書に用いられる紙・料紙の美しい装飾世界に、顕微鏡で迫る
※本展覧会は中止となりました
書に用いられる紙・料紙に注目し、その美しい装飾性や魅力に迫る展覧会。奈良時代の写経から江戸時代の大津絵にいたるまでの料紙を、顕微鏡による拡大画像とともに展示する。
料紙には、美しく染めた色紙や、下絵を描き金や銀を蒔くなど、華やかな装飾を施したものがある。手漉き紙の場合、つくられたままの紙を生紙(きがみ)といい、これに対し加工された紙は熟紙(じゅくし)と呼ばれる。また、装飾を施すだけでなく、平滑にするために硬いもので叩いたり、白くする目的でデンプンなどの添加も行われた。このように加工された料紙の表面は、立体的で見た目よりも変化に富んでおり、顕微鏡や斜光線などを用いて観察すると、繊維の形状や配向性、添加物の有無、紙の表面の情報などから、その特性や装飾の技法を明らかにすることができる。
例えば、国宝《古今和歌集序》の料紙は、竹の繊維を原料とし、表面に布目を付けた上に、さまざまな色の胡粉を塗り、雲母摺りや空摺りの技法で吉祥文様を表現している。さらに、色と文様の組み合わせを考えながら、美しく見えるように仕立てた巻子に本文を書いたものだ。布目の上に書いた文字の線は途切れている箇所が多くあり、平安時代の人々は文字の書きにくさを楽しんでいたかのようにも見える。
書や絵画に注目が集まることはあっても、それらを受ける料紙にスポットが当たるのは珍しく、国宝《古今和歌集序》を所蔵する大倉集古館ならではの展示と言える。人々の願いや美意識が反映された各時代の料紙装飾をじっくり鑑賞し、託された祈りや夢、そして美の移り変わりを探求したい。
展覧会名 | 企画展 彩られた紙―料紙装飾の世界― |
---|---|
会期 | ※本展覧会は中止となりました 2020年4月4日(土)18日(土)予定〜5月24日(日) ※会期中展示替えあり 前期展示:4月4日(土)18日(土)〜4月26日(日) 後期展示:4月28日(火)〜5月24日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし祝日の場合は開館、翌平日休館)、5月7日(木) |
時間 | 10:00〜17:00 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 大倉集古館 港区虎ノ門2-10-3(The Okura Tokyo正面玄関前) >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,000円、高大生 800円、中学生以下 無料 |
公式サイト | https://www.shukokan.org/ |
問合せ | 03-5575-5711 |
記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。