アンフェア the end 試写会日記 毎週、あつた美希から映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ!傑作でも愚作でも、映画ってやっぱり素敵!!
アンフェア the end

©2015 関西テレビ放送/フジテレビジョン/ジャパン・ミュージックエンターテインメント/東宝/共同テレビジョン

女刑事・雪平の戦いを描く人気シリーズが完結!
誰が敵で誰が味方なのか、父親の死の真相とは?
最大の敵に対峙し、伏線の数々に決着がつく最終幕

アンフェアなのは誰か。
 2006年1月期に連続ドラマとして始まり、スペシャルドラマや映画など息の長い人気シリーズとなった『アンフェア』が、10年目にして遂に完結。出演は篠原涼子、佐藤浩市、阿部サダヲ、加藤雅也、寺島進、そして本作で初登場となる永山絢斗、AKIRA、吉田鋼太郎ほか。監督・脚本はスペシャルドラマ“ダブル・ミーニング シリーズ”をのぞくシリーズ作品すべてを手がける佐藤嗣麻子。
 もと夫から彼の命と引き換えに、国家の裏に関わる機密データを受け取った刑事・雪平夏見は、最も効果的な反撃の方法を探していたが……。雪平の父親を殺したのは誰なのか。誰が敵で誰が味方で、裏切り者は誰なのか。日本の国家を裏で操る秘密組織とは? シリーズを通して張り巡らされた伏線の数々に決着がつく最終幕である。

有能な刑事だった父の死の真相をさぐるため、警視庁捜査一課の刑事になった雪平は、父が警察内部の不正に迫っていたことを知る。そして今、もと夫が命を賭して守り抜いた機密データを切り札に、強大な敵への最も効果的な反撃の方法を雪平は探していた。そんななか、転落死体が発見された現場で、「アンフェアなのは誰か」と記された1枚の栞を雪平は見つける。それは10年前の“推理小説事件”から始まる一連の事件で使用されたものと同一の栞だった。転落死体の身元は“ネイルガン殺人事件”の背後にあった組織の黒幕・東京地検特捜部の村上克明検事と判明。村上殺しの容疑者としてシステムエンジニアの青年・津島が嫌疑をかけられるも、津島は無罪を主張。雪平を取調官に指名した津島は、警察の“闇”を告発しようとして無実の罪に嵌められた、警察で信じられるのは雪平だけだ、と話す。

一連の事件の黒幕であったはずの村上親子が死亡、というエピソードから始まる本作。「おや、それで?」とシリーズのファンを引きつけ、“アンフェア”をはじめて観る人にも、誰が敵か味方かはっきりしないグレーな状態のなかで次々と行き当たる局面にギリギリの判断で対応していく雪平の危なっかしさを堪能できる内容になっている。
 誰が誰を裏切っているか、もしくは誰が何を裏切るのか。雪平側からの視点に加え全体を俯瞰すると、キャラクターたちが自身の内面と状況に臨み、誰が誰を、もしくは何を裏切るのかが決まる瞬間、それぞれが道を選択するさまにライヴ感のようなものが感じられるのも面白い。

永山絢斗,篠原涼子

雪平役は自身の最大の当たり役として篠原涼子が今回も好演。バックショットの全裸のシャワーシーンはもともと台本にはなく、シリーズ最終作となる本作に「決定的なものを残したい」という篠原の決意を受け、監督と話し合ったことから突然決まり、急きょ撮影されたそうだ。
 雪平のもと恋人で一条道孝役は、佐藤浩市がハードボイルドかつ大人の色気を漂わせ、“薫ちゃん”ことド派手なベストの検視官・三上役は加藤雅也が、雪平を毛嫌いする捜査一課の刑事・小久保役は阿部サダヲが、捜査一課の山路管理官役は寺島進が、冷静沈着な検視官・武部役はEXILEのAKIRAが、警視庁の特捜部長役は吉田鋼太郎がそれぞれに演じている。雪平の娘・美央役は、現在はAKB48のメンバーとなった向井地美音が、子役時代から演じている美央役を引き続き演じている。
 村上殺しの容疑者である津島役は、高校生の頃からシリーズのファンだったという永山絢斗が懸命な青年として表現。永山は最初のドラマ『アンフェア』で雪平の相棒の刑事・安藤を演じた瑛太の実の弟であり、兄と始め弟と終わる、というユニークなキャスティングだ。制作陣の全員一致で決まったというこの配役について、プロデューサーの稲田秀樹は「“狙い”と思われても、それすらも“アンフェア”らしい」とコメント。津島が過去に安藤が言ったのと同じことを雪平に言うシーンもあり、永山の声や話し方、表情に瑛太こと安藤が自然と重なるのも観る側をあえて翻弄させるような、いい塩梅のスパイスとなっている。

