思いがけず自分の死を予見した記憶障害の男が
運命の女性とともに変え難い未来に挑戦する
ブロディ×ナイトレイ初共演によるSFドラマ
オスカー俳優エイドリアン・ブロディと人気の若手女優キーラ・ナイトレイ出演、ジョージ・クルーニー&スティーヴン・ソダーバーグ製作。ある出来事をきっかけに、記憶障害をもつ男は自分の死が4日後であることを知る。SF、ヒューマン、サスペンス、スリラー、ラブ・ロマンスが上手くブレンドされたスタイリッシュなドラマである。
1992年、湾岸戦争で負った重傷の後遺症で記憶障害となったジャックは、事件に巻き込まれて精神病院送りとなる。そこで彼は拘束衣(ジャケット)で縛られて死体安置用の引き出しに監禁、という異様な実験的治療を受ける羽目に。その“治療”中、身体も精神も逼迫し、緊張が極限のピークに達した瞬間、彼はそこではないどこかに佇んでいた。
人は死を意識したとき、初めて生に本気で向き合うことができる。どんな人生であっても酒や薬に逃げてはいけない。死ぬ気でやれば、誰もが自分の運命すら変えることができる。危険で残酷な匂いのする映像で挑発し、関心を惹き付けておきながら、ストレートなメッセージを投げかけるところがあざやか。本作なら、若い世代にも真っ当なテーマが説教臭くなく伝わるかも……と期待してしまう仕上がりだ。
物語としては、タイムトラベルやパラレルワールドなど、意外とSFの要素が満載。さまざまなドラマのエッセンスがキレのいい展開に盛り込まれ、飽きさせない。実験映画やミュージック・ビデオのクリエイターとしてイギリスで活躍するジョン・メイブリー監督のセンスが生かされているようだ。また傷ついた者同士が呼び合い、強く結びつくというジャックとジャッキー(ナイトレイ)の関係は必然で純粋。説得力がある。
主演のエイドリアン・ブロディは、オスカー受賞作『戦場のピアニスト』や『キング・コング』の脚本家役とはまた違う趣。巧い役者は何をしても巧い、というだけでなく、なんだかとっても目が色っぽいのだ。2004年の撮影当時、ブロディとナイトレイはプライベートで少し噂になったとのこと(今は人気者のナイトレイには別の噂がたくさん)。ブロディの全身にみなぎる情熱的なオーラは、ナイトレイに対して役柄のジャックとしてだけでなく、素の自分を一心にアピールしていたから。そしてそれが演技にもいい具合に反映されていた……のかもしれない(笑)。ちなみに撮影時はまだ007の6代目ボンドに抜擢されていなかったダニエル・クレイグが、精神病患者ルーディー役でさりげなく出演している。
緊張の後の弛緩。希望をはっきりと打ち出す作品はいつ観ても気持ちがいい。浮遊する謎と戯れて、予想外の展開にノッてみるのも一興だ。
公開 | 2005年5月20日公開 東劇ほかにて全国ロードショー |
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制作年/制作国 | 2005年 アメリカ、ドイツ |
上映時間 | 1:43 |
配給 | 松竹 |
監督 | ジョン・メイブリー |
製作 | ピーター・グーバー スティーヴン・ソダーバーグ ジョージ・クルーニー |
出演 | エイドリアン・ブロディ キーラ・ナイトレイ ジェニファー・ジェイソン・リー クリス・クリストファーソン |
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