ジャック・リーチャー NEVER GO BACK

トム・クルーズ×E・ズウィック監督が再タッグ
流浪の元軍人が女性軍人と15歳の少女と陰謀に挑む
人間ドラマの味わいのあるアクション・スリラー

  • 2016/11/14
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ジャック・リーチャー NEVER GO BACK© 2015 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

トム・クルーズ主演とエドワード・ズウィック監督、という映画『ラストサムライ』の強力タッグで、2012年の映画『Jack Reacher(邦題:アウトロー)』の続編が完成。共演は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のコビー・スマルダーズ、アメリカのドラマ『HEROS Reborn』の若手女優ダニカ・ヤロシュ、映画『ダイ・ハード/ラスト・デイ』のオルディス・ホッジ、ドラマ『プリズン・ブレイク』ロバート・ネッパーほか。ジャック・リーチャーは以前に自身が所属していた陸軍内部調査部の元同僚であり後任者となったスーザン・ターナー少佐が、国家への反逆行為の罪で逮捕されたと知るが……。自力のみを頼りに独りで放浪する男、男と肩を並べて仕事に打ち込む女、厳しい現実を生きるティーンネイジャー、背景と個性のくっきりとした3人の登場人物たちによる人間ドラマの厚みもしっかりと。リー・チャイルドの小説で長年高い人気を誇るキャラクター、ジャック・リーチャーの活躍を描くアクション満載の犯罪スリラーである。

コビー・スマルダーズ,トム・クルーズ

ある日、ジャック・リーチャーが元同僚である陸軍内部調査部の軍人スーザン・ターナー少佐のもとを訪れると、彼女は国家への反逆行為の罪で逮捕されたと知る。裏があると確信したリーチャーはすぐに独自に聞き込みと調査を始め、ターナーを奪還。2人は一連の陰謀を探るうちに、暗殺者に何度も執拗につけ狙われ、事態と背後関係の重大さを感じ始める。そんななかリーチャーとターナーはある事情から、15歳の少女サマンサと行動を共にすることになり……。

イギリスの作家リー・チャイルドの全世界で1億部を売り上げた「ジャック・リーチャー」シリーズより、2013年の第18作目『Never Go Back』を映画化した本作。アクション満載の犯罪スリラーというだけでなく、人間ドラマとしても引きつけるのは、ズウィック監督ならではだ。これまでに映画やテレビでさまざまな作品を一緒に手がけてきたズウィック監督と共同脚本のマーシャル・ハースコヴィッツが、本作で初めて犯罪スリラーに挑戦したことについて監督は語る。「犯罪スリラーものは、ぼくらが書くことを期待される題材じゃないんだ。だが、いつか手がけたいとは思っていた。私はアクションがふんだんに盛り込まれた作品をたくさん手がけてきたし、キャラクターに寄り添う作品にも数多く関わってきた。だからトムがこの本を読んでほしいとアプローチしてきた時、それらをすべて集約できる素晴らしい機会だと思った。このジャンルは面白いことができるに違いない、とね」

