リディック

人気のマッチョ俳優ヴィン・ディーゼル主演による
制作費170億円をかけたSFアクション大作
そのエンタメ度は果たしていかに?

  • 2004/07/12
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リディック

映画『トリプルX』でブレイクしたマッチョ俳優ヴィン・ディーゼルの最新作。彼の主演で2000年に公開された、SFスリラー『ピッチブラック』の続編である。今回はスリラーではなく、大規模なSFアクション・アドベンチャー。『ロード・オブ・ザ・リング』『スター・ウォーズ』をも上回る製作費170億円をかけて、CGやVFXなどの視覚効果のみならず、総面積29000m2もの巨大セットや奥行き73メートルの宇宙船などを実際に作り上げ、リアルな質感にこだわった……とのこと。その迫力やエンタメ度はいかに?

遠い未来。殺人と脱獄を繰り返し、5つの惑星から指名手配されている、生き延びるためなら手段を選ばない宇宙のお尋ね者リディック。賞金稼ぎなどの追っ手から逃れるべく逃亡生活を続ける彼は、惑星を次々と侵略していく謎の凶悪艦隊ネクロモンガーと遭遇。リディックは銀河の賢者たる種族から、ネクロモンガーとの対決が宿命である、と告げられる。

リディック

お約束のディーゼルの筋肉美にバトル・アクションの数々。頭部がレンズになっている特殊部隊や壮絶な気象状況の監獄惑星……ひとつひとつの映像や設定は凝っていて面白い。パーツは面白いのだが、全体で観るとどこか物足りない印象が残った。監督・脚本は『ピッチ〜』に引き続き、デヴィッド・トゥーヒー。彼が『ピッチ〜』でも描いた通り、揺れ動く人の心や、あなどれない展開などは今回もあるにはある。どうせなら規模を大きくするより何より、トゥーヒー監督らしい世界観を中心に工夫を凝らした“リディック・ワールド”が観たかった……と思うのは、私だけだろうか。あと個人的には、ディーゼルはバトル・アクションよりも、バイクやスノボなどの道具を使った曲芸的なアクションの方が、彼の魅力が生きるように思えた。

本国アメリカでは、公開してすぐに興行収入2460万ドルでランキング初登場第2位をマークし、まずまずの成功を収めている本作。大いなる失敗作では、決してない。ただこのメンバーでそこまで大金を投じたのなら、もっといい仕上がりになるはずなのに、と思った。

リディック

鳴かず飛ばずの状態を経て、『トリプルX』でようやくブレイクしたディーゼル。自らの監督・脚本・主演で作品を作ったこともある彼は、本作で製作にも加わったとのこと。ディーゼルとトゥーヒー監督は一丸となって、それはそれは熱心に映画作りに取り組んでいたという。またディーゼルは、出演者たちとも交流をもち、“登場人物すべてに輝いてほしい”と熱く語っていたのだそう。資料を読むと、スタッフ間にいいパートナーシップがあったことがよく伝わってくる。こういう映画こそ、語り継がれる良作になってほしいのだが……。ディーゼル&トゥーヒー監督は、きっとまたタッグを組むだろう。その時に、大いに期待したい。

作品データ

リディック
公開 2004年8月7日公開
全国松竹・東急系にて全国ロードショー
制作年/制作国 2004年 アメリカ
上映時間 1:58
配給 東芝エンタテインメント・松竹
監督 デヴィッド・トゥーヒー
出演 ヴィン・ディーゼル
コルム・フィオーレ
ジュディ・デンチ
タンディ・ニュートン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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