ニューヨークを拠点に活動するフォトグラファー藤間謙二（とうまけんじ）。2017年に発表した、19世紀植物細密画への長年の憧憬を込めたシリーズ「The Most Beautiful Flowers」でも各国で注目を浴びたが、今回はまるでアプローチの異なる新シリーズ「Artificial Flowers」を、世界に先駆けて「KANA KAWANISHI PHOTOGRAPHY」でお披露目。

 前作は、花々の細部までをも克明に写し取ることで、逆に絵画に近づくような時間を超越した美しさを表現していたが、今回はシルクフラワーとプラスチックでできた“造花”を被写体に、本物の代用品としてしか価値を与えられない人工物を、息を呑むほど美しい造花ならではの作品世界に昇華させている。
 「チープな素材で何万本と大量生産され、日常にあっても見向きもされない。そんな造花の向こう側に何かがあると感じていた」と語る藤間。シルクの細かな質感、異様なほど妖艶な光を放つ葉を見ていると、普遍的であるはずの美の概念が激しく揺さぶりをかけられている気分になる。藤間の言う“向こう側”とは、その人間の価値観に対する問いかけなのかもしれない。

 間近で見ると光やテクスチャーの美しさが際立つため、ぜひギャラリーに足を運んで鑑賞してほしい。会期中は、前作のアートブック「The Most Beautiful Flowers」も購入可能。

【会期】3月30日（土）〜4月27日（土）　【休廊日】日月祝、4月11〜13日　【時間】13:00〜20:00（土曜12:00〜19:00）