四半世紀ぶりの本格的な回顧展
日本初公開の肉筆ドローイングを含む約390点で構成
フランク・ロイド・ライトが日本で実現した大作、帝国ホテル二代目本館が1923年の竣工から100年を迎えるのを機に、グローバル・アーキテクトの先駆としてライトを紹介する展覧会。
アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867〜1959年)。「カウフマン邸(落水荘)」や「グッゲンハイム美術館」で知られるライトは、「帝国ホテル二代目本館」(博物館明治村に1976年、一部移築保存)や「自由学園」を手がけ、熱烈な浮世絵コレクター・ディーラーの顔も持つ、日本と深い縁で結ばれた建築家でもある。
本展は、2012年にフランク・ロイド・ライト財団から図面をはじめとする5万点を超える資料の移管を受けた、コロンビア大学エイヴリー建築美術図書館で近年大きな成果を上げつつあるアーカイヴの調査研究が基となっている。ライトの芸術、建築、デザインから著述、造園、教育、技術革新、都市計画に至る視野の広さを照らし出し、新たな全体像を結びつつある研究成果を垣間見ることができる。
特に見どころは、本邦初公開となるライトによる華麗で精緻なドローイングの数々。余白を大きくとり、近いものを拡大して描く独特な構図に見られるように、ライトは浮世絵との出会いに触発されて、それまで規範とされてきたボザール様式の建築図面とはまったく異なる新しい図面の描き方を考案した。建築が実現する前に自分の頭のなかで建物を建てていたといわれるそのドローイングは、ときとして実現された建築以上にライトの思想を直接的に物語っている。
この他にも、3Dスキャン計測データを用いた最新の技術力により、精巧に複製された100年前の帝国ホテル模型が公開されるのも見どころ。また、ライトが1930年代後半から取り組んだ、ユーソニアン住宅を原寸モデルで玄関から居間の空間を体感できる展示も展開される。
帝国ホテルを基軸とした7つのセクションを横断的に鑑賞することで、ライトが追求した、人と自然と建築の関わり、多様な文化との交流、社会の理想といったテーマが浮かび上がってくるだろう。
世界を横断して活躍したライトのグローバルな視点は、21世紀の今日的な課題と共鳴し、来るべき未来への提言となるかもしれない。
展覧会名 | 開館20周年記念展/帝国ホテル二代目本館100周年 フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築 |
---|---|
会期 |
2024年1月11日(木)〜3月10日(日) ※会期中、一部展示替えあり 前期:1月11日(木)〜2月13日(火) 後期:2月15日(木)〜3月10日(日) |
休館日 | 水曜日(ただし3月6日は開館) |
時間 | 10:00〜18:00(3月1日、3月4日〜9日は20:00まで) ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | パナソニック汐留美術館 港区東新橋1-5-1 パナソニック東京汐留ビル4F >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 1,200円、65歳以上 1,100円、高大生 700円、中学生以下無料 ※2月17日以降の土・日曜日、祝日、3月1日〜10日は日時指定予約制 ※詳細はこちらをご確認ください |
公式サイト | https://panasonic.co.jp/ew/museum/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。