物流博物館(高輪)
意識されないけれど、存在しないと困る―――。まるで黒子のような「物流」の歴史と仕組みを紹介した博物館。一見地味なテーマに思えるが、館内は模型や体験コーナー、映像が楽しめるパソコンなど子どもも喜ぶエンタメ要素に満ちている。
取材時にちょうど来館した学生の一団が、わき目もふらず向った先は、地下1階の巨大ジオラマ。現代の陸・海・空の物流ターミナルを迫力あふれる1/150スケールで再現したものだ。高速道路を勢いよくトラックが走り、埠頭では真っ赤なガントリークレーンが船にコンテナを積みあげる。成田空港がモデルという空港貨物ゾーンでは、口を開けた飛行機の先端部へ荷物を積む様子まで望める。しかも、照明の変化で朝・昼・夜を演出するこだわりよう。暗闇の中、忙しく動く車両が24時間休むことのない物流の姿を浮き彫りにする。その壮大で緻密な造りに、子どものみならず大人も足を留めずにはいられない。
興奮のジオラマ展示から一転、1階「物流の歴史」コーナーは落ち着いた雰囲気。主に江戸から昭和にかけて物流が発展していく過程を取り上げている。江戸時代の配達人“飛脚“関連の史料は、飛脚屋の看板、東海道を行く飛脚のスケジュール表、飛脚専用枕など好奇心が刺激されるようなものも多い。なんと、民間の飛脚業者“定飛脚”の宰領(荷物運搬の責任者)が着た衣装の試着もできる。また、緩衝材もダンボールも普及していない時代の梱包技術も興味深い。例えば、70年近く前のガラス瓶がつめられた木箱。隙間が大きく空いているのは、中身がコワレモノだと知らせるための工夫なのだとか。
普通の暮らしを支えるため、今も誰かが何かを届けている。楽しさプラスそんなこともさりげなく気づかせてくれる内容だ。
名称 | 物流博物館 |
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所在地 | 港区高輪4-7-15 |
電話番号 | 03-3280-1616 |
料金(税込) | 大人(高校生以上)200円、65歳以上100円 |
営業時間 | 10:00〜17:00(最終入館は閉館30分前まで) |
休館日 | 月曜及び第4火曜(これらが祝日・振替休日の場合開館)、祝日の翌日、年末年始(12/28〜1/4)、展示替え期間中 |
アクセス | 都営浅草線「高輪台駅」徒歩7分 JR「品川駅」徒歩7分 |
公式サイト | http://www.lmuse.or.jp/ |
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