都内アンテナショップで出会える!THEふるさとの美食

都内に軒を連ねるアンテナショップは、リーズナブルにご当地テイストを楽しめる穴場。伝統の郷土食からネオ郷土グルメまで、“ふるさとの美食”を一堂に集めました。

初めて食べるのになぜか懐かしい、超ローカルパンをはじめ、一風変わった青森のコアな商品がズラリ
青森県AoMoLink〜赤坂〜(アオモリンク アカサカ)

イギリストースト

イギリストースト 税込170円
※毎月9・10日に販売

赤坂駅2番出口より徒歩1分、ねぶた祭の大きな山車の面が目印の「AoMoLink〜赤坂〜(アオモリンク赤坂)」は、青森県東青地域の特産品を扱うアンテナショップ。東青地域とは、青森県の陸奥湾に面した青森市、平内(ひらない)町、蓬田(よもぎた)村、今別(いまべつ)町、外ヶ浜(そとがはま)町の5市町村で構成される地域のことで、津軽海峡や陸奥湾の豊かな水産物をはじめ、八甲田山からの雪解け水で育まれた農産物に恵まれている。
 オーソドックスなお土産品や特産品の扱いが多い一般的なアンテナショップに比して、少しマニアックな地元民御用達商品や、一点ものの工芸品、そして挑戦的な新商品も入れ替わりで常時800点程度並ぶのが、アオモリンク赤坂の大きな特徴。青森出身のスタッフが、多いときは月に1回現地に出向き、これは!と思う商品を直接交渉・厳選しているため、一味違った面白いラインナップが提供できるのだとか。

店内店内にイートインスペースはないが、青森県東青地域の物産品を常時800点程度扱う。

そんなアオモリンク赤坂らしい商品として今回紹介したいのは、青森県民なら誰もが知っているという「イギリストースト」。青森県内ではほとんどのスーパーやコンビニで販売されているお馴染みのパンだが、一歩圏外にでると知名度はほぼゼロになるという、まさにローカルフードの代表のような商品だ。
 こちらは、青森市にある創業50余年のパン製造会社「工藤パン」が、創業当時からの変わらぬレシピでつくり続ける素朴な菓子パン。薄切りにした山型パンを2枚合わせにし、その間にマーガリンとグラニュー糖をサンドした、ジャリジャリ食感が楽しい逸品だ。

イギリストーストグラニュー糖とマーガリンを挟んだシンプルなパンは、初めて食べるのになぜか懐かしさを覚える。

この非常に素朴な見た目からは想像しづらいが、このパンにはたくさんのこだわりが詰まっている。例えば、パン生地は8枚切りと10枚切りの間の絶妙なスライスで統一されており、これは創業者が一番美味しく食べられる厚さを追求し、研究を重ねた結果導き出した厚みだそう。また、イギリストースト用に開発した自社配合のマーガリンを使用しており、パンに挟むグラニュー糖との割合にもこだわっている。さらに、自家製発酵種ルヴァンを使用した生地のしっとり感を逃さないよう、焼き上げから2時間半で商品化するなど、そのたゆまぬ努力で長年青森県民から支持されている。
 「クドパン(工藤パンのことを県民はそう呼ぶ)の商品は、普通にどこにでも売っていますし、学生時代は購買なんかで買って食べていました。最近全国的に認知度が上がっているのは、正直びっくりですね。定番はもちろん人気ですが、ほぼ毎月新商品が出るのがイギリストーストの特徴で、旬の食材を使うことが多いので、クドパンの新商品であ〜この季節がきたかと感じることもあります(笑)。それから、グラニュー糖を増量した『もっとじゃり増し』というのもあって、これも美味しいですよ」と、青森市出身のスタッフ齋藤氏と、運営に携わる野村氏は、イギリストーストの躍進に驚きつつも、その魅力を語ってくれた。
 アオモリンク赤坂では、毎月9日と10日に定番と新商品のイギリストースト2種類を100〜200個販売しているが、まとめ買いする人も多く、10日の午後にはほぼ完売しているため、確実に購入したい場合は9日中には訪れておきたい。

左はニンニクの日に販売される青森ニンニク、右はzilch studioのクッキー。
アオモリンク赤坂のスタッフが、作り手に直接交渉して扱いが決まる商品が多い。

すぐに売り切れる商品としては、毎月29日のニンニクの日に並ぶ500g税込1,300〜1,700円の青森ニンニクも忘れてはならない。どっしりとした実はニンニクの名産地である青森ならではで、房からこぼれたバラを一袋に詰めているため、この金額で販売できるのだとか。
 また、青森市に拠点を置く、実店舗を持たない大人気のスイーツ工房「zilch studio」の「気まぐれクッキー缶」は、スタッフが直接交渉した末、アオモリンク赤坂で取り扱えることに。月1回の店頭・オンライン販売では即完売するため、アオモリンク赤坂のSNSをこまめにチェックする必要がある。
 特に、実りの秋を迎える9〜11月頃には、青森の農家直送のりんごやトウモロコシなど、新鮮な農産物がズラリと店頭に並び賑やかになるが、これも早い者勝ちだ。

