eHills Club 試写会日記

毎週、映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ! 傑作でもB級でも映画ってやっぱり素敵!!

総理の夫

日本初の女性総理と“ファーストジェントルマン”の夫
田中圭×中谷美紀の共演で、女性が社会で活躍する姿と
信頼し合う夫婦をあたたかく描くヒューマン・コメディ

総理の夫©2021「総理の夫」製作委員会

『キネマの神様』の原作者である作家・原田マハの小説を、人気俳優の共演で映画化。出演は、『劇場版 おっさんずラブ 〜LOVE or DEAD〜』の田中圭、『繕い裁つ人』の中谷美紀、『アイネクライネナハトムジーク』の貫地谷しほり、『ちょっと今から仕事やめてくる』の工藤阿須加、『ホテルローヤル』の余貴美子、『FOUJITA』の岸部一徳ほか。監督は、『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』の河合勇人が手がける。ある日の朝、鳥類学者の相馬日和が出張に行こうとすると、少数野党の党首を務める妻・凜子から「もしも私が総理大臣になったら」と意味深な言葉をかけられ……。日本初の女性総理が誕生し、日本初の“ファーストジェントルマン”となった夫の日々を描く。夫を愛するひとりの女性が政治家として活躍する姿を颯爽と、愛する妻を精一杯応援しようとする学者の夫をコミカルに描き、心から信頼し合う夫婦のさまをあたたかく映し出すドラマである。

「ねえ、日和くん。もしも私が総理大臣になったら、何かあなたに不都合はある?」
 ある日の朝、鳥類学者の相馬日和は、少数野党の党首である最愛の妻・凛子から意味深な言葉をかけられる。はてと思いながらも電波の届かない孤島へ10日間の出張に出かけた日和は、街に戻ってくると妻が日本初の女性内閣総理大臣に選出され、自分が“ファーストジェントルマン”になったことを知り驚愕する。裕福なソウマグローバルの御曹司で、鳥類研究所に勤務する“鳥オタク”の日和は、政治や駆け引きなどにはまったく疎く、ソウマグローバルの会長である母・崇子や、同CEOである兄・多和からしっかりしろと責められ、内閣広報官・富士宮あやかに日常生活を徹底的に管理され、ヘトヘトになりながらも妻を精一杯応援しようとする。そんななか、思いがけないことが次々と起こり……。

中谷美紀,田中圭

「巻き込まれ型の最たるもの(田中圭)」である愛妻家の夫・日和と、理想に向かって力強くエレガントに突き進んでゆく女性リーダー・凛子の姿を描く物語。政治の世界を舞台に、女性が社会で活躍することが重要でありながらも容易ではないこと、理想を実現することの難しさ、駆け引きや陰謀などを描くなか、何よりも思い合う夫婦の姿をしっかりと映し出しているのが特徴だ。河合監督は本作のストーリーについて語る。「コロナ禍でスタートした作品なので、見てくれる方に笑いと勇気を届けたいという気持ちがまずありました。政治色よりかは、夫婦のあたたかいハートウォーミングなものに挑戦したいと。それにそう遠くない未来に起こるお話なんじゃないかな?という気持ちもありました」

鳥類研究所に勤務する鳥類学者の相馬日和役は田中圭が、ただただ妻を愛するお坊ちゃんの夫として騒動に巻き込まれてゆく様子をコミカルに。日本初の女性総理となった凛子役は中谷美紀が、人々と社会全体のためにより良い国政を本気で目指して仕事に打ち込む政治家として、また夫を愛する妻として公私の姿を魅力的に表現。中谷は“美しく強い女性総理”という役作りのために、世界の女性リーダーたちの映像や発言、ファッションや色彩感覚などをさまざまに勉強したとのこと。衣裳合わせでも積極的にアイデアを出していたそうだ。2021年9月8日に東京で行われた完成披露試写会の舞台挨拶にて、中谷は女性総理・凛子役への思いを率直に笑顔で語った。「お話をいただいた当初は、日本で女性の総理って絶対無理でしょう? って意地悪な気持ちで原作と脚本を読みました。でも、凛子が“働く女性が子どもを産み、育てやすい世界にする”という理念を持っていて、そこに1人の女性としてとても共感して、演じさせていただきました」
 河合監督は田中と中谷がキャラクターによく合っていることについて語る。「脚本は決してアテガキではなかったんですが、お2人の名前を聞いた時、ほぼアテガキに近く作れたなと思いました。それくらいお2人が役とリンクしていたので、すごくイメージがわきやすかったです」
 また日和と凛子は結婚10年目でも仲睦まじく、大切にし合うほのぼのとした雰囲気がよく伝わってくる。相馬夫妻のイメージについて監督はこのようにコメントしている。「あんな夫婦関係だったら羨ましいなと見てもらう人にも思ってほしい、理想的な夫婦像を描いたつもりです」
 内閣広報担当・富士宮あやか役は貫地谷しほりが凛子を敬愛するシングルマザーとして、総理秘書・島崎虎山役は工藤阿須加が、官房長官・小津智祐役は嶋田久作が、鳥類研究所の日和の同僚・伊藤るい役は松井愛莉が、鳥類研究所の所長・徳田実役は木下ほうかが、ソウマグローバルの会長であり財界の大物である日和の母・相馬崇子役は余貴美子が、同CEOである日和の兄・多和役は片岡愛之助が、フリーライターの阿部久志役は米本学仁が、政界で強大な力を持つ原久郎役は岸部一徳が、それぞれに演じている。

