ARGYLLE/アーガイル

執筆した小説のせいで女性作家が命を狙われ、
彼女を救ったのはその小説のヒーローだった!?
M・ヴォーン監督の劇的なスパイ・アクション

  • 2024/03/05
  • イベント
  • シネマ
ARGYLLE/アーガイル© Universal Pictures

『キック・アス』『キングスマン』シリーズのマシュー・ヴォーン監督による最新作。出演は、『ジュラシック・ワールド』シリーズのブライス・ダラス・ハワード、『スリー・ビルボード』のサム・ロックウェル、『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』のヘンリー・カヴィル、『キングスマン』のサミュエル・L・ジャクソン、グラミー賞受賞経験のある人気ミュージシャンのデュア・リパほか。人気スパイアクション小説『アーガイル』で知られる作家エリー・コンウェイは、愛猫と共に列車に乗り込むと突然刺客たちに命を狙われる。なぜエリーが命を狙われるのか、スパイを名乗るエイダンは信頼できるのか、小説の主人公エージェント・アーガイルの幻影が現れる理由は、執拗な追っ手の目的とは。相容れない男女とキュートな猫が、謎の陰謀に抗い立ち向かってゆく顛末を描く。ハイテンポな展開とトリッキーなアクション、ウィットのある会話、そしてマシュー・ヴォーン流の凝った設定がたたみかけるように展開する“ファンタジック・スパイ・アクション”である。

ブライス・ダラス・ハワード

凄腕エージェントのアーガイルが世界中を飛び回り、謎のスパイ組織の正体に迫るベストセラーのスパイアクション小説『アーガイル』。ハードなシリーズの作者エリー・コンウェイの素顔は、自宅で愛猫のアルフィーと過ごすのが至福の時という平和主義だ。ある日、エリーが新作の準備をしながらアルフィーと一緒に列車に乗り込むと、突如謎の男たちに襲われるが、間一髪でエイダンと名乗るスパイに助けられる。その後も追っ手から執拗に命を狙われ逃げ続けるなか、エリーの小説が現実のスパイ組織の行動を偶然にも言い当てていたとわかる。エリーの空想のはずだった世界と命が狙われる現実との境界線が曖昧になるなか、敵の一歩先を行くべく2人と1匹は立ち向かっていくが……。

『キングスマン』シリーズに次いで、新たなスパイ映画をつくったヴォーン監督。『キングスマン』では男性が主人公だったものの、今回は女性作家が主人公であり、方向性は異なるものの、スパイが派手に活躍しハイテンションな展開で引きつけるテイストは期待通りだ。冒頭のシーンではデュア・リパのカラッとした押し出しの強さとコケティッシュな魅力を十二分に活かして、初手からドラマティックに始まるところもワクワクさせる。スタイリッシュな映像や音楽が持ち味である自身の表現のルーツとこの映画について、ヴォーン監督は、「僕にとって“美しさ”は不可欠! 子どもの頃、ボンド映画を見ていると、まるで自分が冒険をしているような気分になれた。その驚くべき感覚を、この映画で再現しようと努めました」とコメント。そしてこの映画を作ろうと考えた理由について、監督はこのように語った。「僕が子どもたちと一緒に観た’80年代の映画は、素晴らしいストーリーテリングと純粋な現実逃避を兼ね備えていました。コロナ以降の世界には、人々を笑顔にし、エキサイティングなスリル満点の乗り物に乗っているような気分にさせる何かが必要だと思いました」

サム・ロックウェル,ブライス・ダラス・ハワード

スパイアクション小説シリーズ「アーガイル」の作者エリー・コンウェイ役はブライス・ダラス・ハワードが、猫と静かに暮らす作家として。エリーの前に突然現れスパイを名乗るエイダン役はサム・ロックウェルが、小説の主人公エージェント・アーガイル役はヘンリー・カヴィルが、ゴールドのドレスをまとう謎の女ラグランジ役はデュア・リパが、豪快な運転で車も船も操るキーラ役はアリアナ・デボーズが、素性のわからない謎の男役はサミュエル・L・ジャクソンが、エリーの母親役はキャサリン・オハラが、それぞれに演じている。エリーのかわいらしい愛猫アルフィーは、実はヴォーン監督が実際に飼っている愛猫チップ。最初は別のタレント猫を雇っていたなか、撮影がなかなかうまく進まずに急きょ自宅からチップを連れてきて起用したという。アルフィーが劇中で収まっている、黄色のアーガイルチェック柄にドーム状の窓が付いた猫用バックパックは、人気ミュージシャンのテイラー・スウィフトがドキュメンタリーのなかで身につけていた猫用バックパックから着想を得たとのこと。これはテイラーのファンであるヴォーン監督の2人の娘からのアイデアとも。さらに猫つながりでテイラーに関わるエピソードや、“テイラー・スウィフトが原作本の著者である”というこの映画にまつわる噂について、映画の公式HPのNEWSより2024年1月25日付の「『ARGYLLE/アーガイル』ワールドプレミア 概要」で詳しく紹介されている。