体の芯まであったまる生姜味噌おでんは県民のソウルフード。
店頭では、20g×5袋と手軽な小分けタイプで販売。
画像提供:青森おでんの会

青森県民のソウルフードとして、他にもオススメしてくれたのが「生姜味噌」。特に、青森市周辺では、すりおろした生姜入りの味噌だれを、おでんに付けて食すのが一般的で、コンビニや居酒屋でも、おでんといえば「からし」ではなく、「生姜味噌」がスタンダード。「ローカルの食べ方だとは理解していましたが、東京で初めてコンビニおでんを買った時に、生姜味噌がない…!と若干寂しかった記憶があります」と齋藤氏。また「私の実家では自家製生姜味噌を母が作っており、生姜はチューブではなく必ず生の生姜のすりおろしじゃないとダメだと言いますね。まあ、寒い地域なので『風邪ひいたべ』ってなったら味噌汁に生姜を入れて出したり、生姜自体を多用します」と、野村氏も母の味を教えてくれた。
 この食べ方が生まれたのは戦後の闇市の屋台で、当時、極寒の真冬に北海道・函館へわたる青函連絡船に乗るお客さんの体を少しでも温めようと、屋台のおかみさんがおでんに生姜入り味噌をかけて出したのが始まりだという。寒い冬には、ぜひ青森流の生姜味噌+おでんで体を温めてみてはいかがだろうか。

都内ではアオモリンク赤坂のみ、地元青森でも7店舗でしか購入できない希少酒「七力」。

そして、青森といえば澄んだ水と旨い米でつくる日本酒も自慢。アオモリンク赤坂でも約25種の日本酒を扱っているが、特にオススメしたいのが「七力」だ。青森市内の酒販店7店舗でつくる団体「ななの会」が、七戸町にある「盛田庄兵衛」という酒造に依頼し醸造した日本酒で、ななの会の酒屋7店舗でのみしか購入できない希少酒だ。盛田庄兵衛酒店と繋がりのあるアオモリンク赤坂では、特別に扱いが許可されており、都内ではもちろんこちらでのみ購入可能だ。
 八甲田の雪解け水が地下にゆっくり浸透し湧き出る伏流水と、青森県で開発された最高ランクの酒造好適米「華想い」を100%使用した七力は、辛口が多い青森のお酒の中でも、米の旨みが口いっぱいに広がる、キレの良い旨辛口タイプに分類される。旨みとキレの両方を味わえるバランスの良い純米吟醸として人気があり、七力目当てで来店する日本酒好きも多いのだとか。

月に数度ある特別販売日や、実りの季節の青森直送農産物販売など、常に店頭に活気が満ち溢れているアオモリンク赤坂。青森の良いもの、コアなものを東京でも楽しんでほしいという、スタッフの強い想いで厳選された商品を手に取ってみれば、きっとこれまで知らなかった新しい青森を発見できるはずだ。

青森ってこんなとこ!とにかく雪がすごい!
若手ねぶた師が作成した迫力満点の山車の面は、アオモリンク赤坂のシンボル。
青森県内でも降雪量が最も多い青森市。「青森市の端から、市内中心部へ引越した時、雪の量が全然違うことにビックリしました。そのぐらい青森市の中心部は豪雪地帯です」と野村氏が語るように、人口30万人以上が暮らす都市では、青森市は世界トップクラスの積雪量を誇る。冬の時期は朝、帰宅後の雪かきは当たり前、道路は積雪で一車線はほぼ埋まってしまうので、元々道幅は広めに作られているのだとか。また、学校の校庭は基本的に雪が積もったまま4月まで溶けないため、体育の授業はスキーやクロスカントリー、雪上サッカーを行うこともあるのだそう。
青森といえば“ねぶた”!熱気に包まれる一大イベント
山車(だし)、囃子(はやし)、跳人(はねと)が三位一体となってつくり出す、青森市の一大イベント「青森ねぶた祭」。毎年8月2〜7日に疫病退散などを願って22団体が運行を行っており、青森ねぶたの特徴である立体的な山車が迫力満点!ねぶた用の浴衣さえ着ていれば誰でも当日跳人として飛び入り参加できるという開かれたお祭りで、跳ねて踊っているうちに仲良くなって友達が増えたり、カップルが誕生することも。県外に住む青森県民もねぶたのために帰省することもあるというから、どれだけ気合の入った祭りかが伺える。「ねぶたの季節になると、囃子の練習の音があちこちから聞こえてきて、あ〜この季節がやってきたなとワクワクします。祭りの数か月前から『ねぶたラッセランド』というところにねぶた小屋ができ、全団体がそこで山車を制作するので、全ての山車を見たい場合はねぶた小屋を見学するという手もあります」との耳よりな情報も入手。冬は雪が多く外出もままならない分、ねぶた祭りでは思いっきり発散して楽しむのが、青森県民流の上手な1年の過ごし方なのかも?
AoMoLink〜赤坂〜(アオモリンク アカサカ)
店舗外観
港区赤坂3-13-7
03-5561-3131
11:00〜19:00
定休日 年末年始
webサイト
2021年12月取材/2022年1月更新