素材の風味を生かした、甘さ控えめの和菓子に定評のある「松月」。大正8年より、赤坂・一ツ木通りに暖簾を掲げる老舗のこの店では、2代目と3代目の西尾さん親子が、先代から続く味を今に伝える。

「手を広げると味が落ちてしまうから」と、支店は持たずに、“ここだけの味”を丁寧に手作り。中でも、常連が贔屓にするのは、店前に続く“通り”の名を付けたロングセラー「一ツ木饅頭」。表面にあしらった木の意匠の焼印も愛らしく、菓名は商標登録済みというから、堂々、赤坂土産と洒落込める。

しっとりとした薯蕷の生地の中には、店自慢の“特製餡”。小豆の皮を除いてから炊き上げた淡い色調の餡に、皮を損ねないよう、そっと炊いた大粒の大納言を混ぜ込むと、ひと工夫。口解け滑らかな餡に、大納言の歯ごたえがアクセントに。上品な甘さに、小豆の風味が一層引き立って美味。

2階の茶房では、二代目の奥さんが店を切り盛り。古くからビジネスマンの利用が多い茶房では、すでに引退した古参の常連が、奥さんの笑顔が懐かしくて顔出す…なんて光景もしばしばとか。温かな人情に触れながら、「ゆであずき」や「田舎しるこ」に舌鼓。お腹も心もホカホカしたら、いよいよ階下で品定め！

1. 冷凍庫で冷やして半解凍でいただくドラ焼き「生どら」は、小倉アイスのよう（生クリーム・抹茶クリーム 各・税込190円）
2. 定番のほか、季節菓子も要チェック！　イチゴや栗、梅を忍ばせた季節限定の大福もオススメ
3. 40席と広い茶房は、一服や商談にと、ビジネスマンの利用も多い。40種以上揃う充実の甘味メニューは、迷うこと必須！