バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版

人気ドラマの劇場版で美しき探偵バディ再び!
資産家令嬢の誘拐、依頼主の変死、魔犬の伝説……
事件の謎を追い、揺れる心情を映し出すミステリー

  • 2022/05/31
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バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版©2022「バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版」製作委員会

アーサー・コナン・ドイルの探偵小説「シャーロック・ホームズ」シリーズを原案に、日本を舞台にドラマ化した『シャーロック』の劇場版が完成。出演は、企画・プロデュース・主演を務めた『Pure Japanese』のディーン・フジオカ、『死刑にいたる病』の岩田剛典、『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』の新木優子と椎名桔平、『嘘八百 京町ロワイヤル』の広末涼子、『燃えよ剣』の村上虹郎、『峠 最後のサムライ』の佐々木蔵之介、『七つの会議』の小泉孝太郎ほか。監督は『マチネの終わりに』の西谷弘が手がける。ある資産家から娘の誘拐未遂事件の犯人捜索の依頼があったが、その直後に資産家が変死。獅子雄と若宮は依頼主の死と娘の誘拐事件の真相を探るべく、離島へと向かうが……。ホームズシリーズの傑作といわれる長編小説『バスカヴィル家の犬』を原案に、探偵バディが資産家である一家の闇に迫ってゆく。依頼主の変死、謎の誘拐事件、古くから伝わる魔犬の伝説……閉ざされた離島を舞台に、事件の真相を追うミステリーであり、人物それぞれの揺れる心情を映し出す人間ドラマである。

若宮のもとに、日本有数の資産家・蓮壁千鶴男から娘の誘拐未遂事件の犯人捜索の依頼があったが、その直後に蓮壁が変死。獅子雄と若宮は莫大な遺産を遺した蓮壁千鶴男の死と、その娘・蓮壁紅の誘拐事件の真相を探るため、瀬戸内海の離島へと降り立つ。華麗な蓮壁一家が大型犬のヴィルと共に暮らす洋館に着くと、そこにはどこか異様な雰囲気が漂っていた。そして閉ざされた離島では不気味な魔犬の呪いが囁かれ、新たな事件が次々と起きてゆき……。

岩田剛典,ディーン・フジオカ

ディーン&岩田の美男バディ再び。かの「シャーロック・ホームズ」シリーズを原案にした人気探偵ドラマの劇場版。ドラマではずっと東京が舞台だったなか、映画では離島が舞台となり、クラシックな屋敷や山の自然のなか、獅子雄と若宮が事件の謎に迫る姿が描かれていく。ドラマはタイトルに『シャーロック アントールドストーリーズ』とある通り、小説のなかで数行だけ紹介されているホームズが過去に解決した“語られざる事件”をもとに“令和東京版シャーロック”として、「偉大な原作のある一部をお借りして創作(太田大プロデューサー)」したとのこと。そして劇場版では、「シャーロック・ホームズ」シリーズのなかでも傑作として愛される長編『バスカヴィル家の犬』を原案にすることが決定。ドラマ版を3本手がけた西谷監督は、特別な思い入れをもって取り組んだ劇場版について語る。「ドラマからの映画化は、いくつも手がけています。しかし、今回がいままでで一番緊張しましたね。なにしろシャーロック・ホームズの映画化。このシリーズはミステリーの頂点であり、すべての謎解きものはここから始まっている。誰もが知るシャーロックをどれだけ映画的舞台にできるか? 大海原に挑む恐怖と緊張感がありました。そして、もうひとつ。連ドラ時は、ほかの仕事の兼ね合いもあり、1話と7話、特別編の3本しか演出できなかった。どこか消化不良の自分がいて、きちんと成就したいという想いがありました」