秦建日子(はた・たけひこ)氏が’04年に発表した小説『推理小説』を原作に、’06年に始まった“アンフェア”シリーズ。佐藤監督にとっても思い入れの強い作品であり、原作のエピソードはドラマの4話までで、ドラマの5話以降のすべて、’06年のスペシャルドラマ『アンフェア the specialコード・ブレーキング?暗号解読』、’07年の映画『アンフェア the movie』、’11年の映画『アンフェア the answer』、そして本作と、すべての脚本を佐藤監督が手がけているとのこと。
 雪平について、今回がラストとなる“アンフェア”シリーズについて、監督はこのように語っている。「いつも『信じられるのは自分だけ』と自分に言い聞かせ、他者を信じないように見える雪平ですが、本当はその反対で、他者を信じて受け入れているんです。今回もそんな場面が訪れますが、“他者を信じて受け入れる”ことは、“強さ”を必要とすること。シリーズラストとなる本作で、果たして雪平がどんな選択をするのか――そこにもこの映画のメッセージが詰まっていると思いますので、注目していただけたら嬉しいですね」

篠原涼子,佐藤浩市

シリーズのスタートから10年目に完結編を迎えた本作。筆者もテレビシリーズ、映画とずっと観てきたいちファンとしてしみじみとするものが。 ここ数年、テレビドラマや映画で息の長い人気シリーズが“完結”となるものが多く(『トリック』『踊る大捜査線』など)、そういうタイミングなのかなと。なんとなく続けるよりも惜しまれながらきっちり完結しよう、という製作側の前向きな意図があると知りつつも、さみしさもすこし。女性が主要キャストにいる場合、演じる役柄が年齢とともに変わっていくことはよくわかるのでそうかなとも思うものの、『チーム・バチスタ』のように男2人のバディものでずっと続けることのできそうなシリーズは、もっと続けばいいのに、復活しないのかなとか、いち視聴者として思うものの、いろいろ大人の事情というものがあるのだろうか。

’15年8月18日に行われた本作の完成披露試写会の舞台挨拶にて、篠原涼子は「これが最後と思うととっても寂しい」と話し、ファンに向けてこのように語った。「10年前に『推理小説』という1冊の本が多くのスタッフの力で「アンフェア」という作品に生まれ変わりました。それから10年を経て完結を迎えることになりました。ここまで支えてくださったお客さまのおかげだと思っています。ありがとうございます。そして、雪平夏見と出会えたことも私にとっては奇跡のひとつだと思っています。そして何よりも、この豪華なキャストの方々と出会うことができて、スタッフの皆さんにも支えられて、本当に幸せな“アンフェア”との10年間でした。『アンフェア the end』、本当に完結にふさわしい作品だと思っています。温かいまなざしで最後まで観届けてください」

『アンフェア the end』
2015年 日本映画

データ

2015年9月4日更新

篠原涼子,阿部サダヲ,寺島進
オフィシャルサイト
『アンフェア the end』

2015年9月5日より全国東宝系にてロードショー


■2015年 日本映画
■上映時間 1:48
■東宝配給
■監督・脚本/佐藤嗣麻子
■原作/秦建日子
■出演/篠原涼子
永山絢斗
阿部サダヲ
吉田鋼太郎
加藤雅也
向井地美音
AKIRA
寺島 進
佐藤浩市




プロフィール
 
あつた美希 あつた美希
あつた美希
フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。