ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月

生まれて初めて体験する完璧に幸せな時間
そこには嫉妬や勘違いなどの伏兵が潜んでいた
愛するマークに捧ぐブリジットの悪戦苦闘日記

  • 2005/02/11
  • イベント
  • シネマ
ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月

あのブリジットがさらにボリュームアップしてスクリーンに! いわゆる負け犬ライフを送っていたロンドンのシングルトン、ブリジット。前作で遂に理想的な恋人マーク・ダーシーと結ばれた彼女のその後を描く。“完璧な状況をありえないほど複雑にすること”が特技のブリジットに、幸せな明日はあるのか? 都会で働く独身女性の悲哀や皮肉、そして幸せをハートウォーミングに描く、前作同様ライトなタッチのラブコメディである。

誠実な辣腕弁護士マークと付き合い始めてから、6週間と4日と7時間。ベッドでも外でもラブラブのハッピィな日々が続いている。が、幸せすぎる完璧な展開は、ブリジットの30数年の人生にとって初体験のこと。“この幸せを大切に、もっと深めていきたい”と思えば思うほど、被害妄想や勘違いをしてしまう。

ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月

彼の仕事場に電話してベッドの話、さまざまなことを勝手に思い込んで逆ギレ……ブリジットの極端すぎるドジな言動は丸ごと共感とはいかないものの、その片鱗に近いことは恋する者なら思い当たることばかり。彼女の日常を眺めていると、ハラハラしつつ、何とかうまくいくことを願ってしまう。まるで自分のことのように、彼女を見守る女友だちのように。

ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月

今回のブリジットはロンドン上空からのスカイダイビングに始まり、オーストリアのチロル山脈のスキー、タイのプーケットの旅リポート……といろいろなことに挑戦。環境の変化や状況の悪化に翻弄され、悶え苦しみながらも、不屈の楽観主義と底力でピンチに立ち向かってゆく。そんな彼女の心の旅を背景ごと描くようなカラフルな演出が楽しい。

ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月

寛容で実直な彼氏役のコリン・ファースや、どこか憎めない軽薄男を演じるヒュー・グラント、ハマリ役の2人は前作に引き続き好演。そして監督は、シリアスなヒューマンものを得意とする女流監督ビーバン・キドロンに。矛盾だらけの女性心理は軽妙に描かれていたものの、『キューティ・ブロンド』ばりのユーモアやはっちゃけぶりに少し鈍さが感じられたのは、キドロン監督のマジメな性分が良くも悪くも反映されたためかもしれない。
 本作で一番の強烈なインパクトは、ブリジット役のレニー・ゼルウィガーの激太り。今回の続編への出演を渋っていたものの、製作側の熱望と約12億円のギャラを受けて出演することになった彼女。役作りとはいえ「彼女の体型になることは、正確な描写をする上で欠かせない部分」と語り、太るための食事プログラムをこなして前作より+3kgの9kg増で望んだという姿には、ちょっと痛々しいものがあった。今回はプロ根性による狙いどおりの姿だったとはいえ、本意ではない体型を維持するのは精神的にも体力的にもかなりのストレスだったことだろう。本作の撮影後には女優の休業宣言をし、体重を一気に絞って激ヤセしたとのことだ。そもそも彼女は、演技で十分にブリジットの愛らしさや成長ぶりを表現できるひとのはず。役を嫌いになるほど風貌のなりきりに執着しすぎず、きっとあるであろう次回作でも、世界中が期待するレニー・ブリジットをぜひみせてほしいものである。

作品データ

ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12か月
公開 2005年3月公開予定
日劇1ほか全国ロードショー
制作年/制作国 2004年 アメリカ
上映時間 1:47
配給 UIP映画
監督 ビーバン・キドロン
原作・脚本 ヘレン・フィールディング
脚本 アンドリュー・デイヴィス
リチャード・カーティス
アダム・ブルックス
出演 レニー・ゼルウィガー
コリン・ファース
ヒュー・グラント
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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