キース・ヘリング展 アートをストリートへ

光・闇・喧噪・色彩などがドラマチックに展開する展示空間で
ヘリングの世界観を体感

  • 2023/12/04
  • イベント
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活動初期のサブウェイ・ドローイング、アイコニックなモチーフによる作品《イコンズ》や彫刻、ポスター、そして晩年の大型作品まで。へリングの世界観を体現する150点を東京で一堂に展観する展覧会。

キース・ヘリング(1958〜1990年)はアメリカ ペンシルベニア州に生まれ、1978年にニューヨークに移り、スクール・オブ・ビジュアル・アーツに入学。「アートはみんなのために」という信念のもと、従来の展示空間から公共空間でアートを展開する方法を模索する中、人種や階級、性別、職業に関係なく多くの人が利用する地下鉄に注目し、駅構内の空いている広告板に貼られた黒い紙にチョークでドローイング。そのシンプルに素早く描かれた光り輝く赤ん坊、吠える犬、光線を出す宇宙船などを通して混沌とする社会への強いメッセージを発信、人類の未来と希望を子どもたちに託した。ヘリングが駆け抜けた31年間の生涯のうち創作活動期間は10年程だが、残された作品に込められたメッセージは今なお響き続けている。

本展では、日本初公開のサブウェイ・ドローイング5点のほか、アイコニックなモチーフから大型作品まで、ヘリングの世界観を体現する作品が勢揃いする。発光する作品、闇に浮かび上がる展示、80年代ニューヨークさながらの喧噪など、へリングが駆け抜けた10年のストーリーとともに、展示空間は劇的に展開する。

ポップアートだけでなく、舞台芸術や広告、音楽などと関わりながら制作の場を広げていく中で制作された、横幅6mを超える『スウィート・サタデー・ナイト』のための舞台セットは必見だ。
 また、エイズに対する社会の無関心を告発するため制作された《沈黙は死》のほか、核放棄、反アパルトヘイト、性的マイノリティのカミングアウトの祝福、児童福祉などを社会へのメッセージとして発信したポスター作品、テクノロジーが人間を支配するような未来がコミックのように淡々と描写された最晩年のドローイング作品《ブループリント・ドローイング》にも注目したい。
 そして、日本に特別な想いを抱いていたヘリングが数度にわたる来日で生みだした貴重な作品や資料も見逃せない。

ヘリングの多くの作品に解説は付いていない。社会のあり方や公平性、連帯といった極めて重要な問題を表現しながら、鑑賞者が作品と向き合い、個々の現実に照らし合わせ、意味を考えることを作品が促している。
 社会に潜む暴力や不平等などに対して最後までアートで闘い続けたヘリングのアートは、時空を超えて現代社会に生きる私たちの心を揺さぶるだろう。

  1. Photo by ©Makoto Murata
    Photo by ©Makoto Murata
  2. 《イコンズ》 1990年
    《イコンズ》 1990年
  3. 《無題》 1983年
    《無題》 1983年
  4. 《無題(サブウェイ・ドローイング)》 1981-83年
    《無題(サブウェイ・ドローイング)》 1981-83年
  5. 『スウィート・サタデー・ナイト』のための舞台セット 1985年
    『スウィート・サタデー・ナイト』のための舞台セット 1985年
  6. 《沈黙は死》 1989年
    《沈黙は死》 1989年
  7. ※すべて、中村キース・ヘリング美術館蔵 All Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation

開催概要

展覧会名 キース・ヘリング展 アートをストリートへ
会期 2023年12月9日(土)〜2024年2月25日(日)
休館日 会期中無休
時間 10:00〜19:00(金・土曜日は20:00まで)
※12月31日〜2024年1月3日は11:00〜18:00
※入場は閉館時間の30分前まで
会場 森アーツセンターギャラリー
港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 52階
観覧料 一般・大学・専門学生 2,200円、中高生 1,700円、小学生 700円、未就学児無料
※事前予約制(日時指定券)
※詳細はこちらをご確認ください
公式サイト https://kh2023-25.exhibit.jp
問合せ 050-5541-8600 (ハローダイヤル)

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