスリリングでスピード感のある映像で引きつける。個人的には、カーチェイスのシーンでナターシャとエレーナを細身のバイクで執拗に追うスタントの動きが、黒ヒョウのように攻撃的かつしなやかで目を見張った。

フローレンス・ピュー,デヴィッド・ハーバー,スカーレット・ヨハンソン

『アイアンマン2』から約10年間ブラック・ウィドウを演じ、本作では製作総指揮も務めるスカーレットは本作について、感慨と共にこのようにコメントしている。「過去を振り返ることによって、私たちは前向きになることができたのよ。10年間このキャラクターを演じ続けてきたことがすべて本作に向かって築き上げてきたことのように感じているわ」
 そしてウォルト・ディズニー・カンパニー(アメリカ本社)は2021年5月3日(現地時間)に、2021年-2023年公開予定のマーベル・スタジオ映画のUSラインナップを発表。『ブラック・ウィドウ』公式HPのNEWS内にて詳細を確認できる。直近では、アベンジャーズの系譜を継ぐ新たなアジア系のヒーローを描く2021年9月3日公開の『シャン・チー/テン・リングスの伝説』、何千年もの間、古から人類を見守ってきた不死の種族の物語を、『ノマドランド』で本年度のアカデミー賞にてアジア系女性初の監督賞を受賞したクロエ・ジャオ監督が手がける2021年11月5日公開『エターナルズ』がある。『シャン・チー〜』では、中国系カナダ人俳優のシム・リウと香港で活躍するトニー・レオンが共演すること、『エターナルズ』には10年ぶりにアクション映画に出演するアンジェリーナ・ジョリーや、『クレイジー・リッチ!』のジェンマ・チャンが出演することなどが話題に。また日本のマンガをきっかけに以前は漫画家になりたかったというクロエ・ジャオ監督は、『エターナルズ』について、「監督として映画を作っているわけではない。ファンとして作っているの」とコメントしているとのこと。
 前述のラインナップには、『ソー:ラブ・アンド・サンダー(原題)』(2022年5月6日US公開予定)、『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー(原題)』(2022年7月8日US公開)など注目作品が続く。ラインナップを見ながらふと、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.3(原題)』(2023年5月5日US公開予定)では、メンバーであるアライグマ姿の傭兵ロケットの口調が、いきなり上品でマイルドになったりするのだろうかと思ったり。これからマーベル魂がディズニー傘下でどのように表現されていくのか、いち映画ファンとして楽しみにしている。

2021年7月9日更新

作品データ

公開 2021年7月8日映画館 & 7月9日ディズニープラス プレミア アクセス公開
※プレミア アクセスは追加支払いが必要です。
制作年/制作国 2021年 アメリカ
上映時間 2:14
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題 Black Widow
監督 ケイト・ショートランド
脚本 エリック・ピアソン
ストーリー ジャック・シェイファー AND ネッド・ベンソン
製作 ケヴィン・ファイギ,p.g.a.
出演・製作総指揮 スカーレット・ヨハンソン
出演 フローレンス・ピュー
レイチェル・ワイズ
デヴィッド・ハーバー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。