ウィッシュ

ディズニー創立100年を記念し“願い”をテーマに描く
アーシャは願いが叶う王国の非道な支配を知り……
水彩とCGが融合した美しいアニメのミュージカル

  • 2023/12/20
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ウィッシュ© 2023 Disney. All Rights Reserved.

ウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年の記念作となるアニメーション映画が完成。声の出演は、『ウエスト・サイド・ストーリー』のオスカー俳優アリアナ・デボーズ、『スター・トレック』シリーズのクリス・パイン、『シュガー・ラッシュ』でアニー賞最優秀声優賞を受賞したアラン・テュディックほか。監督は『アナと雪の女王』の1、2作目のクリス・バックと、『アナと雪の女王』『モアナと伝説の海』でストーリーボード・アーティストを担当した新鋭のファウン・ヴィーラスンソーンが、脚本は『アナと雪の女王』1、2作を執筆し、現在はディズニー・アニメーション・スタジオの制作のトップであるクリエイティブ・オフィサーのジェニファー・リーが手がける。願いが叶う魔法の王国ロサスに住む 17 歳のアーシャは、100才になる祖父の願いが叶うことを願っていた。しかしすべての“願い”は魔法を操るマグニフィコ王に支配されていると知り……。アーシャが仲間たちと力を合わせ、みんなの願いのために奮闘する姿を、CGと手描きを融合させた新たな映像で描く。ディズニーがこれまでの100年をこれからの100年へと継いでゆく思いを込めたミュージカル・アニメーションである。

どんな願いも叶うという、地中海の彼方に浮かぶ島、魔法の王国ロサス。王国で暮らす17歳のアーシャの願いは、100才になる祖父の願いが叶うことだ。しかし、魔法で願いを叶えてくれる王様に、人々がそれぞれの大切な願いを捧げるなか、実はすべての“願い”は魔法を操る王様に支配されているという真実をアーシャは知ってしまう。みんなの願いを取り戻したいというアーシャのひたむきな思いに応え、“願い星”のスターが空から舞い降りる。スターと相棒の子ヤギのバレンティノと共に、アーシャは王様に立ち向かおうと決意するが……。

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1923 年にウォルト・ディズニーと彼の兄によって設立された、アニメーション・スタジオ「ディズニー・ブラザーズ・カートゥーン・スタジオ」から始まり、2023年に100周年を迎えたウォルト・ディズニー・カンパニーの記念作。“願い”というテーマのもと、アーシャやスターや子ヤギたちなどのかわいいキャラクターが、ヴィランの王様に立ち向かっていく物語だ。パック監督はディズニーで有名なナイン・オールド・メン(ウォルト・ディズニーが率いたアニメーターの中核グループ)のひとり、エリック・ラーソンに師事した人物であり、共同監督に次世代を担うタイ出身のヴィーラスンソーンを迎え、制作においても新しい人たちにつないでいく、という意思が示されている。バック監督は今回の制作について、このようにコメントしている。「ウォルトが作り上げたレガシーを享受しながら、今の時代に合った映画を、彼ならきっとこうしただろうという形で作りたい、そう思ったのです」
 そして製作総指揮・脚本を務めたジェニファー・リーは、ただオマージュを捧げるだけのものにはしたくない、独立したオリジナルの映画を作ろう、という思いが早い段階からあったと話し、“願い”というテーマについてこのように語っている。「この映画の核心にあるのは、“心に抱いた真の願いよりも大きな力は、この宇宙には存在しない”という想いです。私たちはただ“星に願いましょう”と言いたいのではなく、そのために成長するキャラクターを描きたかったのです。“WISH(願い)”はとてもシンプルな言葉ですが、その背後には複雑なものがあり、そこから生まれるものがたくさんあります。この作品にはそのすべてが入っているのです」

ロサス王国で暮らす17歳のアーシャの声は、アリアナが溌剌と、願いを支配するマグニフィコ王の声はクリスがどこかユーモアも含むヴィランとして、アーシャの相棒である生後3週間の子ヤギ、バレンティノの声はアラン・テュディックがかわいらしい見た目に反するおっさん声で、それぞれに表現している。また言葉をしゃべらないので台詞はないけれどキュートな願い星のスター、国民を思うロサスのアマヤ王妃、100才になるアーシャの祖父サビーノ、アーシャの友だち7人、たくさんの動物たちなど、さまざまなキャラクターが登場している。
 日本語吹き替え版の声優は、乃木坂46のもとメンバーである生田絵梨花、ミュージシャンや俳優として活躍する福山雅治、ディズニーをはじめアニメや吹替えなど多数の作品で知られる声優の山寺宏一、そして俳優の檀れいや鹿賀丈史ほかが担当。また動物たちの声は、石丸幹二、上戸彩、尾上松也、菅野美穂、小泉孝太郎、鈴木福、松たか子ほかたくさんの俳優や声優たちが担当している。

