港区界隈の個性派 博物館
東京国立博物館
実物で美術・考古史がたどれる、日本の博物館の総本山 東京国立博物館

上野公園で一際存在感のある瓦屋根をのせた巨大な建物。1872(明治5)年に開館した東京国立博物館だ。日本と東洋の美術、考古などを中心に所蔵数は、なんと約11万6000件。国宝88件、重要文化財634件を抱え、常時約3000件を展示する、まさに日本を代表する博物館。
 広大な敷地には、本館、東洋館、平成館、表慶館、法隆寺宝物館、資料館と6棟が建ち、加えて庭園や、大名屋敷の正門だった黒門などの文化財も点在。敷地外には洋画家 黒田清輝の作品を紹介する黒田記念館も建つ。

どこから見学するか迷うが、オススメは本館2Fから。「日本美術の流れ」と題され、縄文時代の土器から江戸時代の浮世絵まで、実物でたどれるのだ。作品保護のため1カ月〜半年で展示替えするものの、その分季節感を楽しめ、常に目新しさがある。展示室は広く、高さ数mの仏像や横に長い絵巻も圧迫感がない。取材時は、藤原定実による古今和歌集切、一休宗純の書、円山応挙の山水画などが展示されており、見知った名前があちこちに登場。全収蔵品の中で、長谷川等伯《松林図屏風》、尾形光琳《風神雷神図屏風》、菱川師宣《見返り美人図》などが人気という。
 1Fは、日本美術のジャンル別展示。彫刻では木彫仏の表情や躍動感ある動きを楽しみ、漆工では華やかな意匠に見入り、刀剣では刃文をじっくりと眺める。各ジャンルとも工程や種類、名称などの解説パネルがあり、基本知識もバッチリ。異なる時代で作りの違いを見比べるのも興味深い。アイヌや琉球の文物、写真などの歴史資料の部屋もある。

アジアの美術を展示する東洋館。5Fまでの吹き抜けに立つ中国の石仏を見上げると、上層階のスポットライトが星空のようで幻想的。ガンダーラの菩薩像、クメールやタイの仏像と、本館にある日本の仏像との表情の違いが顕著で、同じ仏像でも地域や時代による変化が楽しめる。ユニークなのは、エジプトの考古品があること。なんと、ミイラまで登場。食器や衣服など、当時の暮らしぶりが分かる展示品も興味深い。
 考古展示室のある平成館へは、本館から連絡通路を通って向かう。旧石器時代から江戸時代までと、こちらも幅広い。石器、土器、鏡など、どの種類もギュッと密集した展示なのも特徴だ。江戸時代の瓦の展示など、古代以降も意外と見所が多く要チェックだ。
 表慶館の奥に建つ法隆寺宝物館は、国宝の竜首水瓶はもちろん、金銅仏、荘厳具などが並んで厳かな雰囲気。ル・コルビュジエがデザインしたソファなど、ファブリックにもこだわりが感じられ、印象的に鑑賞できる。
 全体的に工芸、陶磁器、掛軸、着物など、多様なジャンルの作品が1部屋に混在し、包括的に見られる。圧倒的なスケールを誇る日本最古の博物館は、“生きた教科書”として、今日もまた新たな歴史を刻み続けている。

    東京国立博物館(上野)
  • 台東区上野公園13-9 [MAP]
  • 03-5777-8600(ハローダイヤル)
  • 料金(税込)
    大人620円、大学生410円
    ※黒田記念館・資料館は無料、特別展は別途
  • 9:30〜17:00(最終入館は閉館の30分前まで)
    ※特定日、時間延長あり(黒田記念館・資料館を除く)
  • 休館日 月曜(休日の場合は翌平日)、年末年始※GW、お盆は原則無休
    ※資料館は土日祝、毎月末日、年末年始
  • JR「上野駅」徒歩10分、
    銀座線・日比谷線「上野駅」、
    京成線「京成上野駅」徒歩15分
  • webサイト

※展示作品は取材時のもので、展示替えがあります

本館展示風景
国宝室
根付コレクション
東洋館
考古学室
ハンズオン
法隆寺仏像群
表慶館
庭園

2017年2月取材/2017年3月更新