東京海洋大学 海洋科学部附属 マリンサイエンスミュージアム(水産資料館)(品川)
品川駅から歩いて15分ほど。カモメの鳴き声が響く運河沿いに建つ、東京海洋大学。キャンパスには、水産関係の資料を集めたマリンサイエンスミュージアムがあり、一般に無料開放している。
1Fは帆船模型などがダイジェスト的に展示されており、メインは2Fに。上へ行くとまず、漁業実習や漁場調査、世界の海洋調査などを行う1901年からの歴代練習船の模型がお目見え。続く、南極観測・ガラパゴス調査コーナーでは、ペンギンなどの剥製が並ぶ。1959(昭和34)年、練習船「海鷹丸(うみたかまる)Ⅱ」で行った時のもので、イグアナの剥製は今では入手不可能なもの。流氷に挟まれた南極観測船「宗谷」を救出すべく、随伴していた海鷹丸Ⅱの船員と学生に移乗準備を通告する船長の文書などは、当時の様子が伝わってきて興味深い。
ウミガメから海産ほ乳類コーナーまでは剥製がズラリ。アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ、ヒメウミガメ、オサガメと5種類、魚類はイワシやアジから、マグロ、シイラ、カジキまで多彩。水族館と違って動かない分、じっくりと鱗の模様や色を見られる。生物より食品として見てしまいそうなカニ、イセエビ、ロブスターといった甲殻類、南極へ赴いた際に捕獲したアホウドリやカモメなどの海鳥類も漏れなく。アザラシ、アシカなどの剥製のつぶらな瞳に癒される。クジラの胎児の標本は、一時期だけ現れる足が見られるので必見だ。ヘッケルの系統反復説という学説によると、胎児の成長過程は、その生き物の進化の過程をたどるとのこと。実際の標本は小さくて見えづらいが、拡大写真で丁寧に解説されている。
貝類はまさに一大コレクション。人魚姫のお話に出てくるオオシャコガイも実物がゴロンと。カイロウドウケツは文字通り綿のような外見で、Venus' Flower Basketという西洋名にも納得。昭和初期に教材として使われていたイカやイソギンチャクのグロテスクな解剖模型も展示されている。
海洋生物だけでなく、漁業や養殖などで使う道具類、水産物の食品加工物などが展示されているのも面白い。缶詰の缶の種類、鰹節の熟成過程を解説した展示のほか、イセエビ用の投網、イワシ巾着網、カニ底刺網、マグロ刺網といった魚ごとの網も並ぶ。縄の太さも網目の大きさもさまざまで、長年の経験の末にこの形になったのかと、見ながら先人の苦労に思いを馳せる。
年1〜2回の特別展のほか、各コーナーも年数回は展示替えを予定。平日開館のため来館は年配者が多いものの、幼稚園の遠足から修学旅行中の中高生まで、団体受け入れも多数。土日に特別開館する時もあるので、こまめにチェックしてみたい。
名称 | 東京海洋大学 海洋科学部附属 マリンサイエンスミュージアム(水産資料館) |
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所在地 | 港区港南4-5-7 東京海洋大学品川キャンパス内 |
電話番号 | 03-5463-0430 |
料金(税込) | 入館無料 |
営業時間 | 10:00〜16:00 |
休館日 | 第2・4木曜、土日祝、年末年始、入試期間、点検日 |
アクセス | JR「品川駅」徒歩15分 |
公式サイト | https://www.s.kaiyodai.ac.jp/museum/public_html/index.html |
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