ユニークな二部構成! デュシャンの作品と日本美術の価値観を比較
「現代美術の父」と称され、20世紀の美術に大きな影響を与えたマルセル・デュシャン。本展は200件以上の作品と42,500件以上の関連資料など、世界有数のデュシャン・コレクションを所蔵するフィラデルフィア美術館が企画・監修する国際巡回展に加え、東京国立博物館の日本美術コレクションによる「デュシャンの向こうに日本がみえる。」展も行うユニークな二部構成の企画展です。
第一部は、フィラデルフィア美術館による国際巡回展「デュシャン 人と作品」で、デュシャンの人生と60年以上にわたる芸術活動を4章に渡ってふり返ります。「第1章 画家としてのデュシャン」では、1902〜12年まで画家として活動した足跡を辿ります。「第2章 「芸術」でないような作品をつくることができようか」では、1912〜17年までの活動に注目。傑作の一つ《彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも》(通称『大ガラス』)(1915-23)の複製(東京版)を展示。また、物品を本来の用途から切り離して芸術作品として意味づけした「レディメイド」の作品も並びます。「第3章 ローズ・セラヴィ」では、ローズ・セラヴィと名付けた女性に扮してダジャレなどの言葉の実験を試みた1920年代から、キュレーターとして活躍する1940年代までを取り上げます。「第4章 《遺作》欲望の女」では、亡くなるまでの最後の20年にクローズアップし、最後の作品《与えられたとせよ 1. 落ちる水 2.照明用ガス》(通称《遺作》)を映像で紹介します。
第二部は、東京国立博物館の「デュシャンの向こうに日本がみえる。」展。千利休が作ったといわれている「竹一重切花入」などをレディメイドとして捉えたり、女形を演じる役者を男として描いた写楽の浮世絵をリアリズムの面から紹介したり、同じ風景の中に同一人物が何度も登場して時間の経過をあらわした絵巻物をアニメーションの祖先に位置付けたりと、西洋とは異なる環境の中で醸成された日本美術の意味や価値観を新しい視点で捉え直します。近世以前の日本で当然のように行われていた模倣を具体的に表すものとして複数の作家の「龍図」を展示するほか、文字の形と配置が美と結びついた具体例として俵屋宗達の下絵に本阿弥光悦が書をしたためた《桜山吹図屏風》なども紹介されます。
デュシャンの既成概念を超えた革新的な作品と日本美術を比較することで、それぞれの魅力や日本美術の新たな楽しみ方を考える奥深い内容となっています。
展覧会名 | 東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展 マルセル・デュシャンと日本美術 |
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会期 | 2018年10月2日(火) 〜 12月9日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし10月8日は開館)、10月9日(火) |
時間 | 9:30〜17:00 ※ただし、金曜・土曜、10月31日、11月1日は21:00まで ※入館は各閉館時間の30分前まで |
会場 | 東京国立博物館 平成館 特別第1・2室 台東区上野公園13-9 >> 会場の紹介記事はこちら |
観覧料 | 一般 1,200円、大学生 900円、高校生 700円、中学生以下無料 |
公式サイト | https://www.tnm.jp/ |
問合せ | 03-5777-8600 (ハローダイヤル) |
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