誉獅子雄役はディーンが、謎解きに天才的な能力をもつ一方で破滅的な衝動をはらみ、仕事は興味のあるもののみを請け負うことから常に金欠で報酬にこだわる探偵として。若宮潤一役は岩田が、獅子雄の仕事を手伝う人当たりのいい元医師の青年として。観る側のみならず、スタッフもキャストも見惚れるほどの美男バディ獅子雄&若宮の魅力ついて、西谷監督はいきさつを語る。「まずはディーンさんのシャーロック・ホームズありきで、次にバディ相手の岩田さんが決まりました。想像のなかで2人を並ばせるとBL的要素が見えてきました。その申し分のない容姿にあと必要なものは“笑い”だなと。笑わせるのではなく、笑えるという。2人の丁々発止が滑稽に見えたり、イチャついてるように見えたり。わかりやすくいえば若宮に降りかかる悲劇を愛しそうに楽しむ獅子雄、という構図です(笑)」
 若宮に誘拐事件の調査を依頼する蓮壁家の当主で資産家の蓮壁千鶴男役は西村まさ彦が、車椅子で生活する妻・蓮壁依羅役は稲森いずみが、誘拐された娘・蓮壁紅役は新木優子が、東京の大学に通う蓮壁家の長男・千里役は村上虹郎が、蓮壁家の執事・馬場杜夫役は椎名桔平が、千里のもと家庭教師で、地震の研究者である准教授・捨井遥人役は小泉孝太郎が、リフォーム店を夫婦で営み、蓮壁家を担当している冨楽夫妻の妻・朗子役は広末涼子が、朗子の夫・雷太役は渋川清彦が、なにかと難事件の捜査を獅子雄にさせて手柄は自分のものにする刑事・江藤礼二役は佐々木蔵之介が、江藤の部下である警視庁捜査一課の巡査部長・小暮クミコ役は山田真歩が、それぞれに演じている。

岩田剛典,新木優子

映画の原案である小説は、アーサー・コナン・ドイルによる「シャーロック・ホームズ」シリーズより、1901年の長編小説『THE HOUND OF THE BASKERVILLES(邦題:バスカヴィル家の犬)』。ドラマ版から西谷監督と共に製作してきた太田プロデューサーは脚色について語る。「大きな脚色がなされていますが、構造はそのままです。大枠やポイントはそのままに、現代の日本でも理解ができるようにするためのつなぎの部分に、監督構想のオリジナルの事件を作成していきました」。映画版から参加した石塚紘太プロデューサーは、名作を原案にする面白さを語る。「物語の楽しさを、あらためて感じました。しかも古典に現代というアプローチを加えていく創作。試行錯誤を重ね、脚本を改稿するたびに、作品が良くなっていくことを実感していました。これは通常の現代劇では体験できないこと。この醍醐味が伝わるといいですよね」
 名作を原作や原案にすることは、優れた物語を軸にできるという良い面と、多くの人が内容をすでに知っていて、さまざまなリメイクを何度も観ている場合もあり、ただ現代に置き換えたり舞台を日本にしたりするだけでは、ありふれた内容になりかねないという難しい面がある。今回のように120年以上前の物語であれば、トリックの信憑性や人々の生活習慣も大きく様変わりしている。けれど本作では、展開に歯切れのいい軽妙さや緩急があり、ミステリーでありながら登場人物それぞれの心の動きをしっかりと映し出すことで、観客を引き込む内容となっている。クライマックスでは事件を解決して終了ではなく、さまざまな出来事について、止めることができなかった人々の苦しみと痛々しさが伝わってくる。何が幸せなのか、どうすることが正しかったのか、そこに明解な答えがあるわけではなくとも、観客に考えることを促すようになっているところに味わいがある。そして最後の最後、ある伏線から思いがけないところでひとつの“解決”があるのもまた心憎い。西谷監督は名作を原案にするプレッシャーがあるなか、ストーリーに事件の謎解きだけではなく、人の心にフォーカスする視点を取り入れたと語る。「人間の身勝手さ、それは誰もがもっている保身のために生まれる悪魔の心じゃないですか。僕としては、人間の身勝手さの謎解きをしてみたいという想いもありました」

岩田剛典,佐々木蔵之介

蓮壁家の撮影は、愛媛県松山市にある重要文化財の萬翠荘にて。緑に包まれた瀟洒な洋風建築で、フランスで長く暮らした経験のある旧松山藩主の子孫・久松 定謨伯爵が建築家の木子七郎に設計を依頼し、大正11年(1922年)に別邸として完成した邸宅だ。映画では、物語にも登場人物にも雰囲気がとても合っている。岩田は今回の撮影について、2022年5月12日に行われた完成披露舞台挨拶にて、「当時は今よりも厳しい状況下で、ほぼ毎日PCR検査を実施して感染対策を徹底して撮影していました。毎日撮影場所とホテルとの行き来以外何もない……ある種厳しい現場ではありました」とコメント。またディーンは完成披露舞台挨拶にて、撮影した季節が寒い時期であり、映画に登場している新木演じる蓮壁紅の愛犬ヴィル(シベリアンハスキー)が期待通りになかなか動いてくれなかったことも含めて、無事に撮了したことへの思いを語った。「ロケの時は、コロナ感染対策、寒さ、ワンちゃん……と、もう(大変なもの)三拍子揃っておりました。毎日、明日は撮影ができなくなるかもしれないっていう、リスクを感じながらの撮影だったので、すごく緊張感のある現場でした。みんな、やるべきことをちゃんとやっていたので、こうやって作品を完成させることができ、今日に至れたわけです。あの状況のなかで撮影のGOサインを出した方々、現場で一丸となってまっとうした、西谷監督を筆頭としたチーム……今思い返すとすごくタフな現場だったなと思いますね」

