アジャストメント

マット・デイモン主演、フィリップ・K・ディック原案
運命の恋はどんな苦難でも乗り越えられるのか?
SF+サスペンス・アクション+ラブ・ストーリー

  • 2011/05/20
  • イベント
  • シネマ
アジャストメント© 2011 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

マット・デイモン主演、フィリップ・K・ディックの短編SFを独自にアレンジしたサスペンス・アクション。共演はイギリス出身の実力派女優エミリー・ブラント、ベテランのテレンス・スタンプ、’09年の映画『ハート・ロッカー』で高く評価されたアンソニー・マッキ―ほか。監督はともにデイモンの出演作である、’04年の映画『オーシャンズ12』の脚本を執筆し、’08年の『ボーン・アルティメイタム』で共同脚本を手がけ、本作が監督デビューとなるジョージ・ノルフィ。恋愛のすれ違いやゴタゴタ、日常によくある出来事をSFに置き換えたかのような、シンプルなドラマである。

スラム街で育ち、幼い頃に家族全員を亡くした若手政治家のデヴィッドは、上院議員候補として幅広い層に支持されている。が、過去のスキャンダルが露見して選挙に落選。敗北宣言の登壇前、イキイキとした美人エリースと出会って一目惚れする。デヴィッドは支持者に向けたスピーチで用意された原稿ではなく、自らの言葉で正直に話したことにより信頼を得て、再び次回の上院選の有力候補に。そしてある日、バスに乗ったデヴィッドはエリースに再会し、彼女から連絡先を聞きだす。上機嫌の彼がビルに入ると、なぜか奇妙な様子になっていた。

マット・デイモン

世間で起こるすべてのこと、人の出会いも寿命も、すべては"アジャストメント・ビューロー(運命操作局)"という謎の組織によって操作されている――。原作は1954年に発表された短編小説『アジャストメント(原題Adjustment Team ※当時の邦題は〔調整班〕)』。1982年の『ブレードランナー』、’90年の『トータル・リコール』、2002年の『マイノリティ・リポート』など数々の映画化されたSF作品の原作者として知られるアメリカの作家、フィリップ・K・ディックの作品だ。この映画では原作はあくまでも原案で、"アジャストメント・ビューロー(運命操作局)"の存在以外の人物設定や展開はオリジナルに再構築。一般的に“女性はSFが苦手”というスタンスに対して、親切に工夫が施されたSFともとれる。ストーリーにSFであることを期待せず、SFに例えたサスペンス・アクションでありラブ・ストーリーである、と観た方が納得のいく仕上がりだ。

デイモンは若手政治家デヴィッド役を爽やかに好演。本作ではエリースを熱心に口説き、キスを迫るなど、ボーンシリーズをはじめストイックなアクションやサスペンスで知られるデイモン曰く、「これは僕が今まで演じてきた中でもいちばんロマンチックな役柄」とも。デヴィッドと惹かれ合うダンサーのエリース役は、ブラントが自然体で表現している。"アジャストメント・ビューロー(運命操作局)"のデヴィッド担当スタッフであるハリー役はマッキーが実直に、確実に任務を遂行する冷徹な調整員トンプソン役はスタンプが厳格に演じている。政治活動を映す冒頭シーンでは、現ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグや元アメリカ国務長官のマデレーン・オルブライトなど大物政治家たちが本人役でカメオ出演しているところも注目だ。

マット・デイモン、エミリー・ブラント

そもそも今回の映画化は、ノルフィ監督が長年の友人でプロデューサー仲間のマイケル・ハケットからもちかけられ、“運命の擬人化”をコンセプトに原作からふくらませていった映画版独自の物語を気に入ったとのこと。そして『オーシャンズ12』(ノルフィが脚本、デイモンが出演)の撮影中から本作の話は進められ、ノルフィは主人公にデイモンをイメージして『アジャストメント』の脚本を執筆。本作についてノルフィ監督は、「マットのために書き上げた脚本なんだ」とコメント。デイモンは本作で監督デビューを果たしたノルフィ監督について、「ジョージとは親しいし、ずっと仕事をしてきたからね。彼は自分で書いた脚本をダメもとで僕のところに持ってきたんだ……自ら監督をやりたいと言ってね。信頼している人だから、彼ならできると思ったよ」と語っている。

アンソニー・マッキー、テレンス・スタンプ

運命的な恋ならば、どんな苦難でも乗り越えられるのか? ニューヨーク公共図書館や旧合衆国税関など歴史を感じさせる建造物を背景に、スーツに帽子という正統な身なりの男たちが暗躍するエレガントなSF世界。デイモンをはじめ演技派俳優たちの顔合わせを楽しめるサスペンス・アクションであり、わかりやすいラブ・ストーリーである。

作品データ

アジャストメント
公開 2011年5月27日公開
TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
制作年/制作国 2011年 アメリカ
上映時間 1:46
配給 東宝東和
原題 THE ADJUSTMENT BUREAU
監督・脚本 ジョージ・ノルフィ
原作 フィリップ・K・ディック
出演 マット・デイモン
エミリー・ブラント
テレンス・スタンプ
アンソニー・マッキー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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