赤坂通りを一歩入った静かな路地で、20年来暖簾を張る小体な和食処。産直で仕入れる四季折々の山海の恵みを良心価格でしっかり食べさせる店は、接待向けの店が多い界隈で珍しいから重宝される。

ボリューム満点の丼ものが中心の昼はとりわけ、ご飯の上に、香ばしく焼いた江戸前穴子と半熟の玉子焼きを載せた「焼穴子玉子ふはふは」が人気。その名の通り、「フハーッ」と口の端から熱々の湯気を漏らしながら頬張る一品は、焼穴子とご飯に玉子焼きの優しい甘さが絡まる口福の味わい。

甘辛い穴子の焼きだれのベースには、沸かした酒に穴子の頭や骨を投入して取り出した出汁を使うこだわりで、焼穴子の旨味を一層引き立てる。鰯や秋刀魚を載せた丼もしかり。それぞれの魚から、都度、専用の出汁をあつらえる。夜は「飲んでもしっかり食べたい」常連がほのぼの集う。

1. 夜は内容充実のコース料理「つる」(旬菜7品、季節の炊き込み土鍋飯、デザート／税込5,000円）が一押し。一品料理級の贅沢なお通し（写真）で幕開けするコースは、旨い日本酒とともにじっくりと味わいたくなる
2. 調理場を一手に引き受ける店主の山岸さんは、宗流の茶人の孫にあたり、店名にはその茶室の名「會水庵」をつけたのだとか