特攻野郎Aチーム THE MOVIE 試写会日記 毎週、熱田美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
特攻野郎Aチーム THE MOVIE

© 2010 TWENTIETH CENTURY FOX
リドリー&トニー・スコット兄弟プロデュース
’80年代のアメリカの人気TVシリーズを映画化
4人の男が智恵とユーモアと腕力で巨悪を討つ!



 1980年代に高視聴率を誇ったアメリカの人気TVシリーズを映画化。出演は『シンドラーのリスト』『96時間』のリーアム・ニーソン、『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』でブレイクしたブラッドリー・クーパー、異色のSF『第9地区』で映画デビューした注目株シャルト・コプリー、元世界UFCライトヘビー級王者で総合格闘家のクイントン・“ランペイジ”・ジャクソン、健康的なセクシー女優ジェシカ・ビール、映画『オペラ座の怪人』のパトリック・ウィルソンほか。監督は『NARC/ナーク』『スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい』のジョー・カーナハン、プロデュースは『ブレードランナー』『グラディエイター』ほかのリドリー・スコット、『トップガン』ほかのトニー・スコット、ヒットメーカーのスコット兄弟が手がける。固く結束する4人の男たちが智恵とユーモアと腕力で巨悪を討つ、爽快かつ健全なアクション大作である。


 リーダーで名参謀のハンニバルことジョン・スミス大佐、銃器に長け信用詐欺も得意な色男フェイスことテンプルトン・ペック中尉、接近戦と車の運転技術に秀でたB.A.ことボスコ・アルバート・バラカス軍曹、悪い冗談と変装好きでパイロットとして高い技術をもつハウリング・マッド(H.M.)ことマードック大尉。ひょんなことで知り合った4人がAチームを結成して8年、彼らは米軍で伝説的な成果をあげ続けていた。ある日、ミッションを終えてイラクに駐留中の彼らのもとに、CIAのリンチからゲリラ集団による強盗の情報が入る。Aチームは見事な手際でその強盗計画を阻止するも何者かに事件の濡れ衣を着せられ、軍法会議で階級を剥奪されたうえ逮捕。その半年後、事件の情報を得たハンニバルは脱獄し、ほかのメンバー3人も脱獄させてAチームが再結集。CIAや軍事刑務所から追跡される中、4人は自身の名誉をかけて真相解明に乗り出す。


 鮮やかで粋でアナログ。SF的な最新機器はほとんどなく、仕掛ける作戦も工作もいい意味で昔気質。ごく一般的なアイテムで一発勝負の無謀な手段に打って出て、4人の“人間力”をくっきりと主張する。時代を選ばない普遍性を感じさせる作品だ。
ブラッドリー・クーパー、リーアム・ニーソン
 信頼のリーダー、ハンニバルはニーソンがハマり役。190cm以上の長身と広い度量で、尊敬できる良き上司というキャラクターを自然に演じている。整った顔で人当たりよく内偵として活躍するも女好きで波乱を招くフェイス役は、クーパーが鍛え上げた肉体で好演。スタントの訓練を積み、疾走するトレーラーにしがみつくシーンも自身で演じたそう。マニアックなパイロットで奇人のマードッグ役はコプリーが即興をふんだんに交えてコミカルに、ゴツい体にモヒカン頭という風貌でありながら飛行機恐怖症のB.A.役はジャクソンが見た目の特徴を生かして演じている。そしてフェイスの元恋人キャリサ・ソーサ大尉役はビールが、CIA捜査官リンチ役をウィルソンが演じ、Aチームの敵(かたき)であるパイク役は、格闘技が得意な本作の脚本家ブライアン・ブルームが演じているというのもユニークだ。


 「作戦は奇を以ってよしとすべし」。ハンニバルの芝居がかったキメ台詞に、若い世代は少々違和感を覚えるかもしれない。これは日本でも人気だったTVドラマ版で翻訳された台詞を、あえてそのまま使っているためだ。そもそも登場人物の呼び名や設定もオリジナルに敬意を表してそのままに、’80年代当時のファンに訴えかける配慮がなされている。映画では設定が現代に変わり、4人が経験した戦争はベトナム戦争 → イラク戦争へ、Aチームを追うリンチの所属はMP(Military police、軍警察) → CIAへ変更。派手なカーチェイスや爆破シーンはあれど、直接的な殺人や暴力的な表現は抑えめに、子供から大人まで幅広い年齢層が気軽に楽しめる、という良識的なポイントはしっかりと踏襲されている。
ブラッドリー・クーパー、シャルト・コプリー、リーアム・ニーソン、クイントン“ランペイジ”ジャクソン
 今回の映画化には紆余曲折があったそうで、何人もの脚本家が改稿に改稿を重ねて、トータル10年以上の年月を経てようやく完成したとのこと。脚本が書き上がる頃に予定されていたジョン・シングルトン監督が降板し、カーナハン監督が20世紀フォックスから急遽指名された、という経緯も。後乗りの参加となったカーナハン監督だが、子供の頃に観ていた『The A-Team』への思い入れがあったため、良いスタンスで取り組めたようだ。カーナハン監督は語る。「この番組が始まった25年前に比べて、最近の観客はいろんなことに精通している。だからあの頃のまま作っても、当時と同じ感動は得られない。今の観客はより洗練されているから、今風のセンスを反映させるためにトーンとアプローチの仕方を変える必要があったんだ。僕がこのシリーズで好きだったのは、ドラマの設定云々よりも彼らの間にある仲間意識や愛情だった。番組を成功に導いたのはワイルドなストーリーの意外な展開よりも、お互いを心から思いやり、応援するという側面なんだよ」。


 実はここ数年、大作の企画が進みかけては頓挫、という残念なことが3度も続けて起こったカーナハン監督。彼にとって本作は、リドリー&トニー・スコット兄弟という確かなバックアップを得て、ようやく完成させることのできた最新作だ。果たしてその評価やいかに。際立って革新的でも派手でもないけれど、痛快で人情味があり、歯切れよく展開するアクションムービー。肩の力を抜いて楽しめる、シンプルな娯楽作品である。
『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』
2010年 アメリカ映画
データ
2010年8月更新

リーアム・ニーソン、シャルト・コプリー、クイントン“ランペイジ”ジャクソン、ブラッドリー・クーパー
オフィシャルサイト
『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』


2010年8月20日公開
TOHOシネマズ 有楽座ほか
全国ロードショー

■2010年 アメリカ映画
■上映時間1:58
■20世紀フォックス映画配給
■監督・脚本/ジョー・カーナハン
■脚本/スキップ・ウッズ
ブライアン・ブルーム
■出演/リーアム・ニーソン
ブラッドリー・クーパー
クイントン“ランペイジ”ジャクソン
シャルト・コプリー
ジェシカ・ビール
パトリック・ウィルソン
ジェラルド・マクレイニー



プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。