インターシティガーデン

インターシティガーデン港区赤坂1-8-1

官公庁に近いビジネス街「溜池」。
アメリカ大使館に隣接して立つ赤坂インターシティAIRには、中央に5000㎡を超える
ガーデンがある。東京に古くから自生していた種類の木々が茂り、水辺にはレストランやカフェが点在。ユニークな形のベンチも印象的で、ぶらぶら散歩が楽しい。

六本木通りに面し、溜池山王駅からも地下通路で直結していてアクセスは楽々。アメリカ大使館と道路を挟んだ向かいに広がるのは、木々が整然と並ぶプロムナード。水路に出れば、街の喧騒が一気に遠くなるような穏やかな空間が広がる。

桜並木水路に沿った桜並木。春にはお花見を楽しむ人で賑わうこと必至

水辺には早春を彩るコブシ、紅葉がきれいなマユミなどが植わり、対岸には緑に馴染むようレンガタイルで造られたカフェやレストランが並ぶ。コーヒーを片手にベンチで寛ぐ人の姿もちらほら。そのベンチがちょっと目を引く。レジャーシートのような幅広なもの、ハイテーブルのようなノッポなもの、稲妻のようにギザギザのものと、形がどれも違う。「今日はどのベンチにする?」、「これは、どうやって座る?」、そんな戸惑いも楽しい寛ぎのひとときになるかもしれない。ガーデン内にはフリーWifiも完備されており、気分転換がてら戸外でPCチェックなどもできそうだ。奥は小高く緑が連なり、庭園というよりも小さな森のような雰囲気がある。

ベンチ縦に横に“うねる”!? オブジェのようなベンチ

虎ノ門側の水路の終着点は、池のように水辺が広がっていて、エノキの大木がドンと立つ。エノキは、江戸時代には街道の一里塚として植えられた在来種。昔から水辺に生えるこの木が、“溜池”の新しい緑地でシンボルツリーとなっているのも歴史がつながっていくようで面白い。
 冒頭の画像にあるような開けた景色を眺めたら、溜池側へ向かう歩道へ。道の脇に何気なく置かれた石は、腰かけられるようにくぼんだ形に。坂を上っていくとクヌギやコナラを見つける。秋にはドングリが歩道を転がりそうだ。歩道の途中から、飛び石が続く別の道が延びている。梢にさえぎられて先が見えない。好奇心に駆られて、進んでみると、水路の中ほどに到達。別の抜け道は、レストランのテラスへと通じていた。歩道に戻って進むと、吐水口を発見。覗き込むと、石の一つが蛙の顔に削られている。ここでも設計者の遊び心を感じて思わず笑顔に。散策の際にはぜひ探してみてほしい。

飛び石の抜け道梢の先がどこにつながるか、
ワクワクする飛び石の抜け道
蛙の顔の石蛙の顔の石が潜む吐水口は2カ所ある

坂を上りきると、ビル2Fのオフィスラウンジにつながる。ゆったりとしたソファーが並ぶラウンジから眺めるガーデンもいい。山の植生を再現しているため、針葉樹から落葉樹へと変化していく景観も楽しめる。
 階段を下りて溜池側に出ると、こちらにもオブジェのようなベンチが点在。イロハモミジなどの葉を落とす木も多く、秋には紅葉が楽しめそう。一般的にビルのランドスケープには、360度どこから見ても同じに映るスマートな木を採用することが多い。しかし、インターシティガーデンでは、より自然に近い森を再現するべく、日当たりによって枝の長さが異なる木を積極的に採用。枝ぶりを見ながら1本ずつ配置を決めていったという。横に存分に伸ばした枝によって生い茂った森らしさが出て、「避暑地に遊びに来ているみたい」といった感想も。テーマを持って植えられた木々や抜け道などの遊び心が、このガーデンの一番の魅力かもしれない。単なる遊歩道では終わらないそぞろ歩きの楽しみを作り出していて、季節や気分でふらりと出かけたくなる。ランチやコーヒーブレイク時など、折々で気軽に自然と触れ合えるスポットだ。