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「This Wish(邦題:ウィッシュ〜この願い〜)」など7曲は、ジャスティン・ビーバーやエド・シーランなどに楽曲提供をするシンガーソングライターであり、ディズニー・アニメーション作品の全楽曲を制作した史上最年少の作曲家となったジュリア・マイケルズが、グラミー賞受賞経験のあるプロデューサーのベンジャミン・ライスとのコラボレーションにより書き下ろした。サウンドトラックには、アリアナが歌う「This Wish」やクリスが歌う「This Is The Thanks I Get?!」などUS版の声のキャストによる英語歌、生田が歌う「ウィッシュ〜この願い〜」や福山と生田が歌う「輝く願い」、福山が歌う「無礼者たちへ」などが収録されている。また吹き替え版では「I’m A Star(誰もがスター!)」の歌唱に、先にあげた動物たちの声を担当したメンバーが参加し、明るく朗らかな楽曲となっている。

この作品の画期的なところは、ウォルト・ディズニーの初期の『ピノキオ』『眠れる森の美女』などの長編作を参考に、水彩画調の2Dアニメーションと、最新のデジタル3Dアニメーションを融合し新たな手法を開発したところだ。全編がデジタルCGでありながら、水彩のタッチにより、やわらかさを感じられる映像となっている。
 そして『ウィッシュ』と同時上映の短編『ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-』では、ミッキーマウスやミニーマウス、アラジンやモアナなど、85以上の歴代の長編および短編映画から543ものキャラクターが集合。カリフォルニアのウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオにて、ミッキーとミニーの合図で、壁に飾ってある額のなかからキャラクターたちが飛び出す。彼らは100周年のお祝いにある計画を考えていて……。この短編は現在ディズニープラスにて“字幕版”が配信中であり、日本語による“特別吹替版”を観ることができるのは劇場のみ。出演者リストは先に紹介した動物たちの声を担当したメンバーをはじめ多数。映画の公式HPよりNEWSの2023年11月15日の記事で紹介されているので、チェックしてみるのも楽しいだろう。

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「心からの強い”願い”こそ、すべての魔法の始まり」。この作品は“願い”を自らの意思と行動により体現してゆくヒロインの物語だ。またこの映画の公開に合わせて、ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社は、難病と闘うこどもたちの願いをかなえるNPO団体「メイク・ア・ウィッシュ」を支援する、グローバルキャンペーン「Wish Together」を開始したことを公式HPのNEWSの2023年11月15日の記事で報告。ディズニーが世界中で40年以上「メイク・ア・ウィッシュ」を支援してきたなか、日本版「Wish Together」の特別サイトがオープン。その活動の認知を高め、ディズニーのファンと一緒に世界中の重い病気を抱えたこどもたちの人生を変えるような願いをかなえるためにアクションを起こすことを目指している。
 この映画では願いの象徴をスターというキャラクターで表現。このスターに込めた思いについて、製作総指揮・脚本のジェニファー・リーはこのように語った。「このキャラクターについてたっぷり考える上で、私は、『この星はあなたのために願いを叶えてくれることはしない』のだと決めました。願いを叶えるのはあなた自身なのです。ですが、星は、あなたに必要なことを提示してくれます。希望や、可能性、それに喜びを忘れてはいけないということも。このキャラクターは、頑張り続けること、可能性はあるのだということを、思い出させてくれるのです」
 そしてパック監督は“願い”というテーマとこの作品への思いをこのように語った。「日本にとっても世界にとっても願いというのは大切な事。この作品を通じて、(願いの大切さが)日本の人々に響くといいなと思っています」

参考:日本版「Wish Together」

作品データ

公開 2023年12月15日より全国公開
制作年/制作国 2023年 アメリカ
上映時間 1:35
配給 ウォルト・ディズニー・ジャパン
原題 WISH
監督 クリス・バック
ファウン・ヴィーラスンソーン
脚本 ジェニファー・リー
声の出演 アリアナ・デボーズ
クリス・パイン
アラン・テュディック
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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