eHills Club 試写会日記

毎週、映画ファンの皆さんへ熱いメッセージ! 傑作でもB級でも映画ってやっぱり素敵!!

さんかく窓の外側は夜

岡田将生と志尊淳のW主演で人気コミックを実写映画化
除霊師・冷川と助手の三角は“呪い屋”の女子高生と出会い…
オカルトながらも人のつながりや支え合うことを描く

さんかく窓の外側は夜©2021 映画「さんかく窓の外側は夜」製作委員会
©Tomoko Yamashita/libre

初共演の岡田将生と志尊淳によるW主演で、累計発行部数130万部を超えるヤマシタトモコの人気コミックを実写映画化。さらなる出演者は、本作が『響 -HIBIKI-』に次ぐ2度目の映画出演である、もと欅坂46の平手友梨奈、『64-ロクヨン-前編/後編』の滝藤賢一ほか。監督はドラマ「時効警察はじめました」の森ガキ侑大、脚本は『脳内ポイズンベリー』の相沢友子が手がける。幽霊が視える特異体質の三角康介は、除霊師・冷川理人にスカウトされ助手をすることになるが……。人気俳優のW主演による“心霊探偵バディ”ものであり、オカルトでありながらも、本筋は人と人のつながりや支え合うこと、因縁の顛末を描くドラマである。

岡田将生

書店で働く三角康介は、幼い頃から幽霊が視える特異体質に悩まされていた。ある日、書店に除霊師・冷川理人が現れ、「僕といれば怖くなくなりますよ」と言われたことから、三角は冷川と共に除霊作業の仕事をすることになる。冷川は強い霊視能力のある三角に触れていると、霊がとてもはっきりみえるため効率的に除霊ができると言う。そして2人は冷川と付き合いのある刑事・半澤からの依頼で、1年前に起きた未解決殺人事件の捜査に協力。調査を進めるなか冷川と三角は、自殺した犯人の霊の声を聞く。冷川が三角に触れると、犯行時の状況がフラッシュバックのように浮かび上がり、「ヒウラエリカ」という名前が聞こえる。事件の真相へと迫るなか、冷川と三角は呪いを操る女子高生・非浦英莉可と出会う。

独特のテンポや風合いと持ち味のある人気コミックを、まさかの実写映画化した本作。原作にある、魂をつなぐときの感触といったボーイズラブ(BL)風味はおさえめで、オフビートのコメディもなし、シリアスなドラマとオカルトの仕立てとなっている(原作ですでに知っているオカルトの表現も映像で観ると、それ系が苦手な筆者からするとわりとコワイ)。原作の魅力であるアクセントがほぼないのはちょっと残念であるものの、オカルトのダークな陰影と、人のつながりという重要な軸がしっかりあり、エンタメとして2時間弱でみせることに注力したことが伝わってくる。漫画原作を初めて映画化した森ガキ侑大は、監督すると決めたときの思いを語る。「漫画原作は小説とは違ってビジュアルが描かれているので、『原作をなぞるだけではない実写化ができるのだろうか?』という、自分の力量への不安がありましたが、人間さえしっかり描くことができれば、見たことのない映像表現にチャレンジできる余白を感じてお引き受けしました」

岡田将生,志尊淳

霊を祓える力をもつ凄腕の除霊師・冷川理人役は岡田将生が、特殊な生い立ちから人格にどこか欠落した面をもつ人物として。冷川の助手となる三角康介役は志尊淳が、霊が視える力をもつことに子どもの頃から悩まされながらも、冷川の助手をするうちにさまざまにたくましくなってゆくさまを好演している。父親の指示で“呪い屋”をしている女子高生・非浦英莉可役は平手友梨奈がミステリアスに、霊をまったく信じないリアリストの刑事・半澤日路輝役は滝藤賢一がイメージぴったりのハマり役で、半澤の妻・半澤冴子役は桜井ユキが、娘の“呪う力”を利用して宗教団体に所属する非浦英莉可の父・非浦松男役はマキタスポーツが、非浦英莉可のボディーガード逆木一臣役は新納慎也が、宗教団体の教祖・石黒哲也役は筒井道隆が、息子を信じる三角康介の母・三角則子役は和久井映見が、それぞれに演じている。また非浦英莉可に呪われる弁護士・慶子役として、映画『ファーストラヴ』で“デビュー後初”のショートヘアとなった北川景子が1シーンだけ出演しているのも注目だ。