劇中ではエイダンが追っ手と戦うシーンでトリッキーなアクションが展開。エリーが瞬きをするたびにエイダンと小説の主人公アーガイルが入れ替わるのだ(映画『マーベルズ』では女性3人が高速で入れ替わっていたあのアクション)。2人が入れ替わりながら狭い列車のなかで刺客を次々と倒していくエイダンの登場シーンでは、サムとヘンリーはお互いの動きが調和する振付を覚えたとのこと。ブライスは2人のアクションについて、「ヘンリーとサムはすべての動きを同時に行わなければならず、精度の高いアクションだった。皆、何か月もリハーサルを重ねました」とコメント。またサムはアクションシーンを一緒に作り上げたスタントチームが難題を次々とクリアしていくさまに感動したそうで、完成したシーンについてこのように語っている。「列車の格闘シーンは一生懸命取り組んだけれど、撮影時にスタントたちの動きを見ていたら、レベルが違うほど本当にすごかった。独特のスタイルで興奮を覚え、見た目にも美しい。ジャッキー・チェンのような感じも色濃くあったね」
 そしてヘンリーは監督と作品を讃えてこのように語った。「このジャンルのなかで唯一無二だった。斬新で大胆、そして危険を顧みない挑戦的な作品に出会えて爽快な気持ちになったよ」

ヘンリー・カヴィル,デュア・リパ,ジョン・シナ

ヴォーン監督作品は楽曲が充実しているのも特徴。エージェント・アーガイルがラグランジと踊るシーンで流れるバリー・ホワイトの「You’re the First, the Last, My Everything」、列車の格闘シーンではパトリック・カウリー & シルヴェスターのディスコソング「Do You Wanna Funk?」など。なかでも“ザ・ビートルズ最後の新曲”として2023年11月に発表された「Now and Then」がオリジナルバージョンに加え、インストやオーケストラアレンジなど劇中で繰り返し流れるのがとても印象的だ。ユニバーサルミュージックのサイト「uDiscoverMusic」の2024年3月1日の記事「映画『ARGYLLE/アーガイル』に登場する楽曲を紹介」によると、ロンドン生まれのヴォーン監督はザ・ビートルズが大好きで自身の作品に使用したかったが、権利や使用料の問題で実現しなかったなか、今回はザ・ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーティンの息子で、近年のザ・ビートルズの再発ものやドキュメンタリー映画のサウンドプロデュースをすべて手がけるジャイルズ・マーティンから申し出があり、今回「Now and Then」の使用が決まったそうだ。
 そして注目は、ヴォーン監督が自らミュージックチームを結成し書き下ろされたオリジナルのダンスナンバー「Electric Energy」。映画ではエイダンの格闘シーンや、エンドロールで流れている。ヴォーカルはカルチャー・クラブのフロントマン、ボーイ・ジョージと、2021年の映画『ウエスト・サイド・ストーリー』でオスカーを受賞し、この映画ではキーラ役を演じているアリアナ・デボーズ。ギターでシックのナイル・ロジャースが参加し、楽曲制作にはマドンナやカイリー・ミノーグを手がけてきたスチュアート・プライスが名を連ねている。この曲は“全部のせ”といった濃厚盛りだくさんのこってりで、イメージ的に胸やけ寸前というくらいの過剰さも楽しい。映画に使用された楽曲はプレイリストとなっていて、SpotifyとYouTubeですべて聴くことができる。

アップテンポのダンスナンバーやヒット曲にのせて、トリッキーなバトルとストーリーが展開していくヴォーン式の最新スパイ・アクション。イギリスのロンドンで2024年1月24日(現地時間)に行われたワールドプレミアでは、監督とキャストたちが登壇。映画の魅力について、サミュエル・L・ジャクソンは「物語の先が読めない。予期せぬ展開の連続で、サプライズやスリル満載、和やかな瞬間だってあるかもしれない。素晴らしく作り込まれた、楽しい映画だ」と話し、デュア・リパは「マシュー・ヴォーンのアイデアは、本当にあらゆる期待を完全に超えてくる。何が起こるかわかっていると思っていたのに、脚本を完全に覆すという感じ」とコメント。最後に、このイベントでヴォーン監督が語った映画に込めた思いと、観客へのメッセージをご紹介する。「今こそ暗い世の中に一筋の陽の光が射すような、ハッピーな気分になる作品を作る時だと思った。大きなスクリーンで観れば、その世界に没入し、思ってもみなかった世界に行くことができる。そして、ほかの観客と一緒に体験するべきだ。意外な展開や、歓声が上がり、息をのむような瞬間がたくさんあるよ」

参考:「uDiscoverMusic」

作品データ

公開 2024年3月1日より全国ロードショー
制作年/制作国 2023年 イギリス・アメリカ
上映時間 1:41
配給 東宝東和
原題 Argylle
監督・製作 マシュー・ヴォーン
脚本 ジェイソン・フュークス
出演 ヘンリー・カヴィル
ブライス・ダラス・ハワード
サム・ロックウェル
ブライアン・クランストン
キャサリン・オハラ
デュア・リパ
アリアナ・デボーズ
ジョン・シナ
サミュエル・L・ジャクソン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
XInstagram

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。