70年を超える画業を振り返る。生命の尊厳が描かれた独特な作品の数々
1982(昭和57)年に文化勲章を受章し、杉山寧、東山魁夷とともに戦後の日本画壇の最高峰と称された山辰雄。没後10年を経て、大分県立美術館の所蔵作品を中心に、各時期の代表作を集めて70余年の画業を振り返る回顧展です。
1912(明治45)年大分県大分市に生まれた山は、1931(昭和6)年東京美術学校(現・東京藝術大学)日本画学科に入学し、在学中に松岡映丘の画塾「木之華社」に入門。同門の山本丘人らと共に研鑽を積みます。戦後、ゴーギャンの伝記に感銘を受け、1950年代は鮮やかな色面で構成した人物表現に挑みました。1951(昭和26)年、世田谷区に転居して、創作の拠点とします。画風も次第に静謐で幻想的なものへと変化し、人の生死や存在の神秘などを描く独自の画境を切り開きました。1975(昭和50)年より2年間にわたって日展の理事長を務め、1982(昭和57)年には文化勲章を受章。1990(平成元)年には、皇居豊明殿での祝宴「大饗の儀」に、《主基地方風俗歌屏風》(大分会場のみ展示)が飾られます。2007(平成19)年、肺炎により95歳で亡くなりました。
本展では、4章立てで展開。「1. 若き研鑽の日々〔1930年代〜1945年〕」では、在学中に帝展に出品した《湯泉》、後に妻となる女性をモデルに描いた卒業制作の《砂丘》などが展示されます。「2. ゴーギャンとの出会い〔1945年〜1960年代〕」では、日展で特選となった《少女》や、ゴーギャンへの傾倒が見られる《室内》などが登場。「3. 人間精神の探求〔1970年代〜1990年代前半〕」では、幼子が無心に食事をするという自然と人間との関わりを描いた《食べる》、点描で幻想的に描いた《星辰》など、独自の画境を切り開いた時代の作品が並びます。「4. 森羅万象への道〔1990年代後半〜2000年代〕」は《由布の里道》や《雲煙に飛翔》など郷里・大分の原風景を舞台にした幽玄な世界観が見られます。その他、学生時代のスケッチやブロンズ彫刻作品も並び、前期と後期合わせて約120点の日本画と、彫刻や素描、小下図など約60点が一堂に集結。70余年の画業をじっくりと振り返られる内容となっています。
展覧会名 | 人間・髙山辰雄展――森羅万象への道 |
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会期 | 2018年4月14日(土) 〜 6月17日(日) 会期中、展示替えあり 前期:4月14日(土) 〜 5月13日(日) 後期:5月15日(火) 〜 6月17日(日) ※一部の作品は上記以外の期間に展示替えを行います |
休館日 | 月曜日(ただし4月30日は開館)、5月1日(火) |
時間 | 10:00〜18:00 ※入場は閉館時間の30分前まで |
会場 | 世田谷美術館 世田谷区砧公園1-2 |
入館料 | 一般 1,200円、65歳以上 1,000円、大高生 800円、中小生 500円 |
公式サイト | https://www.setagayaartmuseum.or.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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