都内アンテナショップで出会える!THEふるさとの美食

都内に軒を連ねるアンテナショップ系レストランは、リーズナブルにご当地テイストを楽しめる穴場。伝統の郷土食からネオ郷土グルメまで、“ふるさとの美食”を一堂に集めました。

ブランド牛の中でも歴史が長い“近江牛”
脂の旨味をシンプルな炭火焼でじっくり味わう
滋賀県ここ滋賀

平日ランチ限定 近江牛定食

平日ランチ限定 近江牛定食 税込2,900円
※休日ランチでは、近江牛の炙り焼き定食(税込3,200円)となる
※写真は、近江牛の炙り焼き、筍・ナス・ミニトマト・ラディッシュ・黒あわび茸・そら豆のグリル、ワサビ菜とクレソン、酢鶏とほうれん草のお浸し、春キャベツの味噌汁、日野菜の漬物、ご飯

日本橋交差点に面し、駅にも直結したアクセス抜群の「ここ滋賀」。滋賀の魅力を多角的に発信しているアンテナショップだ。1Fには特産品の近江牛や鮒ずし、お米、お茶、雑貨などがそろうマーケットが広がり、一角には地酒が楽しめるバー、イベントエリア、総合案内などもそろう。2Fはレストラン「日本橋 滋乃味」、3Fはフリーゾーンのテラスで、平日はシニア層やワーカー、休日は家族連れで賑わう。

レストラン「日本橋 滋乃味」はカウンター8席、テーブル30席あり、味のある信楽焼の器がズラリと並ぶ。年末年始や春は貸切の需要も

ランチは、平日と休日でメニューが異なり、平日はサッと食べられる定食が中心。週替わりでメインが変わる近江一汁三菜定食や本日の丼ぶり、近江牛定食、近江牛のホルモンが入った肉吸いうどんが定番メニューだ。加えて1日10食限定で、近江八幡名物である赤こんにゃくを使ったオムレツや、湖魚の佃煮などの惣菜が並ぶ一汁三十三品目膳と、ローストビーフのサラダに近江牛の三つの部位を食べ比べられる近江牛づくし膳がある。豪勢な肉ランチは自分へのご褒美にも良さそうだ。
 休日は、主菜にも酒の肴にもなるアラカルトも加わる。鮒ずしの漬け床である飯(いい)でマリネした唐揚げ、伝統野菜である日野菜の漬物と豚肉の陶板焼きなど、グルメ好きの好奇心をかきたてるメニューが並ぶ。

料理長の高島拓未氏。滋賀県の食材を用いて同店ならではのメニューを提案

一番人気はブランド牛がじっくり味わえる「近江牛定食」。炭火で炙り焼きされ、素材の良さがダイレクトに舌に届く。「江戸時代、牛のと殺は禁止されていましたが、彦根藩だけが唯一認められており、近江牛の味噌漬けを将軍家に薬として献上していたそうです」と、支配人の大竹萌氏。日本最古のブランド牛とも言われるだけあり、その味は一流。濃厚な脂だが、しつこくなく、口の中で溶けるように消えていく。文句ない美味しさに黙って食べ進めてしまう。
 添えられた野菜もたっぷり。グリル野菜ではタケノコやソラマメなど旬を意識したものや、都内ではあまり見かけない黒アワビ茸が登場。ワサビ菜やクレソンも添えられ、後口サッパリ。
 小鉢はさっぱりとした酢鶏、漬物は室町時代から栽培されている伝統野菜の日野菜。細長い形状で見た目はゴボウのようなカブ。マイルドな酸味がご飯に合う。

飯をチーズに見立てた「飯とパクチー トマトのサラダ」。飯とトマトの意外な組み合わせ。パクチーの香りが良いアクセントとなり、全体をまとめている

休日ランチでは、オリジナルメニュー“鮒ずし茶漬け”が女性の一人客に好評だ。ご飯にトマトやキュウリ、水菜などの生野菜を盛り、飯と鮒ずしをのせてお茶漬けにした一品。「鮒ずしの酸味が程よく溶け出してご飯をサッパリと食べられます」と、レストラン店長の塚本真吏奈氏。
 福井から京都への鯖街道の影響で、滋賀県湖北地方は昔からサバをよく食べる。糠漬けにしたへしこをアンチョビ的に活用したもやしのへしこ炒めは、地酒にもよく合うのだとか。飯のディップも要注目。酸味はあるが、食べ進めるうちに独特の旨味が広がってくる。「飯は、乳酸発酵らしい香りと酸味、後を引く旨味があります。チーズ代わりにバジルやワサビを加えてディップにしたら、お酒のアテに良い一品になりました。トマトとパクチーを合わせたサラダもさっぱりした味わいで、ディナーで人気です。県の酒造組合さんのご協力で地酒が充実していることに加え、日本酒が好きなスタッフも多いので、酒の肴的なメニューのアイデアはよく出てきます」。塚本氏が笑って教えてくれる。鮒ずし、へしこ、漬物など、発酵食と一緒に日本酒をたしなむと悪酔いも少ないとか。

