伝説の対決「ターナー対コンスタブル」が再勃発!?
世界有数の良質なコンスタブル作品を収蔵するテート美術館から来日
19世紀イギリスの画家ジョン・コンスタブル(1776〜1837)の、初期から晩年の作品を集めた日本では35年ぶりとなる回顧展。
コンスタブルは一歳年長のJ. M. W. ターナーとともに自国の風景画を刷新し、その評価を引き上げたことで知られる画家だ。ターナーが絶えず各地を旅して、国内外の景観を膨大な数の素描に収めたのとは対照的に、コンスタブルは、ひたすら自身の生活や家庭環境と密接に結びつく場所を描いた。故郷サフォーク州の田園風景をはじめとして、家族や友人と過ごしたソールズベリー、ハムステッド、ブライトンなどの光景を写した生気あふれる作品の数々は、この画家が何を慈しみ、大切に育んだのかを雄弁に物語っている。
日本では35年ぶりとなる本回顧展では、世界有数の良質なコンスタブルの作品群を収蔵するテート美術館から、ロイヤル・アカデミー展で発表された大型の風景画や再評価の進む肖像画などの油彩画、水彩画、素描およそ40点にくわえて、同時代の画家の作品約20点が集う。国内で所蔵される秀作を含む全85点を通じて、ひたむきな探求の末にコンスタブルが豊かに実らせた瑞々しい風景画の世界を展覧する。
特に、好敵手ターナーとの対決が勃発した展示を再現した「ターナー対コンスタブル」は大きな見どころの一つ。1832年に開催されたロイヤル・アカデミー展にて、コンスタブルの《ウォータールー橋の開通式(ホワイトホールの階段、1817年6月18日)》は、ターナーの《ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシテ6号》と並んで展示された。ターナーは寒色の銀色がかった自身の海景画が、燃えるような色彩を散りばめたコンスタブルの大型作品の隣に配されたことを知り、「ヴァーニシング・デー[最終仕上げの日]」と呼ばれる手直しの期間に、《ヘレヴーツリュイス》の右下方に鮮やかな赤色の塊を描き加えてブイの形に仕立て上げ、一気に観客の視線を自作に引きつけようと画策したのだ。後日コンスタブルは、「ターナーはここにやってきて、銃をぶっ放していったよ」とこぼしたと伝えられている。この2作品がそろうのは1832年の展示を除くと本展が3回目で、ロンドン以外では初の対決となる。
展覧会名 | テート美術館所蔵 コンスタブル展 |
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会期 | 2021年2月20日(土)〜5月30日(日) |
休館日 | 月曜日(ただし祝日・振替休日、会期最終週、2月22日、3月29日、4月26日は開館) |
時間 | 10:00〜18:00 ※祝日を除く金曜と会期最終週平日、第2水曜日は21:00まで ※緊急事態宣言中の夜間開館は中止 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 三菱一号館美術館 千代田区丸の内2-6-2 |
入場料 | 一般 1,900円、高大生 1,000円、小中生 無料 ※各時間の入場人数に上限あり |
公式サイト | https://mimt.jp/ |
問合せ | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
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