塩田千春展:魂がふるえる

糸を張り巡らせた圧巻の没入型インスタレーションは必見!
塩田千春の過去最大、最も網羅的な個展

塩田千春 《不確かな旅》2016年 鉄枠、赤毛糸 展示風景:「不確かな旅」 ブレイン|サザン(ベルリン)2016年 撮影:Christian Glaeser

記憶、不安、夢、沈黙など、かたちの無いものを表現したパフォーマンスやインスタレーションで知られる塩田千春。しばしば個人的な体験を出発点にしながらも、その作品はアイデンティティ、境界、存在といった普遍的な概念を問うことで世界の幅広い人々を惹きつけてきた。なかでも黒や赤の糸を空間全体に張り巡らせた圧倒的なインスタレーションが代表的なシリーズとなっており、現在GINZA SIXの中央吹き抜けを飾る《6つの船》も彼女の作品だ。
 本展は、大型作品6点を中心に、立体作品、パフォーマンス映像、写真、ドローイング、舞台美術の関連資料などを加え、25年にわたる活動を網羅的に紹介する塩田千春の過去最大規模の個展となる。

1972 年に大阪府で生まれ、現在ベルリンを拠点に活動する塩田。世界各地での個展のほか、数々の国際展にも参加し、2015年には第56回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館代表に選出されるなど、国際的にも高い評価を得ている。
 本展の副題「魂がふるえる」には、言葉にならない感情によって震えている心の動きを、他者にも伝えたいという作家の思いが込められている。真っ赤な糸で覆われた空間に、フレームだけの舟が配された《不確かな旅》や、燃えたグランドピアノと観客用の椅子が、黒い糸で空間ごと埋め尽くされた《静けさの中で》など、観客は糸が張り巡らされた空間の中を歩きながら、目に見えない繋がりや、記憶、不安、夢、沈黙などかたちの無いものを体感的、視覚的に意識させられることになる。「どうにもならない心の葛藤や言葉では伝えることができない感情、説明のつかない私の存在、そのような心が形になったのが私の作品です。一昨年、12年前の癌が再発しましたが、死と寄り沿いながらの辛い治療も、良い作品を作るための試練なのかもしれないと考えました」と塩田は語る。

「不在のなかの存在」を一貫して追究してきた塩田の集大成となる本展を通して、生きることの意味や人生の旅路、魂の機微を実感できることだろう。

塩田千春 《どこへ向かって》2017年 白毛糸、ワイヤー、ロープ 展示風景:「どこへ向かって」ル・ボン・マルシェ(パリ)2017年 撮影:Gabriel de la Chapelle
塩田千春 《静けさの中で》2008年 焼けたピアノ、焼けた椅子、黒毛糸 展示風景:「存在様態」パスクアートセンター(ビール/ビエンヌ、スイス)2008年 撮影:Sunhi Mang

塩田千春 《内と外》2009年 古い木製の窓、椅子 展示風景:ホフマン・コレクション(ベルリン)2009年 撮影:Sunhi Mang
塩田千春 オペラ公演「松風」のステージデザイン ベルリン国立歌劇場2011年 撮影:Bernd Uhlig
開催概要
展覧会名 塩田千春展:魂がふるえる
会期 2019年6月20日(木) 〜 10月27日(日)
休館日 会期中無休
時間 10:00〜22:00(火曜日は17:00まで)
※ただし10月22日(火)は22:00まで
※入館は各閉館時間の30分前まで
会場 森美術館
港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階
>> 会場の紹介記事はこちら
入館料 一般 1,800円、高大学生 1,200円、4歳〜中学生 600円、65歳以上 1,500円
公式サイト http://www.mori.art.museum/
問合せ 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
2019年6月更新