トム・クルーズ,ほか

流浪の元軍人ジャック・リーチャー役は、トムが実戦的なアクションと不器用な人間らしさで好演。戦闘や調査のプロでどんなに厳しく際どい現場でも素早く的確に対応するリーチャーが、凛としながらも大人の女性としてのゆらぎのあるターナー少佐と、思春期らしい気難しさのあるサマンサ、2人の女性に対してどうしたら正解なのかがわからずに戸惑い困り、うまくいかずに狼狽するさまはユーモラスでほのぼのとする感覚だ。ジャックとともに組織から逃亡するスーザン・ターナー少佐役は、コビー・スマルダーズが軍人としても女性としても魅力的に。あるシーンでスーザンがリーチャーに投げつける言葉「男は女に迫るくせに、女を蔑視する!」というセリフには、思わず膝を打った。男女関係など矛盾だらけなのでこうしたことにとらわれたら苦しくなるだけなのだろうけれど、女性側のもやっとした腑に落ちない感覚をあまりにも端的に言い放った言葉だったので、聞いた瞬間になぜかスッキリとした感覚も。それを受けて、ジャックの対応が彼なりに誠実なところがまたなるほど、と。そして2人とともに逃亡する15歳の少女サマンサ役は、ダニカ・ヤロシュがのら猫のようなツンデレ感と野性味のあるタフなかわいさで表現。3人のバランスはハードな設定ながらも、ここ数年の映画やドラマで人気のテーマ“疑似家族”の風味となっている。
 スーザンの部下で上司が有罪か無罪かわからずに軍組織との板挟みになるエスピン中尉役はオルディス・ホッジが、リーチャーを倒して名を上げようとする暗殺者のザ・ハンター役はパトリック・ヒューシンガーが、モーガン大佐役はホルト・マッキャラニーが、ハークネス将軍役はロバート・ネッパーがそれぞれに演じている。
 プロデューサーとして主演俳優として、いくつもの作品で魅力的な実力派俳優たちを起用し共演していることについて、トムは語る。「僕が探している俳優は、その役に合うことと、ハードワークを一緒にできること。僕は何年も休まず働き続けで、それが好きだからやっているんだけど、そうやって同じ情熱を共有できる人がいいね。ただの仕事じゃない、やらなくてもいいようなことかもしれないんだけど、好きで好きでたまらないからやっているからね。自分も毎日学びがあるし、そういう意味で先生にも生徒にもなるんだけど、観客のみんなを楽しませたいからこそがんばれるすばらしい世界なんだ。そしてもうひとつ、チームワークのすばらしさが好きだ。全員が力を合わせて観客を楽しませようと力を注ぐ、その瞬間が好きで求め続けているんだ。だから、同じように情熱を感じられる人がいいね」

トム、コビー、パトリックら俳優たちは数週間のトレーニングを積み、撮影に臨んだとのこと。アクション演出は『ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション』でもスタント・コーディネーターを務めたウェイド・イーストウッドが担当。ただしスパイものであるMIPとは異なり、本作ではリアルな格闘やアクションを表現したとズウィック監督は語る。「ジャック・リーチャーはイーサン・ハントのように人を魅了するのではなく、もっと直球勝負な人間だから、我々のスタントもそれを反映させている。スパイもののジャンルには概して派手さが伴う傾向があるが、ここにそれはない。我々が追及した方向性は、もう少しキャラクターを軸にした’70年代の『ブレット』や『フレンチ・コネクション』のような犯罪映画からきている。トムはとにかく難しいスタントをやってのけているのは確かだ。車から建物の屋上へ飛び移ったり、配水管を登ったり、下り階段で車を運転するわけだが、それらはすべて現実的な物理法則の範囲内で描かれているんだ」

トム・クルーズ,ほか

トム主演のアクション大作で自身の見せ場もたっぷりありながら、格闘シーンなどでほかの俳優たちの活躍もあり、男性の観客の期待に応えつつ、女性キャラクターを演じる女優たちにもしっかりと花をもたせ、女性の観客の共感をうながすサービス精神も感じさせる本作。筆者はそれほどトム様信者ではなく魅力的な俳優のおひとりだと思っているいち観客であるものの、彼の主演映画の多くがエンターテインメント作品としてハズさない魅力があること、長年情熱を失わずに映画製作に注力し続けていること、デビュー当時から変わらずにファンをずっと大事にしているところは、トップスターであり続けることの責任を全力で果たしているすごい人だな、と本作でもしみじみと。最後に映画作りについて、またこの映画をこれから観る観客の方々へのトムのメッセージをお伝えする。「僕にとって映画作りはコラボレーションの賜物なんだ。全員が非のつけどころのない映画を作りたい、というゴールに向かっていくのなら、それだけで価値のあることだからね。それに観客であるみんなの心をつかむすばらしい映画が作れたら、また次の作品を作ることができる。今回も本当に楽しかったから、みんなにもこの映画を好きになってほしいと思っているよ」

作品データ

ジャック・リーチャー NEVER GO BACK
公開 2016年11月11日より新宿ピカデリーほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2016年 アメリカ
上映時間 1:58
配給 東和ピクチャーズ
原題 Jack Reacher Never Go Back
監督・脚本 エドワード・ズウィック
脚本 マーシャル・ハースコヴィッツ
原作 リー・チャイルド
出演・製作 トム・クルーズ
出演 コビー・スマルダーズ
オルディス・ホッジ
ダニカ・ヤロシュ
パトリック・ヒューシンガー
ホルト・マッキャラニー
ロバート・ネッパー
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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