プラダを着た悪魔

スーパー編集長のアシスタントは幸運か不幸か?
某誌の“ノンフィクション”と噂される
一流ファッション誌の舞台裏をコミカルに描く

  • 2006/10/13
  • イベント
  • シネマ
プラダを着た悪魔

グッチのシャツにクロエのスカート、マノロ・ブラニクのパンプスにバレンシアガのバッグ……スーパーブランドの最新モードでNYを闊歩するファッション・エディターたちは羨望の的。が、きらびやかな彼女たちの舞台裏は? アメリカ版『VOGUE』誌編集長アナ・ウィンターのアシスタントを務めたローレン・ワイズバーガーによる同名の処女作にしてベストセラー小説を映画化。名女優メリル・ストリープと若手のアン・ハサウェイの共演で、一流ファッション誌の知られざる内幕を描く。大いに笑ってジーンとさせる、恋に仕事にファッションに生きる女たちのドラマである。

大学を卒業し、ジャーナリストを目指してNYで就職活動をしていたアンディは、思いがけず一流ファッション誌の編集長ミランダのアシスタントに。ガッバーナのスペルもわからないほどファッションに無関心なアンディだったが、“これも夢への第一歩”と前向きに業務を開始。が、それは公私の区別なく24時間奴隷のように支配され、酷使される地獄の日々の始まりだった。
 憧れの仕事に抱く夢と厳しい現実。悪魔のように君臨する上司のもと、アンディは奮闘しながら仕事を会得し、同僚と交流を深めていく。業界は特異であるものの、働く女性なら誰もが共感する悩みや挫折、成長などの身近なエピソードが満載だ。

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小間使い的なことから無理難題まで、次々と繰り出される編集長命令は絶対、アシスタントの人格や意志や都合や体調は問題外。“モラルハラスメント”という現代社会の通念などはおかまいなし。想像をはるかに超えるミランダの身勝手ぶりはまさに悪魔ばりだが、仕事に懸ける真剣さと結果を出す能力に基づいているため、理不尽と知りつつも周囲はついてくる。ミランダの指令を負けじと受けて立つアンディを見ていると、「がんばれ!」と素直に応援したくなる。

プラダを着た悪魔

ハサウェイは無難な優等生スタイルからファッショニスタに変身するアンディを好演。名優ストリープの確かな演技が核となり、説得力のある仕上がりになっている。スタッフはアメリカで一大ブームとなったTVドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』の6エピソードを担当した監督デヴィッド・フランケル、衣裳担当でアメリカ衣裳デザイナー組合賞とエミー賞を受賞したスタイリスト、パトリシア・フィールド。魅力的な最新モードと小気味いいストーリー展開はそのままに、大人の女性向けのドラマとはまた違う、フレッシュなコーディネイトと物語に注目だ。

プラダを着た悪魔

シンプルなサクセス・ストーリーと思いきや、ひとひねりある結末にグッとくる本作。“ビタミン・ムービー”という売り文句に偽りナシ。恋も仕事もファッションも!という欲ばりなガールズ・パワーをフル・チャージしてくれるキュートな作品である。

作品データ

プラダを着た悪魔
公開 2006年11月18日公開
日比谷スカラ座ほか全国拡大ロードショー
制作年/制作国 2006年 アメリカ
上映時間 1:50
配給 20世紀フォックス映画
監督 デヴィッド・フランケル
脚本 アライン・ブロッシュ・マッケンナ
衣裳 パトリシア・フィールド
原作 ローレン・ワイズバーガー
出演 メリル・ストリープ
アン・ハサウェイ
エミリー・ブラント
スタンリー・トゥッチ
サイモン・ベイカー
エイドリアン・グレニアー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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