“画鬼”暁斎の神髄は絵本にあり!?
小さな画面で炸裂する、果てしないパワーとイマジネーションに圧倒される
幕末から明治にかけて、狩野派でありながら浮世絵も数多く描いた絵師・河鍋暁斎(1831〜 1889)。近年特に注目を集めており、全国各地の美術館で展覧会が開催され、さまざまな肉筆画や版画が紹介されている。しかしながら、暁斎の絵を一冊の本にまとめて出版した「絵本」というジャンルは、これまでほとんど注目されてこなかった。本展では、人物や動物、妖怪などを躍動感あふれる筆づかいで描いた420頁を超える暁斎の絵本の代表作を、前期と後期で展示替えを行いながら全頁展示。“画鬼”と称された暁斎の知られざる神髄に迫る。
暁斎は葛飾北斎の『北斎漫画』を超えるほどの躍動感ある筆づかいで、『暁斎漫画』や『暁斎鈍画』、『暁斎酔画』など、数多くの絵本を刊行。その絵本の魅力は、人物や動物、妖怪たちが、まるで踊っているかのように生き生きと描かれているところにある。暁斎の絵本の大きさはA5サイズ(21×14.8 p)以下。中には10×7 pという極小の絵本もあり、そんなミクロな画面に描写された、人物や動物、妖怪たちの躍動感あふれる表現に注目したい。
特に見どころとなるのは、前期で展示される『暁斎漫画』の骸骨が描かれた一場面。暁斎は骸骨を好んで描いており、絵本の中にも頻繁に登場する。医学書を参考にしたかのような正確な骨格の描写をしているだけでなく、背伸びをしたり踊ったりと、まるで生きているかのような躍動感あるユーモラスなポーズを取っているところが、暁斎ならではの味わいとなっている。表情も豊かに感じられ、にぎやかな笑い声が聞こえてきそうだ。
小さな画面から溢れ出る、尽きることのないパワーとイマジネーションに、“画鬼”暁斎の知られざる神髄を発見できるはずだ。
展覧会名 | 河鍋暁斎 —躍動する絵本 |
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会期 | 2021年10月29日(金)〜12月19日(日) ※前後期で全点展示替え 前期 :10月29日(金)〜11月23日(火・祝) 後期 :11月27日(土)〜12月19日(日) |
休館日 | 月曜日、11月24日(水)〜26日(金) |
時間 | 10:30〜17:30 ※入館は閉館時間の30分前まで |
会場 | 太田記念美術館 渋谷区神宮前1-10-10 >> 会場の紹介記事はこちら |
入館料 | 一般 800円、高大生 600円、中学生以下無料 |
公式サイト | http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/ |
問合せ | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
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