美男バディの活躍を眺めているだけでも充実するうえに、ミステリーやドラマとしてもしっかりと楽しめる本作。大勢のファンが望んでいるように、ドラマでも映画でもシリーズ化となるのではと期待が高まる。完成報告会と完成披露舞台挨拶にて、共演者たちからディーンと岩田について、「お2人は品があって清らかで美しい雰囲気をまとっている(佐々木)」「なんて美しいのだろう(小泉)」「美しいものを見ていると人って幸せなんですよね(広末)」と“美麗”コメントが自然にあふれたことも、この映画を観ればおそらく大勢が納得するのではないだろうか。また西谷監督は映画の見どころのひとつとして、獅子雄&若宮の関係性の変化もあると語る。「獅子雄は常にマイペースで、他人を追いつかせない、待たないキャラです。言動も、行動も、すべて追いつけない。そんな彼に必死についていく弟分の若宮。追いかけながら、怒ったり、泣いたり、感動したり。それが2人の初期設定でしたが、『バスカヴィル家の犬』は原作自体、ワトソンの冒険日記。つまり、今回、獅子雄は、泣き虫の弟を初めて冒険の1人旅に出すお話。これは魅力的な展開だと思いました。2人にとって、各々にとっての『初めて』を見せたいと考えました。もはやパーフェクト感が強いヒーローたちの憂い。そして、今まで弟を置き去りにしてきた兄が初めて弟の声に耳を傾けるなど、新たな2人の関係も見どころのひとつです」
 「岩田さんの笑顔はずるい(新木)」「子犬みたい(稲森)」など、監督やキャストから、いかに愛らしいかと繰り返し話にあがっていた岩田は、「恥ずかしい」「おこがましい」「照れくさい」と恐縮しながら、5月22日の完成報告会にて若宮からみた映画での獅子雄について、このように話した。「ドラマでは完璧というか、完全無欠なキャラクターの獅子雄ですが、映画の世界観のなかでは“燃える獅子雄”が垣間見られます。バディの進化した姿の延長として楽しんでもらえると思います」
 最後に、ディーンが完成披露舞台挨拶にて観客に伝えたメッセージをご紹介する。「豪華キャストが集まり、1人1人がもつ魅力が重層的に連なって、何度観ても新しい発見がある、そんな作品になっているんじゃないかと思います。この映画の魅力を少しでも多くの人に伝えられたら良いなと思います」

作品データ

公開 2022年6月17日より全国東宝系にてロードショー
制作年/制作国 2022年 日本
上映時間 1:59
配給 東宝
監督 西谷 弘
音楽 菅野祐悟
脚本 東山 狭
原案 アーサー・コナン・ドイル
出演 ディーン・フジオカ
岩田剛典
新木優子
広末涼子
村上虹郎
渋川清彦
西村まさ彦
山田真歩
佐々木蔵之介
小泉孝太郎
稲森いずみ
椎名桔平
:あつた美希
ライター:あつた美希/Miki Atsuta フリーライター、アロマコーディネーター、クレイセラピスト インストラクター/インタビュー記事、映画コメント、カルチャー全般のレビューなどを執筆。1996年から女性誌を中心に活動し、これまでに取材した人数は600人以上。近年は2015〜2018年に『25ans』にてカルチャーページを、2015〜2019年にフレグランスジャーナル社『アロマトピア』にて“シネマ・アロマ”を、2016〜2018年にプレジデント社『プレジデントウーマン』にてカルチャーページ「大人のスキマ時間」を連載。2018年よりハースト婦人画報社の季刊誌『リシェス』の“LIFESTYLE - NEWS”にてカルチャーを連載中。
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