滝藤賢一,平手友梨奈

本作の原作者ヤマシタトモコは、2019年に『違国日記4』で第7回ブクログ大賞(マンガ部門)を受賞した人物。2005年に漫画家デビュー後、2007年に「くいもの処 明楽」が「このマンガがすごい!(BL部門)」で1位を獲得。そして「HER」「ドントクライ、ガール♡」で「このマンガがすごい!2011オンナ編」の1位・2位をマークし、一般コミックでも活躍。この映画の原作「さんかく窓の外側は夜」は、2013年に「月刊MAGAZINE BE×BOY」にて連載を開始し、2021年1月号で完結。TVアニメ化も決定している。森ガキ侑大監督は原作の印象について、映画化の発表時にこのようにコメントしている。「出てくる登場人物がすごく悩みながらも苦しみながらも生き生きしているように僕にはうつりました。そして、わかりあえる人間の距離感、わかりあえない人間の距離感、己の居場所はこの世のどこにあるのかを考えさせられると同時にポップでエンターテインメントに表現されているこの作品を映画化できる喜びを噛みしめたいです。今まであまりみたことないジャンルの映画が作れればと思っております」
 今回の映画化について、ヤマシタトモコはこのようにコメントしている。「なんと映画になります。たいへん驚いています。門外漢ゆえまるっとお任せいたしまして、一体どんなふうに映画になるのかドキドキしています。漫画を応援してくださっている皆さんと、新しく作品にふれてくださる方にお楽しみいただけるものになっていたら嬉しく思います」
 ヤマシタトモコの描く物語は、相容れない者たちが出会い、惹かれたり反発したり近づいたり、互いに響き合いながら変化していくさまを丁寧に描く、人間ドラマとして味わいのあるものが多い。オフビートのユーモアやシュールな現象、妄想の展開などもあり、独特の抜け感があるのが特徴だ。“じわじわくる”感じのテイストは、ドラマ化やアニメ化などこれから増えていくかもしれない。

岡田将生と志尊淳のW主演で人気コミックを実写映画化した本作。配役の妙が効いていることもあり、ホラーは苦手だけど面白そう、観たい、という向きもあるだろう。本作の脚本を手がけた相沢友子は、本作の見どころについて語る。「この物語に登場する冷川、三角、エリカは、それぞれ強い霊能力をもっています。そして、それゆえに心を閉ざし、孤独を抱えて生きている。彼らを取り巻く環境は特殊で過酷なものだけど、自分の弱さやいびつな部分を受け入れられずにもがく気持ちは、きっと誰のなかにも存在する。心霊や呪いといった要素そのものではなく、同じ痛みをもつ者同士が出会い、互いに影響を与え合って変化し、やがて存在意義を見出していく……その姿にフォーカスを当てて脚本を書きました。だから、これはいわゆる“ホラー映画”ではありません。怖いのが苦手だという方にも、ぜひご覧になっていただきたいです」

2021年1月22日更新

作品データ

公開 2021年1月22日より丸の内ピカデリーほかにて全国ロードショー
制作年/制作国 2020年 日本
上映時間 1:42
配給 松竹
監督 森ガキ侑大
脚本 相沢友子
原作 ヤマシタトモコ
出演 岡田将生
志尊淳
平手友梨奈
滝藤賢一
マキタスポーツ
新納慎也
桜井ユキ
和久井映見
筒井道隆
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。