ディナーでは鮒ずしも人気。中には初めてチャレンジする人も

ディナーではやはり充実した地酒を楽しむ人が多い。1748(天明4)年創業の老舗の味が楽しめる「魚治の鮒ずし」も人気メニューだ。飯とトマトを溶いただし汁がベースの豚しゃぶもあっさりした味わいで好評。「メニュー開発は1年半くらいかけていますね。郷土料理や伝統料理をベースに、東京の人が受け入れやすいよう工夫して、幅広い層にアプローチしています。まずはここで滋賀の食材を知ってもらい、現地を訪れるきっかけになることが目標です」。支配人の大竹氏は、同店のメニューの数々についてそう説明した。男性長寿No.1の滋賀県。その秘訣は発酵食にありとも言われている。とはいえ、いきなり現地へ赴くのも、鮒ずしなど伝統料理をそのまま試すのも、二の足を踏むことは確か。まずは同店で発酵食デビューをし、滋賀の健康パワーに触れるのも良いかもしれない。

1Fのマーケットには、鮒ずし、近江牛のカレー、県産のお米、近江や甲賀の日本茶、湖魚の佃煮、赤こんにゃく、日野菜の漬物など、ご当地の食が大集合。鮒ずしは生産者別に複数の商品がそろう。スタッフが目利きで仕入れた商品なども置いてあり、お気に入りを探すのも楽しい。人気は、第1、第3金曜・土曜に限定販売される「つるやパン」のサラダパン(税込200円)。サラダと言っても、コッペパンの中に入っているのは、刻んだたくあんのマヨネーズ和え。発売日は朝から並ぶ人もいるほどなのだとか
マーケットの一角にある地酒バー「SHIGA’s BAR」。滋賀県酒造組合に加盟している33の酒造会社の地酒が楽しめる。県内でもここまでの銘柄がそろう所は少なく、レアものを求めて通う県民やファンも多い。七本槍、松の司、笑四季(全銘柄共通・1杯税込300円)などが人気で、好きな銘柄4種が選べる飲み比べセット(税込1,000円)も好評。芳醇な味わいのものが多く、鮒ずしなどご当地の食材を使った酒の肴とも合う。テイクアウトで、お茶やコーヒー、ソフトクリームなども提供。ショップの食べ物と一緒に3Fのテラスで楽しめる
近江商人の精神が今も息づく貯蓄好きな正直者
左から、「日本橋 滋乃味」店長の塚本真吏奈氏、「ここ滋賀」支配人の大竹萌氏
福井から京都へサバを運ぶ鯖街道など、古くから商業が栄えた滋賀県。売り手よし、買い手よし、世間よしを理念とする近江商人は当時から全国で商売をし、その成功ぶりは広く知られています。近江商人の流れをくむ高島屋や丸紅などの企業が日本橋に多く集まっており、同館がこの地にあるのはそのためだとか。
 今でも近江商人の精神が継承されていて正直者で貯蓄好き。一度仲良くなると深く付き合い、世話好きな一面を発揮します。地元愛がとても強いものの、自分のことを外に向けてPRするのは、得意ではない一面も…。しかし、彦根城を始めとする歴史に誇りを持ち、全国に県人会が発足して活動するなど、強い絆で結ばれています。
コレぞ、ふるさとの味!ご当地で愛される品
なれずし飯県の名物である鮒ずしの漬け床として使われている米。乳酸発酵ならではの酸味と旨味が凝縮されていて後を引く。お茶漬けの具や、バジルやしそなどを混ぜたディップにして酒の肴として楽しめる。調味料としても優秀で、酸味を生かしてサラダのトッピングに加えたり、肉類の下味に使ったり、クッキーやラスクに使われたりとその用途は幅広い。
鮒ずしは、春に捕獲した二ゴロブナの内臓を取って塩漬けにすること数カ月。夏に飯を身の中と周囲に詰めて重しをして、半年以上漬け込んだ日本古来のなれ鮓の一種。なれずし飯 100g 税込496円/(株)飯魚(いお)
ここ滋賀
店舗外観
中央区日本橋2-7-1
1F共通 03-6281-9871
2F日本橋 滋乃味 03-6281-9872
マーケット・総合案内「SHIGA’s CONCIERGE」 10:00〜20:00
地酒バー「SHIGA’s BAR」 10:00〜23:00
レストラン「日本橋 滋乃味」
ランチ 11:30〜14:00(L.O. 13:30)
ディナー 18:00〜23:00(L.O. 22:00)
定休日 年末年始
webサイト
2018年5月取材/2018年5月更新