2Fラウンジ付近2Fのラウンジ付近はヒノキなどが植わる
溜池側のモミジ溜池側に下がるとモミジなどが増えて紅葉も

迷路のような道が多様な視界を生み、固定観念を崩す
緑を介してエリア全体の魅力アップを

髙島 一朗氏
Interview
新日鉄興和不動産株式会社
ビル事業本部
都市開発部
グループリーダー
髙島 一朗
2棟のビルをまとめて広大な緑地を実現
最初に検討したのは、溜池山王駅から赤坂インターシティAIRへ地下道を通すことです。アークヒルズへと続く地下道から新たな出口を造り、メインゲートとしました。そこから虎ノ門へ並木道を通して人が自然に流れる動線を整え、並木道を引き立てる要素として広い緑地を考案。当初、2棟の予定だった建物を高層の1棟にまとめ、5000uの緑地エリアが生まれました。
迷路の方が多様な視界を生む
アメリカ大使館に隣接したこの緑地は、人が集まる広場を設けるのではなく、人が回遊する遊歩道を中心に設計しました。コーヒーを飲んで一息入れるには、芝生よりも木を背にベンチを点在させた方が木陰で気持ちがいい。森林浴のイメージが膨らみ、もともと森だった所に道を通すようなイメージで進め、直線を使わず曲線で歩道を造ってほしいとランドスケープを依頼しました。
 幾何学的なデザインは整然としているけれど、記憶に残りにくい。迷路のように入り組んでいると、歩きながら視点が左右に振られるので、たくさんの景色が目に入ります。デスクワーク中心で日々の生活に季節感を感じることが少ないオフィスワーカーも、通勤時やランチ時などに自然の変化と触れ合えるのです。それが気分転換となって業務がはかどれば、テナント企業のビジネスにも好循環をもたらして、このエリア全体の魅力につながっていきます。
1本ずつ向きを決めて植え、本物の森らしく
溜池はさまざまな人が行きかう多様なエリア。ビル、住宅、ホテル、大使館などがあり、それぞれの個性が光る魅力があります。その魅力を生かし、あえて整理せずに来るたびに見え方が異なるガーデンを造ろうと思いました。
 起伏がある周囲の土地に合わせて、ガーデンも起伏をつけました。平地よりも高低差がある方が演出しやすく、ゾーンごとに異なる雰囲気を楽しめるのです。できるだけ本物の森に近づけるべく、昔から東京に根付いている木の種類を意識して集め、1本ずつ向きも調整して植えました。だから、同じ景色はあっても同じ植え方をされた所はありません。
日々変化するガーデンで固定観念を打破!?
何かと固定観念に縛られることが多い現代に、その概念を崩す場所となってほしい願いもあります。3つの板が1つのユニットになって作られているベンチも、形がユニーク過ぎて座れないものがあったとしてもいいし、全ての道が通じていなくても、行き止まりなら戻ればいいだけ。誰もが分かるビルの特徴だけだと、魅力があっても埋もれがち。飽きのこない変化が楽しめるガーデンはその意味でインパクトがある特徴だと思います。晴れても雨でも良さがあり、訪れる人がその景色の主役となって楽しんでもらえると本望です。
赤坂インターシティAIRの歴史
2011(平成23)年
赤坂一丁目地区第一種市街地再開発事業の都市計画決定
2014(平成26)年
着工
2017(平成29)年
赤坂インターシティAIR竣工
インターシティガーデン(溜池)
港区赤坂1-8-1
03-6745-5751
(新日鉄興和不動産(株)広報室)
銀座線、南北線「溜池山王駅」直結、
千代田線、丸ノ内線「国会議事堂駅」直結
webサイト
2017年11月取材