貫地谷しほり,田中圭

原作は原田マハの25万部を超えるベストセラーである「総理の夫 First Gentleman」。原田マハは、森ビル森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館勤務を経て、2002年にフリーのキュレーター、カルチャーライターに。2005年に『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞し、2006年に作家デビュー。2012年に『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞を、2017年に『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞を受賞。映画化作品としては、『カフーを待ちわびて』『キネマの神様』などがある。原田マハは女性の総理大臣という創作と今回の映画化について、このようにコメントしている。「なぜ日本の総理は当たり前のように男性なのか? それをフィクションで覆してみたかった。凛子は私の理想そのもので、彼女を支える夫・日和は何があっても妻を信じ、陰ながら守り抜く。本作は政界を舞台にした、信じ合い支え合う夫婦愛の物語である。日和役の田中圭さんはお茶目でまっすぐな役柄にぴったり。凛子役の中谷美紀さんは書きながらイメージしていたのでとても嬉しい。このカップルが日本を変える、封切りの日が待ち遠しい」

劇中では、相馬夫妻が住む瀟洒な自宅をはじめ、こだわりのロケーションや美術、衣裳などが目を引く。凛子が正月に原久郎宅を訪ねるシーン、京友禅の着物に人間国宝の手織りの帯をあわせた和服姿は、中谷が自ら自前の着物の着用を提案。上品な着こなしを披露している。また国会や官邸での会見シーンなどは、リアルな再現を目指したとのこと。総理就任シーンの撮影では、菅総理が総理に就任した時の実際の映像を参考に、河合監督が中谷に演出したというエピソードも。

中谷美紀,ほか

理想に燃える日本初の女性総理と、彼女を支えようと決意する“ファーストジェントルマン”の夫を描く本作。2017年8月に当時の最年少として37歳でニュージーランドの首相に就任したジャシンダ・アーダーンが、世界初の“首相就任中の産休”を取得した時に、この映画の脚本作りをしていたとのこと。その後、2019年12月にはさらなる史上最年少の34歳でサンナ・マリーンがフィンランド首相に就任したことも記憶に新しい(男性の最年少は、2017年5月に31歳のセバスティアン・クルツがオーストリア首相に就任)。日本では現在、総裁選に向けて候補者たちのコメントや公約などが日々報道されているなか、私たちは今どんな総理を求めているか、と考えている人も多いだろう。当然ながら女性だから男性だからという性別ではなく、組織や後ろ盾の傀儡になるのではなく、さまざまな人々と横断的に協力し合いながらより良い社会とは、と本気で話し合い考えて行動し、前進してゆくための胆力と知性と柔軟性をもち、本当の意味でのリーダーシップをもつ人であってほしいと誰もが思っているのではないだろうか。とはいえこの映画は、理想的なリーダーとしてひとりの女性が励む姿を描きつつも、政治一色ということではなく、人間ドラマをコミカルに、また信頼し合う夫婦の結びつきをあたたかく映す物語であり、女性総理もいずれは、という可能性を楽しめる作品だ。河合監督は映画に込めた思いと観客へのメッセージをこのように語っている。「コロナの影響が続くなか、まだまだ大変な思いをしていらっしゃる方も多いと思います。そんな中、少しでも多くの方に元気を届けられたらという思いで映画『総理の夫』をお届けします。本作品は、シリアスな政治社会ドラマというよりは妻がたまたま日本の総理になってしまった男が、様々なトラブルに巻き込まれるラブコメディであり、夫婦が絆を取り戻すヒューマンドラマです」
 最後に、前述の完成披露試写会にて中谷と田中が語ったメッセージをお伝えする。
 中谷「この作品はすべての、働く女性と、やむを得ず働くことができない女性、働くことを選ばなかった女性、そして、そうした女性を支える、ちょっと肩の荷を下ろしたいなという男性、すべてを応援する作品です。みなさんを必ず笑顔にしてお返しすることを誓います! 『総理の夫』、相馬政権に皆様の清き一票を頂戴できますよう、心よりお願い申し上げます!」
 田中「楽しく見ていただける2時間になるんじゃないかなと思います。たくさん笑って、ほっこりして、心動かされて、ちょっと泣いて、最後には前向きになれるような本当に素敵な2時間をみなさんと共有できる映画になったと思います!」

2021年9月10日更新

作品データ

公開 2021年9月23日より丸の内TOEIほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2021年 日本
上映時間 2:01
配給 東映 日活
監督 河合勇人
原作 原田マハ
脚本 松田沙也
杉原憲明
出演 田中圭
中谷美紀
貫地谷しほり
工藤阿須加
松井愛莉
木下ほうか
長田成哉
関口まなと
米本学仁
国広富之
寺田 農
片岡愛之助
嶋田久作
余貴美子
岸部一徳
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。