港区界隈の個性派 博物館
下町風俗資料館
入って触れて実感! 古き下町へタイムスリップ 下町風俗資料館

不忍池に面した「下町風俗資料館」。関東大震災、戦災、高度成長期の再開発などによって失われつつある下町文化を後世に伝えるため、1980(昭和55)年に開館した台東区立博物館だ。

1Fは、下町の街並みが再現され、2Fに上がると写真、玩具、小物、行事資料などがコーナーごとにまとめられている。どちらからでも自由に見学できるが、醍醐味はやはり1F。
 作業場と帳場がある“花緒の製造卸問屋”は、当時の典型的な商家。壁一面にある花緒は、季節や着物に合わせてすげ替える当時のファッションを端的に表していて分かりやすい。月1回、台東区内の職人による伝統工芸の実演もここで実施されている。帳場には、招き猫、そろばん、銭箱と、まさにザ・時代劇。帳場机の前に座って店の主人になりきるのも楽しそうだ。
 長屋には駄菓子屋と銅壺屋。溝板が続く狭い路地と、軒先にニンニクやみかんの皮などを吊るした様子が何とも雰囲気がある。40cmほどしかない狭い縁側には、手拭い製の雑巾や銅壺屋の作業着がかかり、リアルな生活感も。「壁掛け時計は毎日ネジを回し、年中行事に合わせて、雛人形、五月人形、十五夜、松飾などもしているんですよ」と、研究員の本田弘子氏。取材時は、ほおずきや朝顔の鉢植え、風鈴屋台などが並び、夏らしさ満開だった。奥の稲荷では大正時代のおみくじも。整理箱には番号ごとのみくじ箋(ふだ)があるが、昔の仮名で読めないため、日英双方の解説書も置かれている。“政を正す”、“官位が思うまま”といった文面が出てくる辺りが、昔らしい。

2Fは昔の玩具コーナーからスタート。松風ゴマ(ぶんぶんゴマ)、けん玉、プロペラのついたすりこぎトンボ、知恵の輪、お手玉、コリントゲームなどに挑戦できる。単純な構造なのに、意外とできないものが多く、大人がムキになってずっとやっている姿もちらほら。できた子どもが大人にレクチャーしている時もあるとか。
 ユニークなのは、昭和30年代の住宅と銭湯の番台。住宅には、当時の先端機器であるテレビ、ポップアップ式トースター、電気炊飯器、ラジオ、足踏みミシン、黒電話などがあり、年配層には懐かしさ、若年層には新鮮味を与えている。ドアの外の牛乳瓶用のポスト、流し台の簀子など、芸の細かい演出が心憎い。
 一方の番台は、近年まで実際に使われていたもので、使い込まれた木の質感が何とも魅力的。男性側と女性側の脱衣所を仕切る扉や体重計も実物で、開けたり乗ったりが可能。当時、男性が憧れた番台にも上れる。畳敷きの番台に座ると意外と高さがあり、隅々まで見渡せたのだろうと感じた。

館内の展示物は人力車、大八車、箱車以外、自由に触れられるため人気が高く、入館者はなんと年間約6万人にも。上野散策のついでに気軽にタイムスリップしてみたい。

    下町風俗資料館(上野)
  • 台東区上野公園2-1 [MAP]
  • 03-3823-7451
  • 料金(税込) 一般400円
  • 9:30〜16:30(最終入館は閉館30分前まで)
  • 休館日
    月曜(祝日の場合は翌日)、
    12/29〜1/1、特別整理期間
  • JR・銀座線・日比谷線「上野駅」徒歩5分、
    千代田線「湯島駅」徒歩5分
  • webサイト
自働電話
商家外観
商家内観
駄菓子屋
駄菓子屋の座敷
共同井戸と洗濯場
銅壺屋
銭湯の番台
玩具コーナー

2016年7月取材/2016年9月更新