日本刀の華 備前刀

「備前刀の宝庫」静嘉堂所蔵の名刀が顔揃い!
国宝・曜変天目の特別出品もあり

  • 2019/04/08
  • イベント
  • アート

日本刀の主な製作地の一つである備前(岡山県南東部)は、上質な原料や水運の利に恵まれたことから、平安時代より優れた刀工を輩出し圧倒的な生産量を誇った。本展では、「備前刀の宝庫」として知られる静嘉堂の蔵刀を中心に、重要文化財4振、重要美術品11振を含む在銘作約30振を精選し、「古備前」と呼ばれる備前刀初期の刀工群から、一文字・長船・畠田・吉井・鵜飼など各流派の作風の展開をたどる。

静嘉堂創設者の岩﨑彌之助や息子の小彌太によって蒐集された、約120振の刀剣の中でも、鎌倉時代を中心に南北朝、室町時代までをカバーする備前刀はコレクションの約4割を占める。備前刀の特徴は、「腰反り」の力強い姿と、杢目を主体とした精緻な地鉄に、「丁子乱れ」と呼ばれる変化に富んだ刃文とされている。その豪壮にして華やかな作風は、鎌倉武士や戦国武将たちをはじめ、多くの人々を魅了してきた。
 見どころの一つである、現存作が少ない高綱作の重要文化財≪古備前こびぜん高綱たかつな太刀たち≫は、古備前刀工の特色がいかんなく発揮された名作で、織田信長の重臣・滝川一益が信長より拝領したものといわれ、鮮やかな朱塗りの鞘が戦国末期の様式を伝えている。
 また、鎌倉時代の刀工が平安の名工に憧れと敬意をもって作刀したことが想像される重要文化財≪嘉禎かてい友成ともなり太刀たち≫や、眉目秀麗で知られたイケメン大名・本多平八郎の所持銘入り≪一文字いちもんじ守利もりとし太刀たち≫など、備前物を総覧するような系統だったコレクションが一堂に会する。

さらに、刀剣を飾る金具(目貫・笄・小柄)などの装剣金具を製作する金工として、17代にわたり時の権力者に重用され、最高の格式を持つとされた後藤家歴代の刀装具も特集展示。わずか数センチの金具のなかに込められた武家の思想と美意識、そして伝統によって洗練されたデザインを堪能したい。

国宝≪曜変天目≫は、今回は自然光の入るラウンジスペースで展示される。朝・昼・夕方と日の光によって刻々と変化していく曜変の景色をお見逃しなく。

  1. 重要文化財 古備前高綱太刀 鎌倉時代(12〜13世紀)、朱塗鞘打刀拵(古備前高綱太刀付属) 桃山時代(16世紀) 静嘉堂文庫蔵【全期間展示】
    上:重要文化財 古備前高綱太刀 鎌倉時代(12〜13世紀) 
    下:朱塗鞘打刀拵(古備前高綱太刀付属) 桃山時代(16世紀)
  2. 重要文化財 嘉禎友成太刀 鎌倉時代・嘉禎3年(1237) 静嘉堂文庫蔵【全期間展示】
    重要文化財 嘉禎友成太刀 鎌倉時代・嘉禎3年(1237)
  3. 十二支図三所物 伝 後藤乗真 室町時代(16世紀) 静嘉堂文庫蔵【全期間展示】
    二支図三所物 伝 後藤乗真
    室町時代(16世紀)
  4. 国宝 曜変天目 中国・南宋時代(12〜13世紀) 静嘉堂文庫蔵【全期間展示】
    国宝 曜変天目
    中国・南宋時代
    (12〜13世紀)
  5. ※すべて静嘉堂文庫美術館蔵、全期間展示
    ※写真の無断転載を禁じます

開催概要

展覧会名 日本刀の華 備前刀
会期 2019年4月13日(土) 〜 6月2日(日)
休館日 月曜日(ただし4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)
時間 10:00〜16:30
※入館は閉館時間の30分前まで
会場 静嘉堂文庫美術館
世田谷区岡本2-23-1
入館料 一般 1,000円、高大生 700円、中学生以下無料
公式サイト http://www.seikado.or.jp/
問合せ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)

記載内容は取材もしくは更新時の情報によるものです。商品の価格や取扱い・営業時間の変更等がございます。