アリー/ スター誕生

レディー・ガガ映画初主演×B・クーパー初監督
歌手を目指すアリーはある出会いによりスターになるが…
愛と成功と挫折を鮮烈に歌うミュージカル・ドラマ

  • 2018/12/17
  • イベント
  • シネマ
アリー/ スター誕生© 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

レディー・ガガが映画初主演、人気俳優のブラッドリー・クーパーが初監督・出演、全米ですでに映画とサウンドトラックが大ヒットしている話題作。共演は、コメディアンで俳優としても活動している『ブルージャスミン』のアンドリュー・ダイス・クレイ、国際的に活躍するスタンダップ・コメディアンで俳優である『アンダーカバー・ブラザー』のデイヴ・シャペル、『マイレージ、マイライフ』のサム・エリオットほか。歌手を夢見るアリーは世界的シンガーのジャクソンと出会い、スターダムを駆け上がっていくが……。劇中で歌われる19曲は撮影中にすべて生で歌唱。強く惹かれ合う2人の恋、アーティストとしての成功と挫折と苦悩、スターをめぐる人間模様など、ストーリーの情感をライヴの臨場感とともに鮮やかに表現するミュージカル・ドラマである。

ブラッドリー・クーパー,レディー・ガガ

ウェイトレスをしながら歌手になることを目指すアリーは、なかなか芽が出ず自分に自信がもてず、夢をあきらめかけていた。しかしある日、世界的シンガーのジャクソンが立ち寄ったバーでアリーのステージを見て彼女の歌にほれ込み、アリーはシンガーとしてデビューすることに。アリーは一気にスターダムを駆け上り、ジャクソンとも愛し合う。そんななか、ジャクソンは体調不良やストレスから酒にどんどんおぼれるようになってゆき……。

2017年9月に線維筋痛症を患っていることを発表し、活動休止を宣言したレディー・ガガが、デビューから10 年を迎えて完全復活。といっても劇中では、現代音楽シーンのアイコンである先鋭的なガガ様ではなく、無名の実力派シンガー、アリーとして素顔のようなメイクや素朴なファッションで、オリジナルの楽曲をソウルフルに朗々と歌い上げる姿が印象的だ。映画の初主演に挑戦したレディー・ガガは本作への思い入れを、このように語っている。「私は、私のもつすべてを注ぎ込みたかったの。最後の一滴まで、この映画に捧げようと思ったのよ。私のもつ恐れ、羞恥心、愛、優しさ、それらすべてをこの映画の為に捧げたわ」

ブラッドリー・クーパー,レディー・ガガ

歌手を夢見るアリー役はレディー・ガガが、等身大のひとりの女性として熱演。アリーを演じきったことについて、クーパーへの感謝をレディー・ガガは語る。「私がアリー役を演じきることができたのは、ブラッドリーが私を信じてくれたからなの。それは、この映画が語るストーリーにも通じるわ。この映画は、誰かを信じることのパワフルさを語っている。それは、自分と相手にとってとてつもない影響を与えるのよ」
 アリーの才能を見出すロックスターのジャクソン役はブラッドリー・クーパーが、ギターや歌の特訓をしてレディー・ガガとともに生歌を披露。アリー自身と彼女の才能を愛しながらも、アーティストとしての自身の状態に苦悩し堕ちてゆくさまを演じている。クーパーは恋愛を描くことについて、このように語っている。「かねてから僕は“愛”に関する物語を作りたかった。どんな人でも感情移入できる気がしますからね。恋というのは、人がいちばん生きている実感を味わうものなんです」
 ジャクソンのマネージャーをしている兄ボビー役は、クーパーがあて書きをしたというサム・エリオットが、アリーの父ロレンツォ役はアンドリュー・ダイス・クレイが、ジャクソンの旧友ジョージ・“ヌードルズ”・ストーン役はデイヴ・シャペルが、アリーを支える親友ラモン役はアンソニー・ラモスが、アリーをスターに育てようとするマネージャーのレズ役はラフィ・ガヴロンが、そしてジャクソンのバンドは、ガガやブラッドリーとともにこの映画のサウンドトラックを実際に手がけた、カントリー・ミュージック界の伝説的なスター、ウィリー・ネルソンの息子であるルーカスが率いるルーカス・ネルソン&プロミス・オブ・ザ・リアルが演じている。
 またカメオ出演も多数。ロン・リフキン、グレッグ・グランバーグ、エディ・グリフィン、ルネル、D・J・“ジャンジャラ”・ピアース、デレク・ケビン・ジョーンズ、ウィリアム・ベリ、マーロン・ウィリアムズ、ブランディ・カーライル、ハーシー。そしてグラミー賞授賞式でジャクソンとともに登場する“スーパーグループ”としてドン・ワズをはじめ、ビクター・インドリゾ、ジョージ・ドーリング、マイケル・ビアデン、レニー・カストロといったベテランのミュージシャンも。

