ドリームガールズ

女王ビヨンセと新人ジェニファー、歌姫の競演!
'60年代ブラックミュージックの世界を一流スタッフが
現代的に再構築したグルーヴィな音楽映画

  • 2006/12/22
  • イベント
  • シネマ
ドリームガールズ© 2006 HakoHosokawa

1981年12月20日、ブロードウェイのインペリアル・シアターで初演以来、'82年にトニー賞6部門を受賞、4年間で1522回上演。全米〜世界各国で熱狂的に支持された同名のミュージカルを映画化。出演は歌姫ビヨンセ・ノウルズ、新人ジェニファー・ハドソン、ジェイミー・フォックス、エディ・マーフィ、監督・脚本は『シカゴ』で脚本を担当したビル・コンドン。1960年代にダイアナ・ロスが大人気を誇ったコーラス・グループ“ザ・スプリームス”の実際の成功秘話を基に、愛憎劇やジョービズ界の内幕を描く。ブラック・ミュージックにのせてゴージャスにドラマティックに魅せる、ホットな音楽映画である。

ドリームガールズ

アフリカ系アメリカ人に対する社会的差別が色濃い1962年のアメリカ、デトロイト。野心的なマネージャー、カーティス(フォックス)はエフィー(ハドソン)、ディーナ(ビヨンセ)、ローレル(アニカ・ノニ・ローズ)が結成したコーラス・グループの才能に目をつけ、人気スター、ジェームス(マーフィ)のバック・コーラスとしてデビューさせる。

最初の3人のステージングで、ハドソンの強烈に訴えかけてくるソウルフルな歌声にやおら感動! 米国の超有名なコンテスト番組から登場した25歳の新人シンガーは、本作で劇的に映画デビューを果たした。ソウルやリズム&ブルース、ディスコサウンドなど、全編をハイテンションに押してくるブラックミュージックのグルーヴが最高に気持ちいい。

ドリームガールズ

現代R&Bシーンの女王ビヨンセは女優としては難しい位置にいたが、今回の出演はこれまでで一番ナチュラル。歌とダンスが中心で台詞が少なめ、ポップスターである自身に近い役柄のせいか、持ち前の魅力をいかんなく発揮している(歌声は確かに違う。本人曰く「ディーナの歌い方は私とはとても違うので、抑えなくてはならなかった。“ビヨンセ”はこの映画にはどこにもいません」とのこと)。

ショービズ界におけるアフリカ系アメリカ人の成功とその代償、そして離別や和解。物語として説得力があり、気分スッキリ、はなやかでパワフルな仕上がりだ。ただ個人的に、すこし引っかかる点がある。

ドリームガールズ

本作はザ・スプリームスで成功を収めたダイアナ・ロスのサクセス・ストーリーであり、1967年にグループを脱退して1976年に病死したというフローレンス・バラードの転落と再生を基にした物語。どちらかというと本作の主役はフローレンスをモデルにしたエフィーであり、それを演じた新人ハドソンだが、プレス資料でもフローレンスのことにはほとんど触れられず、ハドソンの扱いも小さい。これはハリウッドの判断や戦略によるマスコミ誘導なのだろうか。どうも腑に落ちない。が、小手先の情報操作など観客には通用しない。ただの“スター映画”ではない物語の本質的な価値は、必ず伝わるはずだ。ぜひ皆さんの目と耳で、その真価を確かめてほしい!

作品データ

ドリームガールズ
公開 2007年2月17日公開
日劇3ほか全国ロードショー
制作年/制作国 2006年 アメリカ
上映時間 2:10
配給 UIP
監督・脚本 ビル・コンドン
原作・作詞 トム・アイン
ミュージック・プロデューサー・アレンジャー アンダードッグス
出演 ビヨンセ・ノウルズ
ジェニファー・ハドソン
ジェイミー・フォックス
アニカ・ノニ・ローズ
エディ・マーフィ
ダニー・グローバー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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