同時代に東京と大阪で活躍した2人の実業家の“美”を比較
阪急電鉄・阪急百貨店の創業者、小林一三と、東急グループの基礎を築いた五島慶太。鉄道をベースに幅広くビジネスを行う傍ら、「数寄者」として茶の湯の交流を楽しみ、茶道具などの美術品を蒐集した二人のコレクションを展観し、それぞれの美意識を探る企画展です。同館と逸翁美術館の共同企画として開催されます。
1873年生まれの小林一三は、大阪で阪急電鉄を基盤に沿線開発や流通、文化事業を進め、阪急百貨店や宝塚歌劇団、東宝など数多くのビジネスを興して一大グループを築き上げました。一方の五島慶太は1882年の生まれで、小林の勧めで鉄道経営に携わり、目黒、玉川、調布方面の宅地開発や学校の誘致に力を入れて、首都圏に広がる東急グループの基礎を築いています。
どちらも茶の湯に親しみ、自らの美意識で美術工芸品を選別。それぞれに独自のコレクションをつくり上げます。それは、ビジネスの合間の心の安らぎでもありました。
本展では、同館と逸翁美術館からそれぞれ約50点ずつ作品を集めて展示します。歌集の断簡である、重要文化財「継色紙(つぎしきし) 伝 小野道風筆」は、紀友則の歌を同館から、僧正遍照の歌を逸翁美術館から紹介。俳人であり、日本文人画の大成者でもある与謝蕪村が『おくのほそ道』を全文書き写し、挿絵を描いた重要文化財「奥の細道画巻 与謝蕪村筆」(逸翁美術館蔵)も展示します。
また、五島慶太愛蔵の品であった重要文化財「鼠志野茶碗 銘 峯紅葉」、小林一三が銘を付けた「五彩蓮華文呼継茶碗 逸翁銘 家光公」、洋風画の影響を受けた「降雪狗児図 長沢芦雪筆」など、絵画や書から陶芸、二人の間で交わされた書簡まで幅広く並びます。共に鉄道事業に情熱を注ぎ、美術品を集めた二人のコレクションを見比べることで、その共通点や違いも掘り下げられる内容となっています。
展覧会名 | 特別展 東西数寄者の審美眼 ―阪急・小林一三と東急・五島慶太のコレクション― |
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会期 | 2018年10月20日(土) 〜 12月9日(日) |
休館日 | 月曜日 |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 五島美術館 世田谷区上野毛3-9-25 |
入館料 | 一般 1,200円、高大生 900円 |
公式サイト | https://www.gotoh-museum.or.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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