米英で異例のヒットとなっている本作のサウンドトラックは全34曲。劇中でガガやクーパーが歌う19曲、劇中の台詞を収録した15曲で構成。19曲ほとんどの作詞・作曲はレディー・ガガらアーティストたちが手がけ、充実の仕上がりとなっている。本作のサントラはガガにとって2011 年の自身のアルバム『ボーン・ディス・ウェイ』の全米での記録を塗り替え、最長首位のアルバムに。サントラ収録の1曲が世界的にヒットするのはそうあることではないものの(『怪盗グルーのミニオン危機一発』サントラよりファレル・ウィリアムスの「Happy」のヒットが記憶に新しい)、「Shallow」はガガとブラッドリーの歌声が響く良質な楽曲であり、活動休止後のレディー・ガガの新曲であることから、予想を超えるヒットも当然のことかもしれない。この映画のサウンドを楽しみたいなら、本作でガガが歌う曲をレコード会社がまとめたURL、“ガガ歌唱曲まるっとダイジェスト:https://youtu.be/3OLle6l_J9Q”をチェックしてみるのもおすすめだ。(U)
 楽器を演奏したことがなく歌も今回が初挑戦となるクーパーは、ギターとピアノのレッスン、ボーカルコーチによるボイストレーニングを受け、6ヶ月間、週5日を歌のレッスンに費やしたとも。結果、ギターを弾き歌を歌い、ジャクソン・メインの音楽スタイルとサウンドを完成させたクーパーを、ガガもルーカス・ネルソンも称賛している。またクーパーとガガは当初から、映画製作で一般的な手法である歌を先に収録して演技中は口パクという通常の方法ではなく、劇中の全パフォーマンスを生収録すると決定。この理由についてクーパーは語る。「生のヴォーカルの純粋さには、何か特別なものがあるんですよね。だから、この映画のすべてのヴォーカルは生。事前に録音したものはひとつもありません。僕らはそういうやり方でそれぞれのパフォーマンスの真実をとらえたんです」

ブラッドリー・クーパー,レディー・ガガ,サム・エリオット

ライブシーンの撮影は、実際に行われている音楽フェスの会場や有名なコンサートホールにて実施。コーチェラ音楽祭、ステージコーチ音楽祭のメインステージ、ヨーロッパでのフェスにて、本物の観衆の前でクーパーが短いパフォーマンスの撮影をしたことも。またシュライン・オーディトリアム、グリーク・シアター、リージェント・シアター、ザ・フォーラムといった大規模なコンサート会場では、ガガのファンが観客役として撮影に参加。本物のファンによる熱気がシーンの臨場感を盛り上げている。この撮影ではファンにチケットを販売し、収益はボーン・ディス・ウェイ財団(若者を勇気づけ、違いを受け入れ、思いやりと勇気を奮起する活動に貢献すべく、2012年にガガが設立した非営利団体)に寄付したそうだ。

この映画のオリジナルは、ジャネット・ゲイナー主演、ウィリアム・A・ウェルマン監督による1937年の映画『スタア誕生』。その後、1954年にジュディ・ガーランド主演、1976年にバーブラ・ストライサンド主演と名だたる歌い手を迎えてリメイクされ、今回で4度目の映画化となっている。本作は当初、ビヨンセ主演、クリント・イーストウッド監督で企画が進められていた時期もあり(イーストウッドは別の役者を考えていたとも)、それはもう立ち消えなのだろうけれど、イーストウッド版もぜひ観たいと思っていたのは、筆者だけではないはずだ。

ポップ・アイコンとはまた異なる、いちアーティストとしてガガ本来の底力を高らかに打ち出し、愛と成功と挫折の王道ストーリーや時代性をあえて感じさせないファッションで、いつだれが観ても幅広い層が楽しめる内容となっている本作。ゴールデングローブ賞をはじめ主要な映画賞で現在63以上のノミネート、グラミー賞ではサントラがノミネートされていることについて、クーパーは2018年12 月11 日に東京で行われたジャパンプレミアにて、喜びとともにこのように語った。「(各賞のノミネートについて)まったく予想していませんでした。この作品を受けとめてくださる方がたくさんいてくれたらいいなと思います。長い時間をかけて作った作品ですので、こうした結果になり、ホッとしています。とても嬉しいです」。そして同イベントにて日本の観客へのメッセージも。「日本の皆さんがこの作品をどんな風にご覧になるのか楽しみにしています。この作品が皆さんにとって、夢を追ったり叶えたりするきっかけになったら嬉しいです」
 最後に、2018年8月31日(現地時間)に行われた第75 回ベネチア国際映画祭にてアウト・オブ・コンペティション部門に出品し、ワールドプレミアとして本作を世界初披露した際に、レディー・ガガが記者会見で伝えたこの映画のテーマ性と、観客へのメッセージをお伝えする。「この作品にはとても美しいストーリーがあり、世界中の人々の心を動かす物語だと思う。そこには愛、人間としてのプライドがあるの。多くの人に観てもらえる機会を楽しみにしているわ」

※「(U)」の表記がある部分は、ユニバーサルミュージックによる本作のサウンドトラック公式HPより引用。

作品データ

劇場公開 2018年12月21日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて全国ロードショー IMAX 同時上映
制作年/制作国 2018年 アメリカ
上映時間 2:16
配給 ワーナー・ブラザース映画
原題 A Star Is Born
監督・脚本・製作 ブラッドリー・クーパー
脚本 エリック・ロス
ウィル・フェッターズ
原作 ウィリアム・A・ウェルマン
出演 レディー・ガガ
ブラッドリー・クーパー
アンドリュー・ダイス・クレイ
デイヴ・シャペル
サム・エリオット
アンソニー・ラモス
ラフィ・ガヴロン
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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