巷のものとはちょっと異なる「月島家」の今川焼。もちもち柔らかな生地は黒糖入り。小ぶりながらたっぷりと厚みがあり、中には小倉、カスタードクリーム、チーズの3つの味をそれぞれ詰める。縁起のいい焼印も手土産として喜ばれること請け合い。

かじると、生地からじんわり染み出した黒糖のコクが中のフィリングと相まって絶妙な美味しさ。甘さを抑えた小倉はほろりと香ばしく、カスタードの優しい卵味はほんのりカラメル風味に。チーズと黒糖の好相性に至ってはちょっとした発見だ。

人情家の夫婦が一つずつ手焼きして「あっついよー」と笑顔で客に差し出す幸せな光景は、昭和26年の開店当時と変らないはず。焼き上がりを待つ間、寿の焼印にまつわる“ちょっといい話”を尋ねてみるのも面白い。

1. 今川焼と肩を並べる名物、出世いなり（税込220円）。縁起かつぎに“見通しが明るい”穴あきレンコンの甘酢漬けを混ぜ込んだ。シャキシャキの歯触りも楽しい絶品。ワーカーに人気で取り置きする人も多い
2. 昭和26年開業の老舗を仲良く切り盛りする衣笠さん親子。黒糖入りの生地も、一風変った型も、先代から続くものとか。出世いなりは2代目の奥さんが発案したそう